原油市場,2017年見通し
(写真=PIXTA)

2016年の原油価格(WTI、期近)は年初から急落となり、リーマンショック後の安値を飛び越えて約12年ぶりの低水準まで値を崩す場面もあった。しかし、その後は産油国による「増産凍結」や「減産」の動きが伝わったことで持ち直し、終わってみれば約45%上昇と7年ぶりの大幅高となった。

8年ぶりとなったOPECの減産決定後のテーマは何か。2017年の原油市場の注目点を探ってみよう。

12月のリビアとナイジェリアの生産量を確認

2014年以降、OPECと米シェール企業によるシェア争いが原油価格の下落を招いていたが、シェール企業の相次ぐ破たんとOPECの減産合意を経てようやくこの流れに終止符が打たれた。とはいえ、原油価格のポイントはOPECとシェール企業が握っているという構図に変化はなく、今後の注目点も両者の動きが中心となる。

まずOPECから見ていくと、最初の注目点はリビアとナイジェリアの生産動向だ。具体的な数字は1月18日に公表されるOPECの月報で確認することになる。

OPECは昨年11月、今年1月から10月比で約120万バレル(日量、以下同)減産し、加盟国全体での生産量を3250万バレルに制限することで合意した。ただし、この減産には政情不安で生産が落ち込んでいるリビアとナイジェリアは含まれていない。

リビアの10月の生産量は52.8万バレルだったが、11月は57.5万バレルに増加し、12月は62.2万バレルに達する見通しだ。今後数カ月で90万バレルを目指すとしており、10月比で40万バレル近い増産が見込まれている。生産能力は160万バレル程度あるので、最終的には約100万バレルの増産余力を持っている。

ナイジェリアの10月の生産量は162.9万バレルだったが、11月には169.2万バレルへと増加、今後は220万バレルまで引き上げられる予定となっている。実施できれば、50万バレル強の増産となる。

リビアとナイジェリアでの増産はそのまま目標値である3250万バレルに上乗せされるので、生産の回復が順調に進むようだと、目標値が大きく上振れる可能性がある。

1月の月報では他国の12月の生産実績も確認できる。11月から増産しているようだと、減産への姿勢が疑われるかも知れない。

2月の月報で遵守率を確認