韓国経済,
(写真=Thinkstock/GettyImages)

「韓国経済スローダウン」「韓国経済の限界」……。友人による国政介入疑惑を受けて朴槿恵大統領が職務停止に追い込まれるなど、政治の停滞が打開できない韓国。前述のタイトルのごとく経済の停滞ぶりが激しいと伝えられており、「弱り目にたたり目」「踏んだり蹴ったり」という言葉がこれほど当てはまる国は目下のところ世界に見当たらない。韓国経済なぜ、これほど停滞しているのか、根本原因とともに、最近の状況を振り返ってみたい。

世界でのポジションは「偏差値50以下」

そもそも、韓国のGDP成長率はここ数年、低下傾向が続いていた。実質GDPは2010年に前年比6.5%増とピークを打ったが、その後は低調。OECD(経済協力開発機構)の予想によると、2016年は2.8%増、2017年は2.6%増(3.0%の当初予測から下方修正)であり、世界経済成長予想の数値を若干、下回っている。要するに、世界でのポジションは「偏差値50以下」なのだ。

韓国の経済発展が滞る内在的な要因として、人口が5000万人の小国で資源も少ないため、外需に成長を求めざるを得ないことがまず挙げられる。ただ、やはり最も大きいのが、財閥系企業への依存が激しすぎることだろう。

韓国には現在、約50万社の企業があるが、GDPの70%以上を5大財閥系企業で占めるのだ。その1つ、サムスングループはGDPの約20%、同グループを代表するサムスン電機の時価総額は韓国株式市場の同3分の1にもなる。

新型スマートフォンが自然発火し、10月には生産中止に追い込まれたサムスン電子、8月末に経営破綻した海運会社・コンテナ運送会社「韓進海運」、10月に会長が背任や横領で韓国検察から在宅起訴されたロッテグループ……。韓国経済の屋台骨を支えている財閥系企業で今年、こうした悪い出来事が続いた。

ただ、普通の国では有力企業が傾いただけで国全体の経済が危機に瀕するということは、通常ありえない。ではなぜ、韓国ではこうしたことがピンチのきっかけとなってしまうのか。それは、財閥経済が生まれた歴史的背景が大きい。

政財界の癒着、政治スキャンダルに絡む財閥起業

朝鮮戦争やその後の動乱で混乱した経済を短期間で立て直すため、韓国では経営基盤のある財閥企業を許認可などで優遇する政策がとられてきた。

結果、政財界の癒着が生まれた。現在、朴槿恵大統領の友人が国政介入をめぐって起訴され、大統領自身も弾劾訴追で職務停止に追い込まれる騒ぎとなっているが、その中で指摘されているのが友人の設立した企業や財団に便宜を図るよう、大統領が財閥企業に圧力をかけたとされている。

このように、韓国では大統領経験者が自殺したり逮捕されたりなど経済がらみの政治スキャンダルが多い。絡んでいるのがいつも財閥系企業だけに、経済に与える影響はいつも大きい。

韓国人自身も弱点としてよく分かっているようだ。韓国最大の新聞「中央日報」は12月15日付のコラムで「経済を滅ぼしたのはまさに政治であり国会であった」と指摘。その理由は、国会の関心はすでに朴政権後であり、朴政権の経済が失敗すればするほど次の選挙で有利になるとの政略的判断を働かせ、経済を活性化させる法案成立を頓挫させたから、としている。大統領のスキャンダルに絡み、国政調査に出てくるよう財閥系グループ会長に注文したのも国会であり、「国家イメージの失墜、韓国経済のリスク拡大」について国会は何も考えていないというのだ。

まさに政治の未成熟さ、無責任さが経済の停滞を招いていると言えよう。

「国家のガバナンスは効いており、財政的余力もある」ムーディーズ

しかし、悪い評判ばかりではない。アメリカの格付け会社「ムーディーズ」は必ずしも韓国経済を見放してはいないようだ。同社は12月13日、韓国政府についての分析を発表した報告書の中で「韓国経済の制度や財政的能力で政治的空白を乗り切れることができる」と指摘した。韓国は12月3日に国会で予算案を可決したことや、GDPに対する政府の負債が38%にとどまっていることなどを挙げ、混乱状態にありながら国家のガバナンスは効いており、財政的余力もあるというのだ。

また、12月20日、サムスン電子の株価が180万ウォンを突破して過去最高値を更新した。ギャラクシーの爆発で世界的に信用を失ったにもかかわらず、史上最高の株価をつける企業が存在することは、韓国経済はまだまだ希望を失っていないと見る向きもある。

ただ、そうはいいながらもムーディーズは一定の懸念も示す。「弾劾訴追が進められる間、企業活動や消費者の支出が鈍る可能性はある」と。支出が滞ればGDP の成長にマイナス。そうなると同社は韓国の格付けを低くせざるをえなくなるのだ。これが原因でいっそうの経済停滞もありえる。

こうなると雇用が悪化し賃金も減少するため、国民の政権への不満は高まる。政権を追及する声が高まると、財閥企業との癒着を指摘する力が働き、刑事訴追された財閥企業は活動も停滞、国全体の経済に影響を及ぼす…。

こうした負のスパイラルから抜け出すには、国家の構造を改めるしかないのではないか。まずはインフラ整備を進め、個人消費を安定的レベルまで高めていく。そうやって財閥経済からの決別を進めていくことが、先決といえそうだ。(飛鳥一咲 フリーライター)

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