財形貯蓄という制度は地味な印象があるものの、メリットはとても大きいものである。あなたの会社は、財形貯蓄を導入しているだろうか。実は、メリットの多い財形貯蓄制度は企業単位で導入しているかどうかが異なるため、このメリットを受けることができない人もいるのだ。
もし、あなたの勤め先で財形貯蓄を導入していて、今後住宅購入などを検討しているならば、ぜひ活用したい制度の一つである。今回は、財形貯蓄のメリット、デメリットについて徹底的に比較していく。
財形貯蓄とは
財形貯蓄とは、一言で言えば会社を通した預金制度である。正式には「勤労者財産形成貯蓄制度」という名称で、勤労者財産形成促進法という法律に基づき、勤労者の貯蓄、持ち家取得の促進を行うことが目的の制度だ。
財形貯蓄は誰でも利用できる制度ではない。勤務先が財形貯蓄制度を導入していなければ、利用できないのだ。福利厚生の一つであるため、まずは自身の勤め先の担当部署に確認をしてほしい。財形貯蓄を導入している企業であれば、申し込みを行うことで給与から自動的に一定額が天引きされ、企業が金融機関に送金を行う。
転職などにより退職した場合には、転職先の企業に財形貯蓄制度が導入されていれば、引き続き加入することが可能だ。しかし、転職先が財形貯蓄制度を用意していない場合には解約することになる。個人での加入はできないのである。
財形貯蓄の種類
財形貯蓄には、それぞれ貯蓄目的別に「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3種類がある。
一般財形貯蓄は、使用用途は限定されておらずいくつでも加入することができる。ただし、一般財形貯蓄は後述するメリットが小さいため、慎重に判断する必要があるだろう。
財形住宅貯蓄は、住居の購入、リフォームのための資金を貯める目的で利用するものだ。それ以外の用途では、引き出しができない。財形年金貯蓄は、老後のための資金を貯めることが目的で、財形住宅貯蓄同様それ以外の用途では利用できない。
財型貯蓄のメリット
財形貯蓄制度の最大のメリットは、税制面の優遇だろう。一般財形貯蓄はこのメリットを受けることができないが、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄に加入すればそれぞれ元本を合計した550万円までの範囲で生じた利子所得が非課税となる。
ただし、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の両方に加入をする場合には、その合計額が550万円以下である必要があるので注意してほしい。また、財形貯蓄には「保険型」と呼ばれるものがあり、保険を通して貯蓄を行うことができる。その場合、限度額は変わり、財形住宅貯蓄の場合には550万円まで、財形年金貯蓄の場合には385万円までとなる。
二つ目のメリットは、「財形住宅融資」を利用できることだ。財形住宅融資とは、住宅金融支援機構から自身が所有、居住するための住宅購入、建設、リフォームにかかる費用の90%までの資金を融資してもらえる制度である。3つの財形貯蓄のうちいずれかを1年以上継続しており、申込日前2年以内に財形貯蓄の預け入れを行い、申込日時点での残高が50万円以上であれば利用できる。ただし、勤務先から住宅手当、利子補給、社内融資などの援助(負担軽減措置)を受けられることが条件となっている。残高の10倍の額(最高4000万円)と必要費用の90%のうち、いずれか低い方の金額が融資可能額となる。
もう一つの隠れたメリットは、「会社を通して貯金する」というシステムにある。積立定期預金などを利用している人も多いと思うが、自身の都合で解約をしてしまったという経験がある方もいるだろう。財形貯蓄の場合、給与から一定額が天引きされ、引き出すためには、原則会社を通さなければならない。また、解約をした場合にも手元に資金が戻るまでに一定期間必要となるため、「解約しづらい」という点で、貯蓄が苦手な方はメリットがあるだろう。
財型貯蓄のデメリット
一般財形貯蓄の場合、税制面でのメリットがないため場合によっては、自身で運用した方が結果的に資金を貯められる可能性がある。一般財形貯蓄を選択する場合には、他に高金利の商品がないかを調べた上で、判断を行って欲しい。最大のデメリットは、この部分だろう。
今後、住居を購入予定がない場合でも税制面での優遇が受けられる財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄を選択しておけば、万が一その用途での利用でない場合でも、利子分の課税(遡って5年分)を支払えば引き出しは可能である。
つまり、何を目的にするか明確でない場合には財形貯蓄は、あまりメリットはないだろう。一般財形貯蓄から財形住宅貯蓄への変更はできないため、住居を購入する可能性が少しでもあるならば、財形住宅貯蓄を選択することをお勧めする。
財形貯蓄を導入していない企業も、多く存在するのが現状である。もしあなたの勤務先で、財形貯蓄が用意されているのであれば、それは節税や融資のメリットを受けられるということである。多くの人が、将来的に住居を購入するだろう。財形貯蓄をうまく活用し、将来のための資産形成を行いつつ、節税対策をしてほしい。
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