相続,相続 期限
(写真=Thinkstock/Getty Images)

相続の手続きには期限が定められている。厳密には相続とは被相続人(亡くなった人)の死亡によって自動的に開始されるものであるため、遺産相続そのものに期限が定められているのではない。

実際、特別な手続きを行わずとも相続は開始され、被相続人が所有していた財産は速やかに相続人へ引き継がれることとなる。では期限を気にしなければならない相続手続きとはなんなのか、その期限などと合わせて解説する。


相続にまつわる申告期限とは

相続は民法において、被相続人の死亡により、被相続人の所在地(住所)において自動的に開始される。だが次に挙げるような手続きを期間内に行わなければ、主に遺産分割協議、相続税の申告・納税などに際してリスクを背負う可能性がある。

限定承認、相続放棄:3か月以内

限定承認とは、被相続人の財産総額が把握しきれない相続などにおいて、プラスの財産とマイナスの財産(債務)を相殺したときにプラスとなるのならばこれを相続する、と「相続人全員」が選択することをいう。相続放棄は、被相続人の財産のすべてに対して「各相続人」が相続を放棄することをいう。

いずれも相続開始から3か月以内が期限となっており、期間内に管轄の家庭裁判所へ申述書の提出を行わなければ、相続人は被相続人の債務を含む財産のすべてを相続しなければならない。なお被相続人が所有していた債務などについて、期間内に知ることが難しかったと判断できるようなケースでは期間外でも相続放棄を認める場合があるが、これはあくまでも例外であって基本的には期間内の申述を心がけるべきだ。

準確定申告:4か月以内

被相続人の所得に対して所得税の申告が必要な場合には、相続人はこれを準確定申告によって代行しなければならない。申告義務があるにも関わらず申告を行わなかった場合には、延滞税などの罰則が課せられてしまう。

相続税申告及び納付:10か月以内

実際に相続した財産に対しては、10か月以内に相続税の申告及び納付を行わなければならない。これも怠った場合はやはり延滞税が発生するほか、もしも意図的に申告や納付を行っていない場合には、重加算税といった更なる罰則が課せられる可能性もある。

遺留分減殺請求:1年以内

遺言書による指定相続分に従って財産の分割が行われた相続において、一定の相続人は遺留分権利者として自身の遺留分を確保するために遺留分減殺請求を行うことができる。しかしながら遺留分減殺請求は相続開始を「知ったとき」から1年間(相続の事実を知らなかった場合においても10年間)で時効によって消滅してしまう。

相続税額の控除(配偶者控除など)の適用:相続税申告から3年以内、または遺産分割成立から4か月以内

相続した財産に対して課せられた相続税について、配偶者控除などの税額軽減制度を適用するためには、3年以内に遺産分割が終了している必要がある。もしもこれが何らかの事情によってかなわない場合は、管轄税務署の承認を受けることでその事情がなくなった日の翌日から4か月以内にまで延長することができる。

相続登記、遺産分割協議書作成:期限なし

不動産などを相続した際に行われる相続登記や、相続人が複数いる場合に行われる遺産分割協議などには特に期限は定められていない。しかしこれらが行われなければその後の相続税申告などへ支障が出るため、やはり相続開始から速やかに行われることが望ましいだろう。

遺産相続の期限が過ぎてしまった場合の対応

まず相続放棄については前述の通り、「その債務を知る余地がなかった」と客観的に判断できる理由がある場合には本来の期間終了後であってもこれが認められる可能性がある。だが、その債務がかかる不動産の相続登記を済ませていた場合や、あるいは債務通知書が送付されていたなどの事実があった場合は、当然この相続放棄は認められない。

ただし、相続財産の調査などに時間がかかっていることを事前に裁判所へ説明することができれば、申述期間そのものの延長が認められるというケースもある。

また相続税の納付については、その金額の多寡や放置していた期間などに関わらず、速やかに申告及び納付を済ませるべきだ。無申告が税務調査によって発覚した場合は、延滞税だけでなく重加算税などの罰則が課されてしまう可能性が高い。

期間は守るべきものだが事情を説明することも大切

どの手続きにも言えることだが、原則として定められた期間は守られるべきものであるとしながら、しかし特別な事情がある場合にはこれの延長を認めるというケースがほとんどである。もしも遺産分割協議に時間がかかっている場合などは、その他の手続きをおざなりにするのではなく、期間延長の手続きを同時に行うと良いだろう。