ストレス,指導
(写真= Dmitry Melnikov /Shutterstock.com)

アイドルの突然死に東芝の経営危機、タレントの出家・不倫騒動など、このところ大きなニュースが相次いでいる。結局は他人事なので平気でいられるが、家族や友人など近い関係でこのようなことが起きれば、誰しも動揺するはずだ。

こうした予期せぬトラブルや大きなショックは、誰にでも起こりうる。もし部下がこのような事態に陥ったら、あなたはどう対処するだろうか。心の専門家として、このような場面で気をつけるべきことを5つお伝えする。

平然としている方が実は危ない

一つ目は、「大丈夫」を“うのみ”にしないことである。普段以上に明るかったり、多弁だったり、仕事に精を出していたりも同様だ。「思ったより元気そうでよかった」などと考えるのは危険だ。防衛機制の一つである反動形成が起こっている可能性が高いためだ。

防衛機制とは、大きなショックから心を守る無意識の作用であり、自分で受け止められないほどのショックを受けている証しにもなる。大勢を前にしてのプレゼンで、恥ずかしさのあまり笑ってしまった経験を持つ方も多いだろうが、まさしくこれが反動形成である。「大丈夫」と言っている本人に無理をしている自覚は無く、後で突然心が折れてしまう危険がある。普段通りになるまでは、いつでもサポートできるよう心積りをしておくべきだ。

次に紹介する「合理化」も防衛機制の一つ。「酸っぱいブドウ」の例えのように、トラブルが起きてむしろ良かったと無理にポジティブに捉えるのも、抱えきれないほどの辛さの裏返しと言える。離婚直後に「自由な時間が増えた」「もともとうまくいってなかった」といって寂しさを見せないケースなどは、合理化している可能性を頭に留めておき、可能であれば飲みに連れて行くなどして本音を吐き出させてあげるのも良いだろう。

もう一つ「隔離」と呼ばれる防衛機制もある。震災後、泣きもせず普段通りにしている子供も多くいたことがニュースにもなっていたが、このように辛い感情だけを心の奥底に沈め、粛々とトラブルに対処しているケースも強いショックの表れだ。

防衛機制は、真面目で弱音を吐けないタイプに起こりやすいので、部下がそうした性格なら一層気をつけて欲しい。

アドバイスをする前に

4つ目は実際に接する際の注意点だ。部下から大きなショックを受けていると打ち明けられると、ついアドバイスをしたくなるものだが、これは極力避けて欲しい。理由は3つある。

まず大きなショックを受けるケースはどうにもならない事態である場合が多い。さらに取り返しの効くケースでも、本人に精神的余裕がないためアドバイスをしてもきちんと理解されない可能性が高いのも理由の一つである。

余裕のない部下へのアドバイスは、水が一杯に入っているグラスに、さらに水を注ぐようなもの。あふれるだけでグラスには入らない。最後の理由はうまくいかなかった際の責任である。アドバイスを受け入れるタイプもいるが、事態が改善しなければ責任を負わされ、部下が辛さをぶつける格好の標的とされかねない。

大きなショックを抱える部下と接する際は、アドバイスは控え、溜まった心の水を空にするように、まずはただただ話を聴くことに徹するのがベスト。助言は部下が心の内をはき出し、何か今後について言葉を求めてくるまでこらえて欲しい。

休暇が部下を追い詰める可能性も

突然の強いショックを受けた部下に休暇を与えることも多いだろう。部下の頭には仕事中でもショックな出来事が常にあるので、どうしてもパフォーマンスは落ちる。周りもその部下に気を遣ってしまうので、一定期間の休暇は誰にとってもメリットがあるように思えるが、実はかえって部下の心を追い込んでしまうリスクもある。

人は、1人の時間ほどショックについて考え込んでしまうもの。答えもなければ行き場もない辛さを抱え込むと、悲観的になりやすく、孤独感が強まる。働いている間は気が紛れて、気分的には救われるという場合も多くあるので、休暇を与える際には、部下には支えてくれる家族がいるか、孤独にならない休暇を送る性格かなど慎重に判断すべきだろう。

また、特別休暇を与えない場合にも注意は必要である。一般的に、日中と比べ、夜は悲観的になりやすい時間帯である。実際に、夜に考え込み、睡眠に支障をきたし、負のスパイラルに陥るケースも多い。仕事の負担を軽くする等の配慮はもちろんだが、夜も気晴らしに連れ出したり、日々の体調の変化を確認したりすることも忘れないで欲しい。

大きなショックの対応に、いつも通用する共通の正解はない。上述の5つを踏まえて部下の状態を察し、本人と密にコミュニケーションをとり判断していくことが重要になる。

一方で、きちんとサポートし、部下本人が辛さを消化できれば、また以前のように元気に働けるものでもある。部下の表情に留意しながら、少し長い目で見守ってあげるべきだろう。(藤田大介  DF心理相談所 代表心理カウンセラー)

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