2016年は「Brexit」や「米大統領選トランプ候補勝利」など英国と米国という2つの大国が人々の予想を大きく覆す決断を下すサプライズの多い年となった。そうしたなか、日本の株式市場は大まかにみれば前半安・後半高の展開となり、このままいくと、日経平均株価は5年連続で上昇し、バブル崩壊後の連続上昇記録を更新することとなる。

良好な環境で日本株は2016年の取引を終えそうな気配だが、株高基調は2017年も続くのか、はたまた、株高の流れは長続きせず、再び日経平均株価はレンジ相場に回帰してしまうのか。本稿では2017年の日本株の見通しについて展望していきたい。

2017年も「グレート・ローテーション」が続く

結論からいえば、2017年の国内株式市場は、米トランプ次期大統領の政策への期待を背景に、米長期金利の上昇に合わせる形で債券売り・株買いの資金移動(グレート・ローテーション)が続くと考えており、日本株は上昇基調を辿るとみている。

米長期金利上昇・ドル高(円安)基調継続を背景として、3月末に向けて日経平均株価は2015年6月につけたアベノミクス相場の高値(2万868円)更新を試す展開となろう。

5月頃には欧州の政局や日本の企業決算への警戒感から、一旦下落するリスクがあることには注意を払う必要がある。ただ、その後は大型減税やインフラ投資といった、トランプ次期大統領の政策の具体化を織り込む形で、年末に向けて1ドル=120円まで円安が進む展開も想定され、その場合、日経平均株価は2万3000円程度まで上昇するとみている。

これまでの「投資の大前提」が変わる

トランプ氏の政策の中身を見る限り、米国はこれまでの「低金利継続」から「ある程度の金利上昇を容認」という姿勢に転換する可能性が高い。

「低金利継続」を前提に2014年の年初から2016年夏場まで約2年半にわたり米長期金利の低下基調が続いてきたことを考えると、それだけ世界の投資家が膨大な米国債買いの持ち高を積み上げてきたことが想像できる。トランプ政権が誕生することにより、投資家にとってはこれまでの投資の大前提が変わることになるため、ゲームのルールが変われば、当然、投資家サイドもそれに応じた投資戦略に転換せざるを得ない。

となると、投資家の持ち高調整は当面続く形になるとみており、グレート・ローテーションの流れは簡単に終わるものではないといえるだろう。

日経平均株価で「2万3200円」も想定される

2017年度の企業業績見通しにおいて、主要企業(大和集計日経225ベース)の経常利益は1ドル=110円前提で11.6%増益、同115円前提で13.1%増益、同120円前提で14.5%増益を想定している。円安による増益効果だけでなく、継続的なコストダウンや付加価値拡大の成果が顕在化するとみられることが全体業績を押し上げると考える。

企業業績見通しから試算される2017年度内の想定日経平均株価は、年度平均のドル円が110円、予想PER16倍(現状水準)で2万600円、ドル円が115円であれば2万1200円となる。さらに、1ドル=120円まで円安が進んだ場合、予想PERは17倍程度まで拡張する可能性があり、その前提のもとでの日経平均株価は、2万3200円と計算される。

ドル円レートの想定レンジは115円を中心とし、105~120円を想定するが、米国の10年国債利回りが3%程度まで上昇する可能性もあり、レンジ上限の120円を目指す動きも想定できそうだ。