クロス取引,株主優待,逆日歩
(写真=PIXTA)

これから訪れる企業の決算シーズンに向けて、過熱化が予想されるのが「株主優待」の争奪戦だ。中でも、企業が株主優待で提供する商品などを低コストで獲得する手法として「クロス取引(両建て)」が注目を集めている。ところがこのクロス取引で思わぬ落とし穴にはまり、結果的に高い代償を支払うケースも少なくないという。こうした失敗に陥らないためにはどうすべきかを考えていこう。

株価下落の影響を抑えるクロス取引が過熱化へ

株主優待は、企業が株主への還元策として実施しているもので、そのメリットは何といっても企業の自社商品やサービスがお得に提供されるところだ。個人投資家に対し自社株の魅力アピールする手段として、多くの上場企業が多彩な株主優待の特典を用意している。

ただ株主優待狙いの投資で注意が必要なのは、権利確定日・翌日の「権利落ち」により株価が下落する恐れがある点だ。こうしたリスクを避けることができるとして、「クロス取引」が注目されてきた。

クロス取引は、現物で企業の株を買い、信用取引によりその株を売る投資テクニックだ。この手法を利用すると、株価下落の影響を受けずに売買手数料を支払うだけで株主優待の権利を受け取ることができる。しかし現在、株主優待を獲得するためのクロス取引が過熱化してしまったため、新たなリスクが生まれているのだ。

信用売り銘柄の不足で発生するレンタル料が「逆日歩」