中国国家質検総局は、2017年2月の自動車リコール状況を公布した。中国経済網自動車チャンネルはこれを整理し「2月国内自動車リコールランキング」を作成した。それによると2月の自動車市場全体では、14社で合計17回のリコール届出があった。対象は54万2822台だった。そのうち日系は3車種で合計29万7176台で全体の53.2%を占めた。これも日本たたきなのだろうか?
2月のリコールは半分以上日系
日系が最も多かったほか、アメリカ系2車種・16万1281台シェア29.7%、ドイツ系5車種・4万4335台、シェア8.2%、韓国系1車種・3万1803台シェア5.9%と続いている。
日系、アメリカ系など外国ブランドの多さに比べ、中国自主ブランドのリコールは車種、台数ともに少ない。2月は「紅旗」ブランドのエンジン燃料噴射系統のトラブル1件のみで、対象はわずか154台だった。
日系29万7176台の内訳は以下の3社、5車種である。
1位 トヨタ、3車種、ヴィッツ、カローラ、カローラフィールダー、計28万7531台。
6位 マツダ、1車種 マツダ3(輸入車)8785台
10位 スズキ 1車種 VITARA(日本名エスクード)860台
2月はほとんどトヨタであった。
中国のリコール制度と2016年の実績
全国乗聯会の崔副秘書長は、中国の自動車品質とリコール制度はますます成熟の度を加えてきたと評価した。中国の自動車リコール制度が始まったのは2004年からである。ちなみに日本は1969年から届け出制が開始され、法制化されたのは1995年である。中国では2004年から2016年末までに、1295回、3668万台がリコールされた。
とくに2013年「欠陥汽車(自動車)産品召回管理条例」の実施以来、毎年500万台を超え、2016年にはついに1133万1500台と大台を突破した。その2016年を国別に見ていくと
日系10車種・735万5680台シェア64.9%、アメリカ系10車種・258万9510台シェア22.9%、ドイツ系9車種・87万1359台シェア7.7%、中国系10車種・13万2991台シェア1.2%という順である。中国系は信じられないくらい優秀だ。
メーカーではホンダが384万5382台で断トツの1位である。これは年間販売量の約3倍に当たる。
2016年通年における販売状況を調べてみると、日系の販売数は379万1500台、シェアは15.6%である。これに対し中国系の販売数は1052万8600台、シェア43.2%である。
つまり販売シェア43,2%の中国系はリコールシェアわずか1.2%、同じく15.6%の日系はリコールでは64.9%も占めているのである。
公正な運用か?
北京大学経済学院の薛副教授は、これには日本企業の抱える本質的問題が内在しているという。人口老齢化により製造業の優秀工員や技術者が相対的に減少している。
その結果、日本の企業管理文化があらゆる面で脆弱となっていることが、中国との合弁企業においても問題を現出させていると指摘する。
しかしこれではあまりにも大所高所からのご高説にすぎる。日系、とくにホンダで多発した原因はタカタ <7312> のエアバッグである。それよりも何より中国系のわずか1.2%の方が異常であろう。これでは問題となる前に人脈を駆使し身内で処理しているのでは、と誰しも思うに違いない。
果たしてこれで公正な制度運用と言えるのか?今回の記事見出しも、2月の自動車リコール日系が依然として過半数と何だか得意気である。公正な運用より日本たたきが優先するのだろう。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)
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