貯金を始めなくてはと考えていても、出費に追われなかなか貯金ができないという方も多いのではないだろうか。あなたがもし、「貯金は苦手だ」と感じているなら、財形貯蓄制度を活用してみてはどうだろうか。

毎月の給与から一定額が天引きされ、確実にお金を貯めることができる制度だ。つまり、会社を通した貯金制度である。さらに、財形貯蓄ならではのメリットもある。今回は、財形貯蓄を一から学べるよう、基本的な部分解説していく。

目次

  1. 財形とは
  2. 財形のメリット
  3. 財形貯蓄とは
  4. 財形貯蓄の始め方
  5. 財形貯蓄をするにあたる注意点
  6. 住宅購入の可能性があるなら活用しよう

財形とは

財形とは正式には「勤務者財産形成貯蓄制度」という。勤労者財産形成促進法という法律に基づき、勤労者の貯蓄を目的とした貯蓄商品である。残念ながら、財形貯蓄制度は誰でも利用できるわけではい。勤め先の企業が、財形貯蓄が用意されていなければ加入することはできないのだ。自身の勤め先にこのような制度がないか、まずは確認してほしい。

財形貯蓄は、企業が給与から一定額を天引きしその資金を取扱金融機関へ送金し、勤務者の財形口座に目的に応じた貯蓄を行うものである。一般財形貯蓄、財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の3種類がある。

一般財形貯蓄は教育費やその他の用途、財形年金貯金は老後資産のため、財形住宅貯蓄は住宅購入のために用いられる。

財形のメリット

財形貯蓄の魅力は、給与から天引きで一定額を積み立てていくことが可能という点である。会社を通して貯蓄を行うため、積立定期預金などに比べ解約しにくいという点も、貯蓄が苦手という方にはメリットがあるだろう。

加えて財形貯蓄には、税制面でのメリットがある。通常、預貯金などの利息は課税の対象となる。財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄の場合には、利息がついた場合でも元本部分550万円までが非課税扱いとなるのだ。ただし財形年金貯蓄、財形住宅貯蓄それぞれに加入をする場合には、両方の合計額が550万円以下でなくてはならない。また、保険での貯蓄も可能で、財形住宅貯蓄の場合には550万円まで、財形年金貯蓄の場合には385万円までが非課税扱いとなる。(2016年12月現在)

財形貯蓄を1年以上続けていて、残高が50万円以上ある場合には、「財形住宅融資」という制度も利用できる。これは、住宅購入に必要な資金の90%まで融資を受けることができる制度だ。残高の10倍(最大4000万円)までの金額を借りることができる。ただし、自身の所有、居住のために住宅を建設、購入、リフォームを行うことが前提となる。

財形貯蓄とは

財形貯蓄が用意されている企業であれば、パートやアルバイト、契約社員でも利用可能である。先ほど触れたように、財形貯蓄には「貯蓄」と「保険」という方法がある。貯蓄型の場合には、期日指定定期、金銭信託、公社債投信、国債、社債などが対象である。保険型は、生命保険や損害保険などが対象だ。それによる利子分は非課税になるのである。

財形貯蓄の始め方

財形貯蓄に加入するには、会社の福利厚生を担当する部署に問い合わせることになる。もし、勤め先の企業が財形貯蓄制度を用意していなければ、個人での加入はできない。もし、会社に財形貯蓄制度が用意されているのであれば、貯蓄の目的を明確にする必要がある。財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄は1人1契約まで、一般財形貯蓄は可能な限りいくつでも併用可能だ。どの目的でお金を貯めるのか、どのような商品を選ぶのかを決める必要がある。選ぶ商品によっては元本割れの可能性もあるので、選択は慎重に行って欲しい。

あなたが企業の経営者、つまり人を雇う側である場合には財形貯蓄導入までにいくつかのステップが必要だ。まず、取扱金融機関と相談を行い、福利厚生制度として社内規定を作成する。次に、法律上賃金の一部を控除して支払うために労使協定を結ぶ。社内担当者に制度を正しく理解させ、制度が整ったら社員に説明、希望者を募ることになる。申込書を記載してもらい、それを金融機関に提出をする。

財形貯蓄をするにあたる注意点

財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄に加入をしていて、その目的以外での引き出しを行う場合には注意が必要である。その場合、「全部解約」という方法をとらなければならないのだ。全部解約をすると、過去5年間に遡り、利息分に課税されることになる。もちろん、元金はそのままだが、利息部分でのメリットを受けられなくなるのだ。

住宅購入の可能性があるなら活用しよう

一般財形貯蓄から他の財形貯蓄への変更はできないので、まずは貯蓄の目的を明確にしてほしい。また、転職などにより会社を退職する際には、転職先に財形貯蓄制度があれば引き続き利用することができるが、制度がない場合には解約することになるので注意してほしい。

財形貯蓄は、いつかはマイホームを購入するならば、メリットは大きいだろう。節税対策のためにも、ぜひ覚えておきたい制度である。