会社が支給する住宅手当ですが、夫婦共働きの場合に支給されるのは世帯主のみ、それとも両方なのでしょうか。今回は、住宅手当の支給対象と注意点をご紹介します。
支給は世帯主のみ。そもそも「世帯主」の定義って?
住宅手当は福利厚生の一つで、社内規定によってその内容が決定されます。そのため法律上のルールは存在しませんが、多くの企業では「世帯主に対して住宅手当を支給する」となっているようです。
厚生労働省によると、「世帯」および「世帯主」の定義は以下であるとされています。
・ 「世帯」とは、住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、若しくは独立して生計を営む単身者をいう。
・ 「世帯主」とは、年齢や所得にかかわらず、世帯の中心となって物事をとりはかる者として世帯側から申告された者をいう。
つまり世帯とは独身者、もしくは「同じ生計(収支)内で生活している集まり(家族)」であると定義されます。その世帯の主である「世帯主」は、年齢や所得などに関わらず、「申告を行った者」が世帯主となります。当然一つの世帯に世帯主は一人だけとなり、住宅手当が世帯主に支給される場合、共働き夫婦の場合には支給はどちらか一方ということになります。ちなみに「世帯主」と「戸籍の筆頭者」は異なるものです。
世帯主は変更できる
世帯主は「主たる生計者」であることが一般的ですが、住民票の登録によって変更することも可能です。夫婦や家庭内で働いている人が複数いる場合は、住宅手当の支給額が多い者を世帯主と登録することで、受け取る金額を多くすることができます。
世帯主の変更は役所で行います。本人確認書類や国民健康保険証などを持参し、「世帯主変更届」を行うだけです。世帯主が変更されると国民健康保険証などの世帯主の欄も変わり、世帯主の収入によって国民保険料の額も変わります。世帯主を変更することによって住宅手当が多く支給されるようになったが、国民保険料まで上がってしまったということにならないよう、注意が必要です。
世帯主を変更したら、職場に住民票や賃貸借契約書を提出し、住宅手当の受け取りに必要な手続きを行います。提出する書類は企業によって異なり、世帯主を変更できない場合もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。
年々変わる居住環境と実務上の注意点
共働き家庭の場合、基本的に社内規定に沿って世帯主を変更すれば、住宅手当額が多いほうが受け取ることが可能ですが、その他の場合はどうでしょうか。
例えば血縁関係にあるきょうだいが一緒に住んでいる場合、元から住んでいる実家でも新たに借りたマンションやアパートでも、役所で世帯分離の申請を行うことでそれぞれが世帯主となることが可能です。2世帯住宅において生計者が複数いる場合なども同様です。
またシェアハウスへの入居や友人・知人との同居、カップルの同棲など、赤の他人と一緒に住んでいる場合には、転入の際に住民票をそれぞれ提出することで独立して世帯主となることが可能です。すでにどちらかを「同居人」として同一の住民票を提出している場合は、前述した世帯分離の手続きを行えば、それぞれが世帯主となることが可能です。
原則は世帯主のみ。条件を考えて世帯主を決めよう
原則として世帯主にのみ支給される住宅手当ですが、従業員にとっては少しでも多くもらえるほうが嬉しいものです。社内規定を確認し、変更が可能ならばより条件が良い人が世帯主となり、支給額を増やすということも可能です。
現在は血縁関係や婚姻関係になくても同居するケースが多いため、企業側としても世帯主変更について従業員から相談があった際、柔軟に対応できるように準備をしておきたいところです。(提供: フクリ! )
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