中国,安倍政権,尖閣,魚釣島,新華社
(写真=eXpose/Shutterstock.com)

新華社世界問題研究センターの張研究員は、新華網(新華社直営ニュースサイト)第七回国際問題研究討論会において基調講演を行った。その中で安倍政権は全面的反華外交を推進していると指摘した。

米国の新政権に向けて、さまざまなけん制を繰り返す中国。その矛先を日本へ向けた発信も増やしている。これはその中でも公式見解に近いものと言ってよいだろう。内容を詳しく見ていこう。

安倍政府、狼の野心

民主党野田佳彦元首相時代の中国が固有領土と主張する釣魚島(魚釣島)の国有化以来、日本は中国と対抗する「外交道路」を走り始めた。自民党安倍晋三の政権復帰後は、日本は最も大きく、そして現実的な敵国である。

中国が周辺国家や地区と領土領海争いの都度、無から有を生じさせ「中国脅威論」をふりまき、中国の主権維持行動を誇大に歪曲するのである。安倍政府は中国と周辺国家との関係をもつれさせようとしている。また国際会議の場でも勝手な言辞を弄し、中国の横暴と指摘する。

安倍政政権は中国の行為を魔物のよう宣伝し、中国は東南アジアや世界の敵であるかのように描き、すでに「反華」陰謀は充分に暴露されている。安倍政府は中国脅威論と同時に、軍備拡充を伴う積極的平和主義を実行に移している。集団的自衛権の解釈変更、新安保法の制定などで狼の野心を掲げている。中国は高度の警戒心を保持しなければならない。

安倍政府への対抗は必須

中国政府は再三日本安倍政府の「回心」を期待すると表明してきた。しかし日本の言う中国との関係改善は、二枚舌の欺瞞であることが実証されている。中国人の「言を聞いて、行いを見よ」の格言からすれば、安倍政府の言行は一貫した反華的政治精神と完全に一致する。

中国に対抗する最優先の方向とは、政治、軍事、外交上で米国と連合したアジア太平洋の平衡戦略である。日・米・韓・豪との同盟強化、中国との紛糾を抱えた国家の支持などで、全方位から中国と対抗しようとしている。

中国はこうした安倍政府の「反華」に高度な外交戦略方針を制定し相対しなければならない。日本はすでに中国への全面対抗策を、新しい国策と戦略の中心とした。中国はその発展により国際舞台において大いに力を発揮する時期に至っている。安倍政府への対処、対抗を考慮するのは必須である。もしここで正確な判断をせず対対日本戦略を欠けば、中国の権益は大きな損失を被るだろう。

安倍真珠湾訪問、平和の使徒はお断り

以上の講演は、安倍首相の真珠湾訪問直前で、国民向けに安倍政権の危険性を改めてアピールという意味もありそうだ。別のメディアでは、日中戦争時に米軍の通訳をつとめた中国系アメリカ人を探しだし、日本は真珠湾より先に中国へ謝罪すべき、とする記事も出している。

また日中戦争関連の旧悪を暴露する記事や、自衛隊関連記事もこのごろ非常に多い。安倍首相に真珠湾で、平和の使徒でもあるかのように振る舞われたらたまらない。明らかに焦りが見える。

しかしその最大の原因は、米国新政権への不安である。1月20日のトランプ大統領の就任まで、あらゆる米国けん制を試みるだろう。日本はときにその巻き添えとなる。しかし中国がこれほど落ち着きを失うのは珍しい。弱みを見せず自らを大きく見せ有利を拡大する、という伝統の中国兵法ができていない。空母・遼寧を出動させるなど手のうちをさらけ出している。

ひょっとするとこの評論は、現政権は外交オンチではないか?との国民の疑惑から目をそらす意図かもしれない。いずれにしろもし小平だったらこんな稚拙なことはしまい、と思う人は国内外を問わず多いのではないだろうか。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)