中国海軍,危険空母,遼寧
(写真=Thinkstock/Getty Images)

中国海軍の梁報道官は、海軍の遼寧艦編隊は西太平洋の遠海訓練海域へ赴いたと発表した。また今回の訓練は年度訓練計画を根拠に、組織的に実施される。つまり急きょ思いついた行動ではないということだ。

しかしそんなことはだれも信じていない。また艦隊規模については、日本の自衛隊統合幕僚部からの報道を引用して8隻としている。中国側の発表はなく、自衛隊は中国メディアと人民の知る権利に貢献した。

しかしこれは本当に海軍の意思だろうか。広い太平洋で中国海軍の実力が、白日の下にさらされてしまうリスクは大きい。米国の無人潜水機捕獲事件でミソをつけた南海艦隊に代わり、北海艦隊が見せ場をつくるという失地回復のパフォーマンスなのか、それとも海軍全体に党が課した罰ゲームなのだろうか。

なにしろ「遼寧」とはこの上ない危険空母なのである。

「遼寧」の事故歴

今年の8月ごろ、「遼寧15人犠牲の真相」と称する記事が話題となった。遼寧改造のプロジェクトリーダー、中船重工集団高級エンジニア・王氏は、記者の質問に次のように答えた。「空母への改造工程量はばく大だった。時間は切迫し15カ月で完成させたのだが、それは30カ月分の仕事量に相当した。この期間に同一部門の15人が犠牲となっている。」

おそらくその影響で、2014年には蒸気爆発事故を起こした。欧米のマスコミは、戦闘力不足、事故頻発、今度はボイラーと囃し立てた。国防部報道官は西側の言うようなボイラー爆発の大事故ではない。実際の事故は小さくボイラー本体とは全く無関係の個所で起こったと釈明した。

同年9月には、遼寧の離着艦訓練任務で重大な貢献をした同志2人が生命を“供出”した。彼らに“英雄試飛大隊”の栄誉称号を贈る命令書には、習近平主席自ら署名した。

2015年5月には遼寧の艦載機隊パイロット2人が墜落事故の犠牲となった。うち1人は女性だった。記事によるとこの事件は空母上ではなく、陸上基地における飛行訓練だったとある。市街地を避け森の中へ墜落した。これは英雄的行為と称賛された。

2016年4月には、着艦訓練時における電気系統の突発故障により、2人のパイロットは脱出したが、接地の衝撃で死亡した。2012年11月に初の着艦に成功して以来、初めての着艦事故だった。

また2016年を通じて人民解放軍では30人の軍人が殉職している。そのうち南スーダンの平和維持活動で犠牲になった5人を除く、25人は何らかの事故犠牲者だろう。戦闘機関連で17人という説もある。遼寧の関係者もいないとは限らない。

これらは公になったもの、バレてしまったケースだけである。軍指導部の見栄または安請け合いのため、多くの人が犠牲となった。お気の毒としか言いようがない。

アメリカけん制の総動員体制

このような危険空母を世界の耳目にさらす目的は何か。やはりアメリカ新政権への不安しかない。メディアは総動員体制で米国へのけん制記事を掲載している。その流れ玉は日本にも及んでいる。

最近では、ロシアが米国との関係を最低限に“凍結”したこと、また日本が米国の意向にさからって国連で反対の評決をしたことなど、まるで米国はすべての国と対立しているかのような表現も目立つ。それでも口だけでは不安で、ついに禁断の遼寧まで出動させた。

中国の「トランプ神経症」はかなり重症に見える。とにかく遼寧は、中国をないがしろにするとどうなるからからないぞという米国威嚇の旅に出た。メディアはさっそく米中が空母で対峙する新時代などと迎合する記事を発信している。それよりも初めての外海、まず無事故で帰還することである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

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