10~12月決算の発表が一巡した。前年同期比で円高となる厳しい収益環境が続く中でも、日本企業は生産性改善などを通じて利益の落ち込みを食い止めた。業績予想の増額修正も相次ぎ、全体相場を押し上げている。個別では、好決算で中・長期の上昇トレンドが本格化しつつある銘柄をマークすると同時に、業績開示後にいったん売られたが反発の芽を持つものに狙いを定めたい。KYB <7242> 、ダブル・スコープ <6619> 、タツモ <6266> の3銘柄に注目する。
KYBは増額後も割安感 11年高値に挑戦
サスペンションなどを手掛けるKYBは、自動車向けの堅調や、中国での建設機械向け油圧機器の販売拡大を背景に、9日に今3月期の業績予想を増額。為替の円安進行も寄与し、連結営業利益見通しを154億円から185億円(前期の4.3倍)へと大幅に引き上げている。
通期予想の引き上げは今期3回目。株価は長期上昇トレンドを継続し、昨年2月安値の263円から今年2月13日の高値620円までの上昇率は2.4倍に上がる。
それでもなお、今期PER(株価収益率)は11倍と割高感は感じない。来期以降の業績拡大期待を考慮すれば、今後は2013年5月高値の675円を通過点として、11年2月高値の745円にトライする可能性が高そうだ。中国インフラ関連株としても注目だ。
Wスコープは踊り場も成長不変短期2500円が視野に
Wスコープは、リチウムイオン電池の中の電解液を仕切る「セパレータ」の専業。旺盛な需要を背景に、生産能力の拡大を急いでいる。ただ、会社計画によれば、今12月期の連結営業利益は24億円(前期比1%増)と踊り場を迎える見通し(前期は前々期比20%の増益)。決算発表後は株価が下落する場面もあった。
しかし、相場は絶好の押し目にあると考える。同社の手掛ける高容量電池に適した湿式タイプのセパレータは、EV(電気自動車)の市場に連動して高成長が続く公算。今期は一時的に人件費負担が利益を圧迫するものの、為替前提など収益予想には保守的な点もある。株価のもちあいが上放れすれば、短期的に2500円程度まで上昇しそうだ。
タツモの業績予想は保守的受注残豊富、出直り」
タツモは半導体や液晶の製造装置を手掛け、前12月期は連結営業利益が13億円(前々期比33%増)と期初の約2倍に膨らんだ。一方、今期見通しは11億円にとどまり、決算発表(13日)を受けた14日の株価は失望売りで急落した。
一方、「液晶、半導体向けとも需要は依然強い」(会社側)。売上高は前期比17%の増収を計画し、前期末の受注残高は84億円(前々期末比34%増)と高水準だ。利益の反落を見込むのは、継続受注案件の収益性をシビアにみているほか、研究開発費の拡大が主要因だが、実際は売上増でカバーできる部分も多そうだ。
「落ちてくるナイフはつかむな」(相場格言)とも言われるだけに、目先は需給悪化の余波を警戒する必要がある。ただ、早晩見直し買いを集める展開が予想される。(2月15日株式新聞掲載記事)
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