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【東南アジア経済】

ASEANの消費者物価(2月号)~石油関連の商品・サービスを中心に上昇

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(写真=Thinkstock/GettyImages)

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ASEAN主要6カ国の17年1月の消費者物価指数(以下、CPI)の伸び率(前年同月比)は、6カ国揃って上昇した(図表1)。クリスマスシーズンの12月と比べて消費需要が鈍化したものの、ガソリンをはじめとする石油関連の商品・サービスの価格上昇が全体を押し上げ、上昇ペースは若干加速したように見える。

昨年に原油価格が底打ちした後、CPI上昇率も上昇基調にあるが、経済は緩慢な成長が続いており、コアCPI上昇率は安定した推移が続いている。

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インドネシアの17年1月のCPI上昇率は前年同月比3.49%増(前月:同3.02%増)と上昇した(図表2)。1月のCPI上昇率は車両登録料の引上げや電力補助金の削減の影響で上昇したものの、概ね3%台前半の落ち着いた水準を維持した。

主要品目別に見ると、輸送・通信・金融は同2.76%増(前月:同0.72%減)と、自動車・二輪車を購入・所有する場合に必要な車両登録証や車両所有証明書などの発行手数料の引上げを受けて上昇し、10ヵ月ぶりのプラスに転じた。また住宅・電気・ガス・燃料は同2.47%増(前月:1.90%増)と、1月から始まった契約容量900VAの家庭向けの段階的な電力補助金の撤廃を受けて上昇した。一方、食材が同4.11%増と、クリスマスや正月で消費需要が高かった前月の同5.69%増から低下した。

食料品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同3.35%増(前月:同3.07%増)と、昨年から緩やかな低下傾向が続いたが、1月は上昇に転じた。

2月15-16日に開かれた中央銀行の理事会(金融政策会合)では、中央銀行は2017年のインフレ率がインフレ目標の範囲内(4±1%)で推移するとした。なお、政策金利については、米国の政策の方向性や欧州の政治リスク、政府統制価格の上昇リスクなどを警戒して据え置いた。

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タイの17年1月のCPI上昇率は前年同月比1.55%増(前月:同1.13%増)と、2014年9月ぶりの1%台半ばまで上昇した(図表3)。CPI上昇率は16年以降、原油価格の上昇を背景に緩やかな上昇傾向が続いている。

主要品目別に見ると、輸送・通信が同4.76%増(前月:同3.01%増)とガソリン価格の値上げを受けて一段と上昇した。また食品・飲料は同1.53%増(前月:同1.36%増)と、野菜・果物の再び価格上昇に転じて小幅に上昇した。このほか、住宅・家具は同1.26%減と引き続き低迷し、たばこ・酒類は同12.97%増と昨年2月のタバコの物品税引き上げを受けて二桁増が続いた。

コアCPI上昇率(生鮮食品とエネルギー除く)は同0.75%増(前月:同0.74%増)と若干上昇したものの、概ね1%を下回る水準で安定している。

CPI上昇率は、タイ銀行(中央銀行)のインフレ目標の範囲内(1-4%)まで上昇したが、その要因は生鮮食品とエネルギー価格によるものであり、依然として景気の回復力は緩慢であることが分かる。中央銀行は17年のインフレ率が1.5%と緩やかな上昇に止まり、物価目標の下方で推移すると予測している。なお、2月8日に開かれた金融政策委員会(MPC)では、金利上昇は続いているものの、現状の緩和的な金融政策が景気回復を促すとし、政策金利を据え置いた。

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マレーシアの17年1月のCPI上昇率は前年同月比3.2%増と、前月(同1.8%増)から上昇した(図表4)。CPI上昇率の基調としては、昨年3月~7月にかけて景気減速やGST(物品・サービス税)導入による物価押上げ効果の剥落により低下した後、ガソリン価格の値上げを受けて上昇傾向にある。

主要品目別に見ると、輸送は同8.3%増(前月:同0.6%減)と、ガソリン価格の値上げによって大きく上昇してプラスに転じた。また食品・飲料は同4.0%増(前月:同3.7%増)と、小幅に上昇した。食品・飲料の内訳を見ると、昨年11月の食用油向け補助金廃止の影響を受けた油脂(同37.9%増)の高騰が続いているほか、野菜(同7.8%増)や海産物(同6.1%増)の上昇も全体を押し上げた。一方、住宅・光熱は同1.9%増(前月:同2.1%増)と低下した。

食品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同2.3%増(前月:同2.1%増)と小幅に上昇したものの、概ね2%台前半の安定した推移が続いている。

なお、政府は昨年10月に,2017年のインフレ見通しを+2.0~3.0%と発表している。

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シンガポールの17年1月のCPI上昇率は前年同月比0.5%増(前月:同0.2%増)と上昇した(図表5)。CPI上昇率は今年5月を底に緩やかに上昇するなか、1月は石油関連の商品・サービスを中心に上昇ペースが加速した。

主要品目別に見ると、輸送は同2.8%増(前月:同0.8%増)と、バス・鉄道料金の値下げ(12月末)があったものの、航空運賃とガソリン価格の値上げを受けて上昇した。また住宅・光熱費は同3.2%減(前月:同3.8%減)と、賃貸住宅市場が軟調で下落傾向こそ続いているものの、電気料金の値上げを受けてマイナス幅が縮小した。一方、食品は同1.9%増(前月:同2.0%増)と、未加工食品を中心に若干低下した。

自動車と住宅を除いたMAS(シンガポール金融管理局)のコアCPI上昇率は同1.5%増(前月:同1.2%増)と、依然として低水準ではあるものの、原油価格の上昇を背景とする電気料金や航空運賃などの値上げを受けて再び上向きつつある。

なお、MASは2017年のインフレ率が0.5%~1.5%と、ガソリン価格や政府の統制価格の値上げを背景に2016年の▲0.5%から緩やかに上昇すると予測している。

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フィリピンの17年1月のCPI上昇率は前年同月比2.7%増(前月:同2.6%増)と上昇した(図表6)。CPI上昇率は昨年2月から食品価格や原油価格の上昇を受けて緩やかな上昇傾向が続いており、過去2年間で最も高い水準に達している。

主要品目別に見ると、輸送は同2.4%増(前月:同1.9%増)と、燃料や修理・メンテナンス費を中心に一段と上昇した。また、昨春から上昇傾向が続いている住宅・水・電気・ガス・燃料は同1.8%増(前月:同1.3%増)と、電気・ガス料金を中心に上昇した。一方、全体の4割を占める食品・飲料(酒類除く)は同3.4%増と、クリスマスシーズンの需要増が和らいで、前月の同3.6%増から小幅に低下した。

食品とエネルギーの一部を除いたコアCPI上昇率は、強い消費需要を背景に緩やかな上昇傾向にあるが、1月は同2.5%増と、前月(同2.5%増)から横ばいとなった。

2月9日に開かれた金融委員会では、中央銀行は先行きのインフレ見通しについて17-18年の物価目標(2-4%)の範囲内で推移するとし、政策金利を据え置いた。なお、原油高やペソ安がインフレ率を押し上げるとし、インフレ予想を17年が3.5%(前回:3.3%)、18年が3.1%(前回:3.0%)と、それぞれ上方修正した。

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ベトナムの17年1月のCPI上昇率は前年同月比5.22%増となり、燃料価格の引き上げを受けて前月の同4.74%増から一段と上昇した(図表7)。CPI上昇率は昨年から上昇基調が続いており、年明け早々に17年の政府目標の4%を上回った。

主要品目別に見ると、まず輸送は同5.02%増(前月:同1.12%減)と、ガソリン価格の値上げを受けて大きく上昇してプラスに転じた。また住宅・建材も同3.54%増(前月:同3.26%増)と上昇した。一方、食品は同2.37%増(前月:同2.87%増)と、テト休暇前の需要増に備える政府の対応策が奏功して低下した。なお、保健・ヘルスケアはウェイトが全体の5%と大きくないものの、伸び率が同56.97%増と昨年からの段階的な医療費の引上げを受けて高止まりしており、また教育も同10.35%増と、新学年が始まった9月から二桁増が続いている。

食料品とエネルギー、政府の価格統制品目(医療・教育)を除いたコアCPI上昇率は同1.88%増(前月:同1.87%増)となり、昨年から概ね横ばい圏の推移が続いている。

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斉藤誠(さいとう まこと)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究員

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