米次期大統領のドナルド・トランプ氏が1月11日に行った記者会見では、具体的な経済政策に言及しなかったことや、日本を名指しして貿易赤字に不満を募らせていることに言及したことが嫌気され、ドル円相場は、円買いドル売りが加速した。その影響を受けて日本の株式市場は下落、調整を強いられることになった。
ドル円相場の動きを受けやすい日本の株式市場
日本の株式市場は為替市場の中でもドル円相場の動きの影響を受けている。
消費者視点で考えると、例えば日本人が海外旅行に出掛ける時、円高外貨安であれば買い物等を安く済ませられるメリットがある。しかし、日本は主に輸出産業で成り立ってきた国であるため、円高進行は輸出企業の業績悪化が懸念される。輸出関連企業の多くは、円安ドル高が進行すれば企業業績が好転し、円高ドル安が進行すれば企業業績は低迷するからだ。
円安によって恩恵を受ける輸出関連企業としては、自動車や電機、精密機器、機械が挙げられる。具体的には、富士重工業 <7270> や半導体製造装置大手のSCREENホールディングス <7735> 、造船、銃器大手の三井造船 <7003> 等が挙げられる。
例えば、日本を代表する輸出企業のトヨタ自動車 <7203> は、円高外貨安はデメリットとなる。トヨタ自動車の場合、為替が1円変動するたびに、営業利益が400億円変動する。トヨタ自動車が2016年11月8日に発表した2017年3月期の第2四半期決算情報によれば、想定為替レートが通期平均で1米ドル103円になっていることがわかる。トヨタ自動車の場合、通期平均で1米ドル103円であればよほどの円買いが進行して円高にならない限り為替差益が発生し、業績が今後改善する可能性が高いと考えられる。