アメリカやヨーロッパなどで活躍する有名な俳優や歌手などセレブ達の間で、体の引き締め効果の高さが期待されている筋力トレーニング「HIIT」。短い時間で筋力トレーニングによる筋力向上と、有酸素運動などによる脂肪燃焼の効果が同時に得られると言われている効率的なトレーニング方法だ。
HIITとは、High-intensity interval training(ハイ・インティシティ・インターバル・トレーニング)の略。筋肉の発達と体脂肪の減少が同時に実現することでシャープな肉体は手に入る。このHIITは、美しい体を作るダイエットに最も適しているトレーニングだと言われている。
身体の総合的トレーニング「HIIT」の魅力
筋肉を発達させようと思い、筋力トレーニングに集中していると、時間や手間の限界からランニングなどの有酸素運動がおろそかになってしまうことが多い。
HIITはこの非効率性を解決してくれるワークアウトとして注目されている。激しく強度の高い運動と、負荷がそれほど高くない運動を交互に繰り返しながら行うことが最大の特長だ。
酸素摂取量が向上するといわれる
一般的に心肺持久力を表す目安としては、「VO2(酸素摂取量)」が使用されている。この心肺持久力が向上すれば、総合的な身体能力を高められる。そうなると、ダイエットや体引き締め効果が格段に向上するといえるのだが、HIITはVO2(酸素摂取量)を効率的に高めることができるといわれているのだ。
従来、心肺持久力を向上させる方法といえば、有酸素運動の時間や負荷を物理的に増やすという考え方が一般的だった。そこで単純にウォーキングやランニングの時間や距離などを増やしていたが、時間の限度や持久力の限界などから続かないという人も多かったはずだ。HIITで効率が高められれば、時間や強度をおさえても効果が期待できる。
また脂肪燃焼とカロリー消費の効率もいいと考えられている。
脂肪をエネルギーの源として消費するためには、脂肪の酸化を促し分解する必要があるが、この仕組みを実現しやすくする効果も期待できる。
カナダの大学が行った調査によると、多少負荷のある自転車型のトレーニングマシンを20秒間全力でこぐ動作を2分間の間隔で3回繰り返すことと、通常通りのこぎ方で45分間マシンをこぐのは運動として同じ効果が得られるという。
全力動作を数回だけ組み込めば、長い時間の有酸素運動と同等の脂肪燃焼効果が得られることを意味しているのだ。
HIITのようにとても強度の高い運動は、カロリーの消費量も多い。負荷が低い有酸素運動でもカロリーを消費することは可能だが、高い効果を持続的に実現し続けたいのであれば、HIITのような運動のほうがその確率は高いと言えるだろう。
筋力や心肺持久力などの体力面を高めるのに適していると言えるが、体に及ぶ効果はそれだけではない。
これだけ強度の高い運動を行うのだから、続けていくうちに「疲れや辛さ」に体が慣れ、「疲れにくく辛さを感じにくい」体質に体が変化する可能性も高いと言える。たとえ年齢が高くなっても、若々しい体と心を保つことができるのだ。
また、普通の生活では経験できないような運動をこなすうちに、「精神的なタフさ」を手に入れることもできるかもしれない。「自分はこんなにも辛いトレーニングに耐えることができたんだ!」という思いが自信につながるのではないだろうか。
HIITは激しいパフォーマンスを必要とするので、筋肉や関節を酷使せざるを得ない。このためウォーミングアップはしっかり丁寧に行う必要があるし、水分摂取はしっかりと行ったほうがいいだろう。(藤瀬雄介、スポーツ・ヘルスケアライター)