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営業マンに一番大切なこと

世界の「残念な」ビジネスマンたち モロッコ

モロッコの昼飯。肉屋で肉を買い、直営の焼き場で焼いてもらいます。素材の旨みだけで勝負した焼肉。癖になる味です。(写真=The 21 online)
モロッコの昼飯。肉屋で肉を買い、直営の焼き場で焼いてもらいます。素材の旨みだけで勝負した焼肉。癖になる味です。(写真=The 21 online)

「営業マンに一番大切なこと」はモロッコに教わった

ホモ属の地球拡散を逆行する旅、軽自動車ヨーロッパ大陸横断。

彼らが2万5千年かけた道のりを15カ月に短縮し、無事に人類の故郷アフリカ大陸に上陸しました。

苦節5万km、パンク2回。

想定外に寒いモロッコで、羽を休めています。

モロッコ国王は国民のアイドル!?

FacebookやTwitterが政権を倒したSNS革命、「アラブの春」。

チュニジア、アルジェリア、エジプト、リビアと次々と隣国が春前線に巻き込まれるなか、花を咲かせることなく王国を守り抜いたモロッコ。

素早い憲法改正と政権交代で国民を掌握したのは、我が家の老妻よりひとつだけ歳上のうら若き王様、モハメッド6世。

王様は一般人を妻に娶り、自らハンドルを握り、国内各地をお忍びドライブする庶民派です。

道中、泥だらけの悪路があればこれを舗装し、水不足に悩む村があれば水道をひく、世直し政治が大好評。その「すぐやる課」的行動力で、水戸黄門さながらの人気を博します。

商店や一般家庭に祀られた王様の御本尊は、どこぞの独裁者や毛沢東とは違い、ポーズや背景のバリエーションが豊富です。アイドルスターのブロマイドのように、愛されて貼られているのです。

「何でもいいからモノを売れ!」たくましき商魂

下々に優しい王様ですが、一方国民であるモロッコ人といえば、インドとエジプトに肩を並べる「世界三大ウザい民族」。

彼らのプリミティブな商魂が、日本人が忘れてしまった「営業マンに一番大切なこと」を教えてくれます。

宿街に近づけば、すーっと間合いに入ってくる絶妙な商機。

「どこに泊まっていますか~? どこですか~、どこどこ~。どこ~。わたしホテル安い~」

考える暇を与えない間断ない質問ぜめで、ホテルを売込みます。

ホテルを断っても、いつのまにか駐車場の警備員に早変わり。路駐の見張り人として、小銭を請求してきます。

駐車場がダメならレストランを案内したり、それでも金にならなければ土産物を売り込んだり。追い払っても追い払ってもまとわりつくこと、蝿のごとし。

そして最後に、ハッパ売り。

「気持ち、いいでっせ~」

日本では「商品を売り込まず、自分を売れ」などと禅問答みたいなビジネス書があふれていますが、モロッコでは何を売るかは二の次で、どれだけ財布を開かすかに的を絞った営業。

金さえ拝めるならば、知らない物さえ売る気概と迫力があります。

日本人も真似したい「怒涛のクロージング」

小粋な衣装に身をまとうベルベル人。ベルベル人こそが、モロッコ人のウザさなのです。(写真=The 21 online)
小粋な衣装に身をまとうベルベル人。ベルベル人こそが、モロッコ人のウザさなのです。(写真=The 21 online)

彼らはまた、消費者の動向を探るなんて小賢しいことはしません。

とりあえず、ニイハオ~と声をかけ、ちょっとでも反応したら先方の戦法。

ボクらは無駄に愛想がいいものだから、アンニョンハセヨ~と笑顔を振りまいては術中にはまってしまいます。

コンマ1秒でも商品を手にすると、

「いくらなら買いますか~?」

ついつい値段でも訊こうものなら法外な金額を請求され、買うとも言っていないのにラッピングし始める手癖の早さ。

立ち去ろうとしても

「ラストプライスはいくら?」

買うことを前提とした商談に持ち込まれます。

消費者が誰であれ、自分の土俵に連れ込む技に長けているのです。

売り込めば売り込むほど売れないと言われる時代において、商品のプレゼンは一切なく、ひたすら価格交渉によるクロージング攻勢は清々しいものです。

モノを売るとは「信用の蓄積」ではなく、まさに「一期一会」。買わない客には捨て台詞も惜しまない、真剣勝負なのです。

また先般紹介した公共道路の私設管理人ですが、昼に駐車場代を払っても、夜になると別の輩に請求されるダブル請求。

金目のものを積んでいそうだと難癖つけては、追加料金を請求する提案型営業もお得意です。

商品を選ばず、商品の説明をせず、ひたすら価格交渉。さらに想定外の追加請求。

この営業力をもってして、世界の三傑を名乗れるのです。

挨拶すらも現金化!?

先日、恥ずかしながら遭難しました。

4時間コースの裏山散歩道を5時間も歩いてて気づいたのです、あれっボクら迷子じゃね?

通りかかったラクダ使いに道案内を頼んだら、100メートルごとに座り込みます。チップを払わないと動かない現金な奴でして、小銭の切れ目が縁の切れ目となり逃げられました。

水無し川をさ迷い歩き、ヤギを連れた娘さんに「村はこっちですかね~?」と声をかけたらチップをよこせとのたまわれ、すれ違った男性にいたっては、挨拶をしただけで右手を差し出します。

「ハロー」のひとことですら現金化する錬金術師、モロッコ人。

日没。

無料だけど、頼りにならない満月。

闇夜に村の灯りを発見しましたが、足元は奈落の崖。

出し渋ったモロッコ紙幣を握りしめるもすでに人の気配はなく、お金の使い方まで教えてくれるモロッコなのです。

迷子になった現場。100%、帰還する自信なし。(写真=The 21 online)
迷子になった現場。100%、帰還する自信なし。(写真=The 21 online)

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)デザイナー
1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。(『The 21 online』2017年01月07日 公開)

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