日銀の貸出先別貸出金調査では、2016年4-9月期の新規貸出金に占める不動産投資向けは全体の1割を超え、史上最高水準となった。
不動産投資は、マイナス金利政策が続く中、FXや株式投資に比較して安定的であるといわれている。しかも、定期預金や国債などに比較すると高い利回りであり、ミドルリスク・ミドルリターンの投資として人気を集めている。最近では日本国内の不動産だけではなく、アメリカや東南アジアなど海外不動産向けの投資も脚光を浴びているようだ
しかし、海外の不動産投資にはリスクはないのだろうか。海外不動産向け投資のメリット・デメリットを検証してみよう。
海外不動産投資のメリット
1. 日本に比べて大きな売却益が期待できる
海外の不動産、特に東南アジアなどの国々の不動産は、まだまだ日本の不動産よりも安い価格帯にある。それがインフラの充実や経済発展により、急速にインフレが進み物件価値が上がることが往々にしてある。上海や北京の不動産価格の上昇は、記憶に新しい。多くの新興国でも同様の状況が起こりうる
2. 現地の銀行ローンは「ノンリコースローン」が多い
不動産投資の場合、融資を活用することが多い。日本の金融機関では、不動産投資ローンは物件を担保とする他、融資を受ける本人の信用状況や支払い能力が審査の対象となり、本人が債務を保証することになる。一方、海外の金融機関の多くは、不動産投資はノンリコースローンを利用することができる。ノンリコースローンとは、物件を担保に入れることで自らは保証人になる必要はなく、物件を手放せばローンの支払いを免除されるという融資である。この融資を利用することで、もし投資が失敗して撤退する場合でも、リスクは限定されることになる。
3. 節税メリットが大きい場合もある
各国の不動産投資の収益は、それぞれの国での税法に従うことになる。法人税・所得税は、日本は世界でも有数の高税率国であるため、海外で納税をすることができれば節税メリットが生まれることが多いのだ。また、アメリカのように不動産の建物評価率が高い国では、同じ投資をしても減価償却を認められる金額が大きくなる。多くの金額を経費計上できるメリットが生まれるというわけだ。また海外資本の投資に対して一定の条件下で、優遇税率を適用する国も多い。
海外不動産投資のデメリット
1. カントリーリスク
日本とは違う、さまざまな法規制や税の規制がある。そのうえ、法律や税制が急に変わることがあり得る。たとえばタイでは2014年にクーデターが起こり、政局自体が変わってしまった。そうした場合、海外投資による不動産所有の規制が変わることや、禁止・財産没収ということも起こり得るのだ。
2. 為替リスク
収入や資産評価は現地通貨となるため、為替リスクがある。急激な円高は、収入や資産が低下することになる。
3. マーケットリスク
海外の不動産市場は、その国独自の経済要因や開発状況で変動する。入居者や購入者の志向や人気スポットも変化していく。そうした現地の市場動向を的確に日本から察知することは、国内の不動産市場動向を把握するよりも数段難しい作業となる。追加投資や撤退などの時期を見計らうのが困難となり、不必要な経費をかけることになりかねない。
4. 管理リスク
物件選びから、契約締結、入居者募集の広告、修理や未納金の督促、支払い、税務申告など、管理業務もすべて現地語または英語で現地の法律に則って実施しなければならない。また、上記3点のリスク対応策も実施しなければならない。それらを日本在住、しかも個人で実施するのは難しいだろう。そのため、売買から管理まで海外投資専門の不動産会社などに依頼することになる。そうした専門の不動産会社も、現地の会社・代理店などとのパイプを持たなければならないため、日本の不動産会社・不動産管理会社に比べコストがかかることになる。
海外不動産の特徴から見る、投資のスタイル
海外不動産投資のメリットとデメリットをみてきた。
海外不動産の特徴をみると、国内不動産投資がミドルリスク・ミドルリターンの投資だとすれば、海外投資はハイリスク・ハイリターンの投資により近いものだといえるだろう。
いずれにせよ、海外不動産投資の実施と管理を安心して行うためには、その業務と投資先の国、不動産市場、法制・税制について、精通した専門不動産会社の存在が不可欠であろう。メリット・デメリットをきちんと理解したうえで、自分にあった投資先を探すことが大切である。(提供: 百計オンライン )
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