大手通信キャリアの「携帯端末実質0円」の廃止で、いわゆる「格安スマホ」が脚光を浴び、MVNO(仮想移動体通信事業者)の存在感も大きくなっている。一般ユーザーの認知度が高まっており、今後、MVNOのニーズはさらに拡大していく見通しだ。インターネットイニシアティブ <3774> やフリービット <3843> など関連銘柄にとってチャンスは大きい。
2015年に安倍首相の一言から始まった「携帯料金が高い」という問題は結局、「実質0円」「キャッシュバック」など過剰な値引きの廃止に行き着いた。
今ではスマートフォンの購入に当たり通信費からの値引きがされなくなり、MNP(モバイルナンバーポータビリティー=番号持ち運び制)時のキャッシュバックもなくなった。ユーザーにとっては実質的な値上げで、携帯料金はさらに高くなったといえる。
実質値上げでユーザーが買い控えた影響は大きく、ティーガイア <3738> 、コネクシオ <9422> 、ベルパーク <9441> など、携帯電話の販売代理店を展開する企業は16年以降、スマートフォンをはじめとする携帯電話販売に苦戦している。
システム構築などとともに携帯電話販売も手掛ける協立情報通信 <3670> は、前17年2月期決算でモバイル関連事業に関しては赤字化したもよう。
このように、「携帯料金が高い」問題はユーザーにも販売店にもデメリットばかりだったが、MVNOには大きな追い風となった。
MVNOの価格は大手通信キャリアと比較すると三分の一?二分の一程度で、大手の実質値上げとの比較から改めて安さが注目された。かつて通信品質、サポートの面で不安との指摘もあったが、各社が設備、体制の強化に取り組んだことで、現在では特に問題なく利用できる点も評価されている。
中でも、楽天 <4755> の「楽天モバイル」、イオン <8267> の「イオンモバイル」や、TSUTAYAを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブとフリービットの合弁会社が運営する「トーンモバイル」はブランド力があることで競争力が高い。LINE <3938> も昨年9月に「LINEモバイル」のサービスを本格的に開始した。
一方、IIJの「IIJmio」はMVNOの個人向けシェア首位。インターネット販売が中心だが、高年齢層など幅広いユーザーの開拓を目指し、昨年7月には郵便局でのカタログ販売を始めた。MVNO草分けの日本通信 <9424> はU?NEXT <9418> と協業し、日本通信がMVNE(仮想移動体通信提供者)、U?NEXTがMVNOとしてサービスを展開中だ。
また、ベネフィットジャパン <3934> の「オンリーモバイル」は、ショッピングモールの催事場など集客力のある場所でデモンストレーションを実施し、顧客に具体的な活用イメージを抱いてもらった上で販売につなげる、独自の「コミュニケーションセールス」の手法で拡販を図っている。
ただ、MVNOの存在感が無視できなくなくなったことから、大手も割安のサービスに注力し始めた。ソフトバンクグループ <9984> のサブブランド「ワイモバイル」はいまや「ソフトバンクモバイル」以上にユーザー数を増やす状況にあるもよう。KDDI <9433> 傘下のUQコミュニケーションズが手掛けるMVNOサービス「UQモバイル」も好調だ。(3月3日株式新聞掲載記事)
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