欧州(EU)議会は1月12日、「損害分担規則」「社会的影響」「登録の義務化」などに焦点を当てた、ロボティクス規制のフレームワーク草案が議会を通過したと、ウェブサイト上で発表した。
本格的な規制が導入された場合、非常時に備えた「Kill(機能停止)スウィッチ」が設置されるなど消費者の安全面向上が期待できる反面、ロボティクス技術を採用する企業側にとっては、活動範囲が限定されることになりそうだ。
企業に対する新たな保険制度の義務加入などを提案
ロボットやAI(人工知能)が人間の生活で市民権を取得し始めた近年、「業務遂行上の単なるツールや機械として扱うには限界地点に達している」との見方が強まっている。
この草案はそうした社会の急激な変化をうけ、昨年5月、ロボット、AI(人工知能)の権利・責任範囲を明確化する意図で、EU法務委員会によって作成された。具体的にはロボットやAI技術を採用する側に、採用によって発生しうる権利と責任を課すという内容だ。
例えば自動運転車が事故を起こした場合、開発企業に賠償責任を課す。賠償責任をとるために、企業側には新たな保険制度への加入を義務づけられる。ほかにもロボット・AI利用の登録義務化、経済効果の報告などが提案されている。
また安全性を向上させる目的で、エンジニア向けの設計および取り扱い上のガイドライン作成、ロボティックの規制機関の設立といった動きも検討されている。以前から安全面に関する最大の懸念として議論されているロボットの暴走には、緊急の機能停止スウィッチを設置することとなりそうだ。
議会では17票対2票という圧倒的な支持を得たロボティクス規制の設立だが、英ガーディアン紙などの報道によると、一部の専門家は「規制すべき範囲が非常に複雑なため、導入は難航するのではないか」との見解を示している。
英法律事務所、オズボーン・クラークでナレッジ(知識)トレーニングに関する法律相談を担当しているアシュリー・モーガン氏はその一例として、ロボットやAIによる知的財産権を挙げている。AIが新たなアイデアに着装しヒット商品を生みだした場合、知的財産権はロボットに与えられるのか、それとも企業側に与えられるのか。法案成立については、2月に開催される本会議で議決される予定だ。( FinTech online編集部 )
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