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(写真=Thinkstock/Getty Images)

奨学金の返済が大きな社会問題だ。奨学金とは教育費をそれまでの貯蓄ではカバーすることができず、社会人になって収入を得るようになってから返済をする国の制度。独立行政法人の日本学生支援機構(JASSO)が運営している。

奨学金を「返すことができない」という現実

奨学金は利息のつかないものと、返済原本と利息を返済する形態がある(JASSO HP:http://www.jasso.go.jp/index.html)。奨学金を貸付するにあたり重要な利率の決定方法は、借入終了時(返済開始時)に決定した利率が固定される利率固定方式と、定期的に利率が見直される利率見直し奉仕式がある。

近年、少子化もともない奨学金事業全体は縮小傾向にあるが、無利子の貸与者が拡充するなど、奨学金の負担感は拡充している(同「奨学金事業への理解を深めていただくために」より)。

ところが、近年「奨学金を返すことができない」という若年層がマスコミ等で注目を浴びるようになった。20代や30代への賃金ベースの抑制から大学卒業後に返済を継続することができないケースと、そのような「現実」が報道されるようになって将来への不安から進学を取りやめる動きのことを指す。いずれも若年層の家計管理や進学の可能性を摘み取ってしまう社会問題だ。

そして、その根底には奨学金を何とか返済できているものの、本来は20代で取り組むべき貯蓄の形成や自己投資などの原資が返済に充てられること、また生活レベルそのものが落ちてしまう「奨学金貧乏」が一定数いるのではと目されている。

「奨学金貧乏」とならないために

奨学金は利子の有無を問わず、「借入金」であるため返済の義務は必ず生じる。両親の家計状況から止むを得ず奨学金を借りる学生も多いと思うが、返済を棒引きにしてしまっては教育費を捻出した家計とのあいだに不平等感が生まれる。奨学金問題が「返済義務を免除するといい」という議論にならない大きな理由だ。

奨学金問題が今年大きな注目を浴びるようになって、様々な意見も生まれている。「教育にそもそもお金がかかることが問題」「若年層の給料レートが低いことが問題」という指摘は正しいが、解決するために長期的な時間がかかることは否めない。奨学金の返済による生活の負担感は、それだけ「根本的解決方法が見えない社会問題」といえるだろう。

そのなかで奨学金貧乏とならないために今出来ることは、家計の管理と「返せないときの方法」を学ぶことだと思う。

奨学金を返すことができないときの方法

JASSOでは「借り入れた奨学金の返済が滞ったときの方法」を説明している。その3つの方法が「減額返還」と「返済期限猶予」、「返済免除」の3つだ。

(1)減額返還
減額返還とは、毎月の返済額を半分にして返還する方法だ。災害や疾病、経済的理由が原因で、返済期間を引き延ばすと返済が可能な借入者を対象としている。一定期間の返済額を1/2として、延滞した分の返済期間を延長する。最長10年(120カ月)まで延長することができる。まずはこの減額返済をメインとして考えたい。

(2)返済期間猶予
減額ではなく、返済義務そのものを猶予することのできる制度。返済元本や利息そのものが免除されるものではないため、経済的負担と照らし合わせて返済期間猶予とするか、前項の減額返済とするかの判断が求められる。

(3)返済免除
死亡または高度障害となった場合は、返済免除の申請をすることができる。以前は所定の教育・研究職となった一部の者にも返済免除が実行されていたが、現在は廃止されている。

これらの制度を活用することで、奨学金返済の負担感が強く。「奨学金貧乏」となっている現状を「緩和」することができる。ただ繰り返しになるが、奨学金の制度を利用せず教育費を確保した家計と平等とするため、基本的に「免除」となることはないという原則も同時に認識する必要がある。また、これらの制度は希望すると誰でも活用できるものではない。所定の審査や対象条件があることも注意だ。

今出来ることをそれぞれの立場で

奨学金貧乏とならないためには、毎月の返済計画を組み立てることが第一だ。社会人になってからの住宅ローンの返済や、経営者の人は借入金の返済に性格が似ているものといえるだろうか。そのなかで、いくつかある「奨学金を返済できないときの方法」を知ることが、奨学金貧乏にならないためにいま出来ることといえるだろう。

もちろん、なぜ奨学金貧乏が発生するのか、社会的構造の矯正を同時に考えていく必要がある。奨学金制度の運営元が悪い、制度が悪い、そして社会が悪いとならないよう、今出来ることをそれぞれの立場で考えるようにしていきたい。

工藤 崇(くどう たかし)
FP-MYS代表取締役社長兼CEO。ファイナンシャルプランニング(FP)を通じ、Fintech領域のリテラシーを向上させたい個人や、FP領域を活用してFintechビジネスを検討する法人のアドバイザーやプロダクト支援に携わる。Fintechベンチャー集積拠点Finolab(フィノラボ)入居。執筆実績多数。

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