固定資産税は家や土地などの固定資産を所有している者に課せられる税金であるため、これを所有している方ならばその税額や計算方法は理解しておきたいところだ。本来固定資産税の税額自体は納付通知書によって確認することができるが、その根拠となる計算などは記載されていない。現在所有していない固定資産にかかる固定資産税額を求める場合なども、これら計算方法の理解は役立つはずだ。
固定資産税とは?いくらかかるのか
冒頭でも挙げた通り、固定資産税とは家屋・土地・償却資産といった固定資産に対して課せられる税金で、毎年1月1日に対象となる固定資産を所有している者に納税義務が生じる税金である。国税でなく地方税なので、各市町村(東京都23区内においては都)がこれを管理している。
固定資産税は賦課課税制度といって、税を課する各々の自治体がその税額を決定し、納税時期の遅くとも10日前までに納付通知書が送付されるという形で運用がなされる。このとき、税額の決定は総務大臣の定める固定資産評価基準に基づいて行われるが、納付通知書や固定資産課税台帳等に記載されるのは固定資産税評価額や課税金額そのもののみであり、なぜそのような評価額になったのか、なぜそのような課税金額となったのかの根拠は示されない。
固定資産税は、次の計算によって算出することができる。
固定資産税評価額(課税標準額)×標準税率=固定資産税額
標準税率は各自治体によって異なる場合はあるものの、基本的に一律1.4%と定められているため特別な計算などは不要だ。今回は、土地と家屋に分けてこの評価額の計算方法を解説する。
固定資産税、土地の計算方法
土地に対する固定資産税評価額は、主に路線価方式によって決定される。路線価方式とは固定資産税の計算に限らず用いられる評価法方法で、路線価とは路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことである。
一般に路線価と言った場合、国税庁が公示する「相続税路線価」を指す場合が多いが、固定資産税の計算においては各自治体が決定・公示する「固定資産税路線価」を利用する。両者の違いは主にその価額で、相続税路線価が地価公示価格の8割を目途として決定されているのに対し、固定資産税路線価は地価公示価格の7割を目途として決定されている。
路線価方式では、路線価を対象となる土地の形状等に応じた補正率で補正した後に、その土地の面積を乗じることで評価額が決定される。具体的な計算は次の通りだ。
正面路線価×価格補正率×面積
補正率とはその土地が角地であるか飛び地であるかなどといった形状等に対してかかるもので、その土地が宅地であるか商業地であるかなどによっても異なる。
固定資産税、家屋の計算方法
家屋に対する固定資産税評価額の決定には、再建築費評点数が用いられる。再建築費(再建築価格)とは、対象となる家屋と同一の家屋を、その時点においてその土地へ新築する場合に必要とされる建築費のことで、これを再建築評点基準表に基づいて算出したものが再建築評点数である。
再建築評点数は、建築年数や損耗度合いを鑑みた経年減点補正率によって減価され、評価額が割り出されることとなる。具体的な計算は次の通りだ。
再建築費評点数=標準評点数×補正係数×計算単位
家屋の固定資産税評価額=再建築費評点数×減点補正率×評点1点当たりの価格
なお、計算に際しては実際の建築費のすべてが再建築費として含まれるわけではないということに注意しよう。例えば資材費や作業費といった工事原価は再建築費においても含むが、設計監理費のような工事原価に含まないものは、再建築費にも含まれない。
固定資産税の負担調整措置とは
以上が土地と家屋に対する固定資産税評価額の求め方だが、土地の固定資産税を求める上ではここからさらに課税標準額を算出しなければならない。課税標準額とは課せられた税の税額を計算する上で基準となる価額のことだが、家屋については評価額がそのまま課税標準額として適用される一方で、土地については評価額と課税標準額は基本的に一致しない。
これは、負担調整措置によって課税標準額の急激な変動(上昇)が抑制されているためだ。平成6年度に土地評価の見直し(均衡化・適正化)が実施された際、多くの土地において評価額の急激な上昇が見込まれた。負担調整措置は、これを緩和する目的で設定されているものである。
具体的な特例は次の通り。
小規模住宅用地
住宅の敷地のうち、200平米以下の部分について、評価額の1/6を課税標準額とする。
一般住宅用地
住宅の敷地のうち、200平米を超える部分について、評価額の1/3を課税標準額とする。
審査の価格・内容に不満があるときは
計算を経て、もしも現在納付している固定資産税額や、新たに納めるよう告知された固定資産税額に不満や質問等がある場合には、これを各市町村へ申し立てることが可能だ。無駄な税を納めることのないよう、ぜひ注意深く確認していただきたい。