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(画像=キッコーマン飲料Webサイトより)

豆乳が近年例を見ないほど好調な売り上げを見せている。豆乳の爆発的な売れ行きからスーパーなどの小売店には豊富な種類の豆乳が置かれている。なぜ今豆乳が売れているのだろうか。

豊富な豆乳商品

豆乳の売れ行きが好調な中、メーカー各社は風変わりな豆乳商品も投入している。マルサンアイ <2551> では通常の豆乳以外にもカロリー50%オフの豆乳や、ストロベリー、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー4種のベリーを使用したベリーミックス、抹茶、オレンジ、ココア、イチゴなど多くの商品が販売されている。

スジャータめいらくでは、きなこ味の豆乳やバナナ味、麦芽コーヒー味、豆乳におからを加えた「のむ大豆」なども発売している。

好調な豆乳の販売環境を受け、ポッカサッポロも2015年に豆乳事業をトーラクから買収した。現在はきなこ味の豆乳や、黒ゴマ味、はちみつバナナ味、ずんだ味、レモンヨーグルト味、ココア味、青汁味など様々な豆乳商品を発売している。

業界最大手はさすがのラインアップ

メーカー各社が様々な豆乳商品を販売する中、業界最大手の豆乳商品も豊富なラインナップが用意されている。豆乳と言えば多くの方は紀文の豆乳を思い浮かべる方も多いだろう。しかし紀文の豆乳事業をおこなっていた紀文フードケミファは、2006年にキッコーマン <2801> が連結子会社化し、2008年にはキッコーマンの完全子会社となり、豆乳商品も紀文のロゴではなく、キッコーマンのロゴが使用されている。

ロゴが紀文からキッコーマンとなった豆乳だが、業界ナンバーワンの座は変わっていない。ラインアップは紹介しきれないほどの量で、Webサイトを見ると40種類以上の商品が並んでいる。スタンダードな調整豆乳を初めとして、特濃豆乳やカロリーオフ豆乳など、濃さも様々だが、味も多種多様である。

主な味としては紅茶や麦芽コーヒー、ココア、麦芽コーヒー、黒ゴマ、バナナなどから、フルーツミックス、メロ、梨、うめ。杏仁、プリン、バニラアイス、焼きいも、アップルパイなどというものまで。その他にも無調整豆乳や、にがりを加えれば豆腐ができる豆乳、期間限定で甘酒味やおしるこ味、さくら味なども販売されている。

豆乳の販売が好調なことも手伝って、キッコーマンは2016年3月期の連結決算で純利益が199億円と3期連続で過去最高となった。今後も好調な販売環境が維持できるとの見通しで2017年度は200億円の純利益を見込んでいる。

当然、生産も好調

業界最大手のキッコーマンが過去最高益を3期連続して更新しているが、豆乳自体の人気もうなぎ上りだ。日本豆乳教会が発表している豆乳等生産量等調査によると、1990年に2万7738KLだった豆乳全体の生産量が2000年には5万4041KLと増加しはじめ、2010年には20万9117KL、2015年には30万3482KLと大幅に増加しており2016年もさらに増加する見通しである。

2015年の豆乳全体の生産量と1990年の豆乳全体の生産量を単純に比較してみても約10倍もの生産量となっており、近年の豆乳ブームの凄さが改めて実感できる。

豆乳が売れる理由とは

豆乳ブームといっても過言ではないほど売れている豆乳だが、いったいなぜここまでの人気となっているのだろうか。

豆乳には低カロリーでありながら基礎代謝を高める働きがあるといわれる大豆タンパクや女性ホルモンに似た働きをし、女性特有の悩みのサポートや、女性らしさを維持する役目を果たすと言われる大豆イソフラボンなどの栄養素が含まれている。昨今の健康志向を背景に売り上げを伸ばしていると考えられている。

またコンビニでサラダチキンが爆発的に売れたことからも「身体を鍛えたい」層が存在し、「タンパク質」の積極的な摂取のためという目的も考えられる。

マイボイスコムが2015年1月に実施した豆乳に関するアンケート(インターネットで男性5836人、女性5445人が回答)では、「飲む理由」として最も多かったのが健康に良い(44.7%)あった。次いで栄養価が高い(37.1%)、おいしい(31.2%)となった。美肌(23.5%)、コレステロールの低減(22.6%)、高脂血症、動脈硬化などの対策予防(20.2%)、便秘を防ぐ・便通をよくする(19.2%)もあり、やはり健康を気にして飲む人が多いのが分かる。

豆乳飲用者の飲用頻度は、半年に1回以下が33.3%でボリュームゾーンとなったが、週1回以上も3割弱であった。一方で豆乳の嗜好度を尋ねたところ好きはわずか16.6%となり、どちらかといえば好きという回答も18.7%であった。豆乳を好きな人は豆乳人気の割には意外と少ないのが分かる。

これらの結果を見ると、豆乳自体は好きという人は少数派だが、昨今の健康志向が背景にあり健康の為に豆乳を飲む人が多いのが見て取れる。業界最大手キッコーマンも日本豆乳協会も今後の見通しは明るく、健康志向も手伝ってまだまだ豆乳人気は続きそうだ。(右田創一朗、元証券マンのフリーライター)

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