2014年度のファーストリテイリング社の上期の状況は、売上高は7643億円(前年同期比24.3%増)、営業利益は1032億円(同6.8%増)と前年同期比を上回り好調な様子となっています。特に海外でのユニクロ事業が大幅な増収増益となっているようです。海外事業での業績が計画を上回っており、通期の予想においても売上高、営業利益とともに大幅な増額修正となります。2014年8月末の時点で海外ユニクロの店舗は632店に及び、前期末比率で186店舗が新たに増えることになります。海外進出に関しては大きな失敗も経験し、トライ&エラーを繰り返してきた同社によって、海外事業が会社を支える屋台骨になりつつあります。
遂に海外の売上高が3割に上る
現在、ユニクロ海外事業の売上げ高と営業利益は、全体の3割を占めるほどまで成長し、海外事業が会社の成長エンジンの柱となっています。海外事業の内訳を細かく見ていくと、中華圏(中国・香港・台湾)韓国、米国、欧州、東南アジアと全世界に出店していることが分かります。この中でも、海外店舗の約6割が中華圏に集中しており、海外事業の要となっています。ユニクロが一番始めに中国へ進出したのは2001年でしたが、そこから成功するまでには、かなりの時間を要しました。中国に進出した際、日本におけるユニクロブランドの展開と同じ手法、すなわち低価格路線を取りました。日本においてのユニクロの流れを考えると自然なことですが、中国では高い関税がかかるため、原価率等を抑えるための様々な努力が行われたものの、結果的に売上げは伸び悩みました。 低価格路線を取った結果、現地にいる多数の競合に埋もれてしまったからです。再度ポジショニングを取り直し、中産階級以上向けのグローバルブランドとして舵を切り直しました。
現在では、商品価格を日本よりも10〜15%ほど高く設定し、高付加価値のブランドとして認識されているようです。さらに、親日家の多い香港ではポスターに日本語を多用する等、ジャパンブランドを打ち出す姿勢を明確にしました。しかし、何と言っても最大のブランディングとなったのが、日本式ホスピタリティの導入でしょう。よく日本のサービス業は世界1と称されることがあります。ユニクロが日本で実践している顧客サービスをそのまま中華圏に導入することで、高い評価を得たのです。中国メディアにて、ユニクロのホスピタリティが賞賛される記事が掲載されています。それをいくつか挙げるとこのような感じです。
・買い物した後袋詰めする際にテープで封をするのですが、テープの端に折り目を付けてはがしやすいようにしている
・勘定をカードで行い署名する際に、ペンを相手側の持ちやすい方向に向けて渡す
・クレジットカード決済するときに顧客名をチェックし、「○○さま、お買い物ありがとうございました」と声をかける
・店員は微笑みながらサービスを提供するものの、消費者のそばで意見しない
・店舗内で従業員と顧客がすれ違う際に、「ユニクロへいらっしゃいませ」と声をかける
引用元:
http://news.livedoor.com/article/detail/8920972
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面白いのは、日本のサービス業においては、ユニクロでなくともほぼ当たり前の接客項目があることです。特に、店員が積極的に商品を奨めないという接客は、海外旅行の経験がある方ならお分かりのとおり、アジア地域では考えられないことでしょう。このように、日本のホスピタリティごとブランドとして輸出を図ったおかげで、中華圏のシェアが拡大しているのです。