年金,個人年金保険,未納
(写真=PIXTA)

「将来、年金がもらえないなら保険料は払わない」という人がいる。確かに年金に対する不信感から、そうした考えを持ってしまうことも頷ける部分はある。しかし、この国の国民である以上、公的年金(国民年金等)の加入は「義務」なのである。

年金の保険料は、自身の年金のための積み立てではないことをご存知だろうか。納めている保険料は、今の世代の高齢者を支えているのである。自身が高齢者になった時に、若者から同じ言葉を言われたらどんな気持ちになるだろうか。今回は、年金を納めないとどのようなことになるのか、実態を紹介する。


年金未払いの実情 驚きの未納率

繰り返すが国民年金は、公的年金と呼ばれ加入が義務付けられている年金である。日本で暮らす以上は、保険料を納める義務が生じるのである。ところが、厚生労働省の資料によると、2016年4月から8月の国民年金保険料の納付率は、58.1%とおよそ6割である。残りの4割は、何らかの理由により未納状態となっているのだ。

国民年金は、世代間扶養の考えを基に、現役世代の保険料で現在年金を受け取る人たちの支払いを賄う仕組みになっている。残りの足りない部分については、国庫負担、つまり我々の税金が充てられている。

年金を払わないとどうなるのか

では、冒頭で挙げたように「自分の時にはもらえないから払わない」を貫いた場合、どのようなことが起こるのだろうか。
厚生労働省の同資料によれば、2016年4月から9月分の強制徴収の実施状況は、最終催告状の送付が6万5313件、督促状の送付が1万9685件、財産差し押えが5794件である。ここからもわかるように、義務を果たさなければ段階を経て、最終的に財産の差し押さえまでされてしまうことになるのだ。

それに加え、年金保険料の納付期間が25年(2017年10月より、10年に短縮)に1か月でも満たなければ、年金の受給資格はない。もし、今までは払っていたが、自分の頃にはもらえないだろうと、途中から保険料の支払いをやめてしまうと、今まで払っていた保険料はドブに捨てたことになる。2017年10月からは保険料支払い期間が短縮され、受給要件は緩和される。遡って保険料を支払うことも可能なので、今からでも支払いを行うことをお勧めしたい。

差し押さえられる前にできる対処法

もし、あなたが年金を未納している場合、いくつかの救済手段が残されている。

まず、未納期間があるのであれば遡って保険料を納めることができる。通常、2年前までは遡って納めることができる。それ以前の未納分については「5年の後納制度」を利用すれば、過去5年まで遡って納付することができる。2015年9月30日までは「10年の後納制度」が実施されていたが、現在は「5年の後納制度」に変更された。

ただし、この制度の有効期限も2018年9月30日までとなっているので、注意してほしい。後納制度を利用する場合には、年金事務所へ申し込む必要がある。

現状での保険料納付が難しい場合には「保険料免除・納付猶予制度」を活用してほしい。所得が少なく、本人・世帯主・配偶者の前年所得が一定額以下の場合や、失業した場合には申請を行い、承認されれば保険料が免除される。免除されるのは、全額、4分の3、半額、4分の1のいずれかである。1月から6月までの申請をする場合には、前々年の所得が基準となる。

保険料猶予制度は、20歳から50歳未満の人で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合に、申請後承認されれば、保険料の納付が猶予される。こちらも1月から6月に申請を行う場合は、前々年の所得が基準となる。

ただし、学生の場合は、「学生納付特例制度」があるため、この制度は利用できない。

差し押さえられたらやるべきこと

財産の差し押さえまでには、段階がある。それまでに支払いを行えば、財産を差し押さえられることはない。しかし、万が一それらを無視し続けた場合には、最終的に財産を差し押さえられてしまうことになる。

実際に差し押さえられるまで、何もしないという人が多数だと思うが、実際に差し押さえは行われている。自身の給与や、自宅にあるものを競売にかけられるなどして、年金保険料分を差し押さえられてしまうのだ。

もし、差し押さえられてしまった場合には、同じ過ちを繰り返さないためにも、保険料をきちんと納め続けるしかないだろう。何よりも、差し押さえになる前に、役所や年金事務所に相談しておくのが一番の予防策である。

マイナンバー制度開始で、もう逃げられない?

マイナンバー制度は、国民一人ずつに番号が割り振られている。そこには、あらゆる情報が集約されることになる。もちろん、税金や年金についての記録も、である。今後は、預金などへの紐付けも開始されることになっているので、「逃げる」ことは難しくなるだろう。

もし、未納になっている分がある場合には、まず年金事務所に相談をしてほしい。今からでも打てる手はある。この機会に、未納分がないかチェックするのが得策ではないだろうか。

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