新宿駅,通勤,
(写真=PIXTA)

毎朝の通勤通学は、都会に住むサラリーマンにとってストレスの1つだろう。時間に追われ、定刻までにオフィスや約束の場所につかなければならないのに、混雑や事故などで想定以上に時間がかかることは日常茶飯事だ。

前回、毎日の通勤を少しでも快適にするために、始発駅から大手町駅まで座って通勤するという視点から、住みたい街をランキング形式でお伝えした。そうしたところ、新宿、渋谷、池袋を最終目的地としたランキングも知りたいとのコメントを多数いただいた。

そこで今回は、「新宿駅」を目的地とした始発駅をピックアップし、それらを実質所要通勤時間(乗換時間も含む)でランク付けしてみた。さらに前回同様、時間だけでなく周辺の家賃相場も加味し、費用対効果の高い駅を選択した。

【選択した条件】
1. 新宿駅(JR各線、東京メトロ丸の内線、小田急線、京王線、西武線、都営地下鉄線)へ午前8時45分に到着する。
2. 始発駅は、午前7時半から8時半までの1時間に、5本以上の始発電車がある駅(すなわち12分待てば始発電車に乗れる)。
3. 着席券を発行する有料特急などの優等列車は除き、あくまで通勤電車に限る。
4. 最寄り駅から10分以内の1LDK物件の平均相場が11万円以内の駅(Homes調べ)。
5. 複数の線の乗り入れ駅の場合、始発駅の方の路線を優先した。

前回同様、これらの時間や相場は機械的にランキングしているので、通勤時間は短いが家賃相場がわずかに高いためランキングに残らなかった駅もある。

また時刻表や始発駅から新宿までの所要時間は、Yahoo乗換案内の最新版を使った。これらの条件は、あくまで目安としてみてほしい。

第5位:JR埼京線 大宮駅/通勤時間42分/10.39万円

JR東日本の北の玄関口といっても過言ではない駅だ。いうまでもないが、東北、上越、長野、北陸新幹線の停車駅となる。特に東北、群馬、新潟、長野、北陸方面に出張や実家がある方は、利用した方も多いだろう。

大宮は2001年、浦和、与野と合併してさいたま市となり、政令指定都市となった。人口は約128万人を擁し、日本で9番目に人口の多い市となっている。

鉄道の街らしく、大宮駅のエキナカはとても充実しており、駅ビルと合わせ一大ショッピングゾーンを形成している。また、大宮駅を基点として、埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)が上越新幹線に沿って走っている。

大宮始発の新宿駅への路線は埼京線となるが、池袋まですべて各駅停車なので42分かかる。川越駅(川越市)発の通勤快速と比べて、時間が少し必要だ。

また、湘南新宿ラインの重要な通過駅となり、宇都宮線、高崎線と湘南新宿ラインを通り、東海道線、横須賀線などへ向かうなど、多くの路線が通っている。さらに京浜東北線の始発駅となるので、ここから上野、東京方面へ着席していくことも可能だ。

第4位:東京メトロ 和光市駅/通勤時間35分/9.68万円

和光市から新宿へ始発電車を使うためには、東京メトロ有楽町線、副都心線を使うことになる。

和光市は東武東上線と東京メトロ有楽町線の分岐駅として、恩恵を受けた駅のひとつだろう。朝のラッシュ時には和光市駅始発の電車が数多く出るが、そのほとんどが新木場行きとなるため、新宿駅へは池袋駅でJR線か副都心線へ乗り換える必要がある。池袋駅での有楽町線と副都心線の乗り換えは決して便利ではなく、6分ほどかかる。ラッシュ時にはもう少し見ておく必要があるだろう。

2016年度の「住みたい街ランキング関東版」(リクルート住まいカンパニー調べ)では、前年の116位から57位へとランクアップし、「これから人気が出そうと思う郊外の街ランキング」(東京23区を除く、同じくリクルート住まいカンパニー調べ)では3位にランクインしているポテンシャルの高い街だ。

第3位:JR埼京線 武蔵浦和駅/通勤時間33分/8.54万円

武蔵浦和駅は埼京線と武蔵野線が交差する駅で、午前7時半から8時半の間に5本の始発電車がある。しかしすべて各駅停車なので、池袋までは1つずつ止まっていくことになり、所要時間が少しかかる。

朝の埼京線の混雑度合だが、板橋〜池袋間で183%(国土交通省発表の平成27年版混雑率データより)と首都圏で8位の混雑率となっている。平日の朝は、慢性的な遅延が発生しているようだ。

武蔵浦和駅周辺は、さいたま市南区に所属し、駅前の複合公共施設サウスピアの中に南区役所が入居している。

第2位:西武豊島線 豊島園駅/通勤時間26分/10.00万円

西武豊島線の豊島園駅は、練馬駅から1つ入った盲腸線で、言わずと知れた豊島園へ行くための駅だ。豊島園駅から朝出発する電車はすべて池袋まで直通するので、意外と便利だ。

また、すぐ隣に都営大江戸線の豊島園駅がある。こちらを使うと、乗り換えなしで新宿駅に出ることが可能だ。しかし、今回の調査は、始発駅で座っていくことを主眼に置いているので、こちらは外した。

年度別の1日平均乗降客数を西武線豊島園駅と大江戸線豊島園駅を比較してみると、依然として西武線豊島園駅の方が多い。

第1位:都営大江戸線 光が丘駅/通勤時間25分/10.55万円

都営大江戸線の始発駅の光が丘駅は、光が丘団地を背景に建設された駅で、朝のラッシュ時には2〜4分間隔のダイヤが組まれている。

周辺には多くの団地が建ち並び、中心部にはこの光が丘駅とショッピングセンターIMAがある。団地内に多くの公園が点在し、光が丘駅北側には都立でも有数の大きさの光が丘公園があり、緑あふれる住みやすい街だ。公園の中に図書館や体育館、野球場を備えるなど、人々の憩いの場となっている。

住みたい街を考える際、その街の雰囲気はとても大切な要素に違いない。しかし、今回も前回同様、数値化することが出来ない点は省いてランキング化したことは、ご了承いただきたい。

代表取締役社長 中村伸一 マネーデザイン
学習院大学卒業後、KPMG、スタンダードチャータード銀行、日興シティグループ証券、メリルリンチ証券など外資系金融機関で勤務後、2014年独立し、FP会社を設立。不動産、生命保険、資産運用(IFA)を中心に個人、法人顧客に対し事業展開している。日本人の金融リテラシーの向上が日本経済の発展につながると信じ、マネーに関する情報を積極的に発信。