定年を控えた世代であれば誰しも一度は老後をどう過ごすか、また老後資金に不足はないかどうか考えたことがあるのではないでしょうか。老後資金といった、必ず準備しなければならないものは、計画的に着実に確保していくことが望ましいといえます。それでは一体どのぐらいの資金が必要なのでしょうか。
老後の生活費はいくら必要か
まず、老後の生活費がどの程度必要となりそうか試算していきましょう。総務省「家計調査報告(家計収支編)-平成27年平均速報結果の概況」によれば、二人以上の世帯のうち無職世帯(平均世帯人員2.43人,世帯主の平均年齢72.9歳)の1ヵ月あたりの消費支出は、248,232円となっています。
仮にこの金額を毎月の生活費としましょう。
夫婦ともに同年齢で60歳から30年間生存したとしたならば、
24万8,232円×12カ月×30年=8,936万3,520円
が必要になるという結果が出ます。
これは、あくまで現在の無職世帯の平均的な消費支出から算出したものになります。ゆとりある老後を過ごしたい場合にはどの程度の生活費が必要でしょうか。生命保険文化センター「生活保障に関する調査(平成25年度)」によれば、ゆとりある老後生活を送るための生活費は、月に35.4万円と算出されています。この金額で30年間の生活費を試算すると
35万4,000円×12カ月×30年=1億2,744万円
となるなど、どの程度の生活費を想定するかで必要な資金は異なりますが、おおよそ9,000万円~1億3,000万円ほど必要というのが調査結果からわかります。
老後年金はいくらもらえるのか
こうした生活費は、すべてご自身で賄わなければならないわけではありません。公的年金がある程度の老後資金をカバーしてくれますが、どのぐらいカバーできるのでしょうか。
何の職業か、上乗せ年金に加入しているかどうかで受け取ることができる年金額は異なってくるため、ここでは厚生労働省が示すモデル世帯(夫の平均的収入が月額42.8万円(ボーナス含む月額換算)で、妻が専業主婦)をもとに考えていきましょう。
モデル世帯の場合、2015年度に受け取る老齢年金は月額22万1,507円となっています。この金額をもとに、65歳から25年間夫婦で公的年金を受け取ったとすると、以下のような試算になります。
22万1,507円×12ヵ月×25年=6,645万2,100円
ここからいえることは、実際にご自身で貯める必要がある老後資金は、「老後の生活費-公的年金受給額=2,291万円~6,098万円」と計算でき、この金額を退職金や貯蓄等で賄っていく必要があるのです。
年金以外にもある?老後の貯金をふやす方法
ゆとりある老後を過ごしたい方は、6,098万円もの資金を確保していかなければなりません。仮に退職金が2,000万円だとしても、4,098万円不足することになります。
こうした資金は、若いころから貯蓄で計画的に行っていけば、なんとか確保できるとはいえるものの、お子様の教育資金や住宅資金など他の資金を考慮すると、難しいといったケースもありえます。また、一般的には老後資金の確保は、40代以降で考えるケースが多いといえることから、なかなか貯蓄では難しいというのが通常といえるのではないでしょうか。
とはいえ、老後資金はまとめて65歳段階で必要といったわけではありません。最終的に老後を過ごすうえで生活資金が確保できていればよいともいえます。そこで、資産運用による老後資金確保を考えてみましょう。たとえば、NISAによる非課税の仕組みを活用した運用や、確定拠出年金による運用なども選択肢になります。こうした制度は、うまく活用することで老後資金形成の手段として有効です。
早め早めの行動で必要資金の確保を
資産運用により必要資金を確保していくことも含めて、早め早めの行動がのちの不安を解消するには効果的です。ご自身にあった方法で準備を始めましょう。(提供: プライベートFPオンライン )