相続,相続 対策
(写真=Thinkstock/Getty Images)

相続対策、というと多くの方は「相続税対策」、すなわち相続税の節税を思い浮かべるのではないだろうか。確かに相続税は、税制改正に伴って増税(税率の上昇)がなされ、基礎控除の大幅な減額があったことも含めて節税を考慮すべき税金のひとつである。しかしながら、相続にまつわる対策を講じるべき問題とは相続税ばかりではない。

そこで今回は、代表的な節税方法について解説すると共に、相続税以外に関する相続対策についても紹介する。


相続対策とは

一般的に行われる相続対策は、主に次の3つに分けられる。

1.遺産分割対策

2.節税対策

3.納税(資金)対策

以下、それぞれの対策が講じられる主旨や具体的な方法について解説する。

遺産分割対策とは

相続が開始すると、遺言書がある場合はその指定に従った割合(指定相続分)によって財産の分割が行われ、遺言がない場合(あるいは相続人全員が遺言に従わないことを選択した場合など)は遺産分割協議によって財産の分割が行われることとなる。

分割協議によって財産の分割が行われる際には、相続人の立場等によって定められている財産の割合(法定相続分)を基準として協議を推し進めていくこととなるが、この法定相続分とはあくまでも目安であって制限等が課せられているわけではない。

各々の相続人がこれに納得しなければ、遺産分割協議は延々と続くことになってしまう。最終的には申し立てによって協議の場を調停へと移し、調停でもまとまらなければ裁判官の審判によって判定が下されるため協議が終わらないということはないが、そこへ至るころには相続人同士の人間関係は絶望的だろう。

こうした相続争いを回避する手段として、遺言書は非常に有効だ。しかしここで大切なのは、たとえ遺言書が遺されていたとしてもその指定相続分が遺留分を侵害してしまっていては逆効果になる可能性があるということ。相続人にはその立場によって最低限認められた財産の割合(遺留分)があり、相続によって取得した財産がこれに満たない場合は申し立てなどによって取り戻すことが認められている。

遺留分は遺言書による相続についてのみ認められている権利だが、遺言書を遺す際はこの割合を十分に考慮した遺産分割を指定するべきだろう。

節税対策とは

相続税における節税対策とは、次に挙げるようなものだ。

贈与税に認められた控除枠の活用(生前贈与)

贈与税には年間110万円の基礎控除が認められているため、これを活用して計画的な贈与を行う方法。そのほか、配偶者控除や住宅資金・教育資金にかかる控除などさまざまな特例を活用することで、相続時の課税財産そのものを減らすことができる。

ただし不動産などを生前贈与によって移転する場合は、別途不動産取得税や登録免許税などの費用がかかることに気をつけなければならない。

相続税基礎控除枠の拡大(養子縁組)

相続税の基礎控除は「3000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)」という算式によって決定される。法定相続人には順位が定められていて、第1順位(子や孫など)、第2順位(父母や祖父母など)、第3順位(兄妹姉妹など)の順に配偶者と共に相続人となる。

このとき、「被相続人に実の子供がいる場合は1人」、「被相続人に実の子供がいない場合は2人」までの養子について法定相続人として含むことができるため、控除枠の拡大に繋がるのである。

相続税がかからない財産の活用

相続税の計算に際してはあらゆる財産がその価額に含まれるが、生命保険金や退職手当金(死亡退職金)については一定の範囲内まで相続税がかからないことになっている。

これら財産に認められている非課税枠は、基礎控除枠と同様に法定相続人の数によって変動するため養子縁組と合わせて考えることでより効果的な活用が見込めるだろう。

相続税の納税対策

相続税の節税対策は「かかる税金の軽減」を目的として行われるが、納税対策とは「課せられた税額をいかにして納めるか」を目的として行われるものである。相続財産に流動資産(金銭等)が多分に含まれている場合にはあまり心配する必要のない点だが、一方で相続財産の多くが固定資産(不動産等)である場合にはしっかりと対策しておかなければ相続人は相続税を納められなくなってしまう。

このような場合、相続人を受取人と定めた生命保険に加入しておくなどすることで納税資金の確保に役立てることができる。そのほか生前より条件を満たす準備を進めておけば、相続税の物納を申請するという対策も立てることが可能だ。

相続は相続人のその後の生活を考えて

相続する上でかかる税金や費用をできる限り抑えたいというのは誰もが同じだろう。しかしもっとも大切なのは、相続後も相続人同士が円満でいられるような工夫ではないだろうか。ぜひ相続後の生活も考慮に入れた相続対策を心がけていただきたい。