サボテンビジネス,多肉植物ブーム
(写真=Thinkstock/Getty Images ※ハオルチアのイメージ画像)

世界の乾燥地帯に生育し、葉や茎がぷっくりした多肉植物のブームが続いている。その見た目のカワイさの虜になり、コレクションを楽しむ「多肉女子」が増えているそうだ。日本で改良された品種は海外でも人気で、数十万円の高値で取引されるものもあるほど。転売目的での盗難が相次ぐほど過熱しているブームの秘密はどこにあるのだろうか。

カワイさが女子心をわしづかみ

多肉植物とは、世界の砂漠地帯や海岸、高山などの乾燥している場所に生育し、その環境に適応できるよう体内に水分を貯蔵できるよう進化した植物。このため葉や茎、根が肥大していることからその名がつけられた。種類は原種だけで1万5000種を超えると言われている。

肉厚の葉が重なりバラの花のような「エケベリア」、細かい産毛で覆われフェルトのような質感の「熊童子」、丸い葉が連なる「グリーンネックレス」。このほか普段は淡いグリーンだが、春先の開花時期には黄色の花が咲き、秋には紅葉する「乙女心」、数十年かけて花を咲かせる「アガベ」、変わった形が多い中でひときわ個性的な「リトープス」などが好まれているようだ。

観葉植物としての多肉植物は過去にも何回かのブームがあり、現在のブームは人気タレントが自宅に置いているものを披露したのがきっかけとも言われている。人気の理由は、なんといってもそのフォルムのかわいさ、プニプニとした触感、キュートな色彩だろう。このすべてが女子の心をわしづかみにした。

頻繁に水やりをしなくてもよく、日当たりのよい窓際に置いておけば勝手に育つなど、ケアが簡単なことも働く女性にとっては大きなポイント。お気に入りの器に苗を組み合わせて植えたらインテリアの一つになるし、小さな鉢でも栽培できるため場所をとらない。持ち運びが便利でプレゼントがしやすく、もらった人にも栽培が負担にならない。最近では、SNSで非常に写真映えしてくれることも人気の理由だ。

人気過熱、盗難続発

愛好家による人気の過熱はとどまるところを知らず、ヤフーオークションで確認できたものだけでも、過去5年間の最高落札額は195万2000円だった。昨年は盗難事件が相次ぐほどに過熱し、全国10府県で未遂も含めて24件、計8600本の盗難事件がありその額は15億円以上にもなるという。

中でもよく狙われたのが「ハオルチア」と呼ばれる品種。ハオルチアは地面を這うように葉を広げ、夕方、斜めに差し込む光の中で宝石のように輝く姿が非常に美しい。色や模様のよいものは1本100万円前後で取引されることもあるもので、愛好家にとってはまさに「高嶺の花」のような存在だという。

日本ハオルチア協会の事務局長が2016年10月のYOMIURI ONLINEに寄稿した記事によると、ハオルチアは中国や韓国、台湾では日本以上に価格が高騰し、2~3倍、時には10倍で取引されることもあるという。こうした背景から転売目的で外国人による組織的な犯行が横行しているのだ。

昨年10月、和歌山県で愛好家が集まるイベントに出席するため自宅を留守にしていた大阪府の愛好家は、温室内の苗250本、5000万円相当を盗まれた。留守を狙っていることから考えても、愛好家の動きを把握し、多肉植物が売れるという事情を知っている者の計画的犯行であることは間違いないだろう。

多肉植物は金のなる木?

これだけブームになると、ビジネスのニオイを嗅ぎつける人も増えてきたようだ。すでに、多肉植物を専門とした通販サイトが数多く登場。花全般を扱う通販サイトでも、多肉植物の写真を大きく前面に出したものが多い。どのサイトも非常にカラフルで、上質な写真を掲載し、購買欲を刺激する。

関連商品も続々と出ている。光量が少ない室内で育てても型崩れしないよう、安定して強力な光を出すLEDを搭載したプランター「グリンテリア」(1万3796円税別)が人気だ。また、多肉植物は100円ショップで売られているグッズとも親和性が高く、ココット皿、ブリキ缶、カラーサンド、ウッドボックスなどと組み合わせてオシャレに飾れると紹介されている。

一方、自分で増産し、販売する「素人」も出てきた。多肉植物は株分けすることで増産することが容易なためで、最近テレビで紹介されていたハオルチアを栽培しているサラリーマンは「小遣い稼ぎのつもりで始めたが、ネットオークションに出すとすぐに高値で売れ、給料より稼いだことがある」と話していた。

ハオルチアを培養するキットも開発されていて、売れているとのことだ。多肉植物は「金のなる木」なのかもしれない。

それにしても、ここまで高値がつけられるようになると、もはや多肉植物のポジションは将来的に「盆栽」に匹敵するかもしれない。盆栽は日本発の観葉植物としてフランスやイタリア、オランダなどで絶賛され、パリの中心地にはアンテナショップまである。

多肉植物は現在、毎年数百種類の新品種が発表されている。模様や形の美しい個体を育成した日本産は世界でも圧倒的優位の存在という。盆栽と同じく、多肉植物も日本発の美しい改良品種が世界を席巻する日が来るかもしれない。(フリーライター 飛鳥一咲)

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