「住みたい街ランキング」は時々報じられて話題になるが、あらためて家を「買って住みたい」街はどこだろうか。
住宅情報サイト「HOME'S」を運営するネクストが毎年発表する「買って住みたい」街ランキングが今年も発表された。過去2年連続トップで、各種ランキングで人気の東京・吉祥寺がトップから陥落し、代わって首位になったのが千葉・船橋だった。なぜ船橋が人気なのか、吉祥寺はトップの座をなぜ明け渡すことになったのだろうか?
このランキングは、2016年1年間で住宅情報サイト「HOME'S」ユーザーが掲載の購入物件に対して検索・問い合わせした数をベースに算出したもの。HOME'S総研の分析によれば、例年の傾向として、地域のイメージが良く、「大規模マンション開発や駅周辺の再開発などによって地域のポテンシャルが大きく向上しそうなエリアの駅が上位に登場する傾向」があり、今年も例年の傾向を反映しているが、例年とは違うエリアが上位にランキングし大きな変動があった。
船橋は交通アクセスが便利で価格は都内より割安!充実の子育て支援で子育て世代に人気!
2017年の買って住みたい街ランキングの1位になったのは、船橋だった。
結婚した、子供が生まれたことをきっかけに家の購入を考える人は多い。船橋の人気も子育て世代に人気であることが理由の一つのようで、船橋市の子ども・子育て事業支援計画(全体版)によれば総人口が増加するとともに、児童数、さらに6歳未満の子供のいる世帯が増加傾向にある。
船橋は、JR総武線、東武野田が乗り入れ、近くには京成船橋駅があり、多くの通勤通学客に利用されている。船橋駅から東京駅までは最短で25分。都内中心部へ1時間以内で通えて利便性がいい。HOME’S総研の分析によると「近年、都内を中心に物件価格が上昇」しているので、「都内へのダイレクトアクセスが可能で、交通利便性が確保された」船橋の順位が相対的に上がったと考えられるのだ。
船橋は、「ららぽーと」や「IKEA」など大型ショッピング施設が集まる。駅前には西武と東武の百貨店もあり、移動が楽なエリアに買い物施設がそろっているのも人気の理由だろう。また、船橋には船橋アンデルセン公園をはじめとした子連れで行きたくなるスポットが多いのも魅力。行政サービスの充実も人気のポイントといえる。船橋市は中学3年まで子供の医療費を助成するなど子育て支援に力を入れていることで、子育て世代から注目されているのだ。
吉祥寺が首位陥落の理由
吉祥寺は過去2年、買って住みたい街ランキングのトップだった。様々な住みたい街ランキングで上位の常連でもあった。都心の喧騒から少し離れた井の頭公園の緑豊かなエリアに商店街の賑わい、買い物スポットや人気の飲食店も多く生活利便性と余暇施設が充実した住みたい街としての人気を維持してきており、トップランクの住みたい街であることには変わりない。
しかしながら、近年都心では地価が上昇し、オリンピックに向けた建築資材価格の上昇と人件費の高騰によって、新築マンションや戸建ての価格は高騰している。吉祥寺も例外ではなく、マンションエンジンによると吉祥寺のファミリータイプの新築マンションの相場価格は7000万円ほどで、一般的な給与所得者では手が届きにくい価格帯となっているのかもしれない。街の庶民的な雰囲気に比べて物件価格が高騰しており、手頃な物件を探そうと思うと駅から20分以上かかるエリアになっているのが実情だ。
吉祥寺はアクセス便利なエリアに思えるが、国土交通省の調査によれば、メインの路線となる中央線の混雑率は中野~新宿間で198%と非常に混む。さらに、止まったり遅れたりする頻度が高い印象があり、あまり評判が良くない。また、人気の街とあって、休日ともなると地元の人だけでなく、他のエリアから訪れる人も増えるので、混雑するのもマイナス要素となっているようだ。
東京一極集中からエリアが分散
「買って住みたい街」ランキングは、これまで東京都内の駅が多数を占めてきた。
しかし今年は5位に柏、6位に流山おおたかの森、7位に津田沼など千葉方面、千葉北東部の駅が登場した。中でも流山は、子育て支援に力を入れていて子育てしやすい街として注目されている。
また、3位浦和、17位北浦和は、埼玉県内の人気住宅地だが、ランキングの上位には初めて入ってきている。さらに4位戸塚も神奈川県内で拠点性、集積性のある駅で一定の居住ニーズがある駅だが、トップ5に入るのは初めてだ。このように東京都5駅、神奈川県6駅、千葉県5駅、埼玉県4駅と東京都内の駅だけでなく、各県の人気の住宅地にエリアが分散している。都心への交通の利便性が高く、首都圏中心部と比べて新築マンションや戸建の価格が比較的安いエリア、なおかつ子育て世代にとっては行政サービスが整っていて子育てがしやすい街などソフト面が充実したエリアの人気が高まっているといえるだろう。(ZUU online 編集部)