今季からJリーグ(J1、J2、J3)の全試合の放送を始めた「DAZN」(ダ・ゾーン)。Jリーグがイギリスのスポーツ動画配信大手のパフォーム社と、10年で2100億円という大型の放映権契約を結んだもので、視聴希望者はDAZNに加入すれば、J1・J2・J3全試合の他、独ブンデスリーガや伊セリエA、仏リーグアンなど欧州プロリーグの試合も見られる。最近になってもスペインのプロリーグ、リーガ・エスパニョーラの放映権も獲得したと発表している。またサッカーに限らず国内外130種類以上のスポーツコンテンツを年間6000試合以上も見放題となる。

費用は月額1750円(税抜き)、ドコモユーザー向けのDAZN for docomo(ダ・ゾーン フォー ドコモ)なら980円(同)などとなっている。

Jリーグファンはもちろん、スポーツ好きにとっては大歓迎のサービスのように思えるが、サービスの質などについて不安視する声も少なくない。

なぜ今日本でDAZN?テレビとインターネットの違いを比較して考える

DAZN
(画像=DAZN)

昔からスポーツ中継といえば、プロ野球を中心とした地上波テレビが人気のコンテンツの筆頭と言えただろう。しかし現在はインターネットが主流の時代、DAZNは通信衛星を使ったテレビ放送ではなくインターネット回線を使った通信としてコンテンツサービスを展開する。

インターネット回線を使った通信の場合、テレビ放送とは異なり、チャンネルの数は無限だと言える。例えばサッカーのリーグ最終戦において数試合のプレイ時刻が同時に重なったとしても、インターネットであれば同時に中継することができるのだ。

これがテレビ放送だとチャンネル数に制限ができてしまい、局側の都合上、試合開始の時刻を変更しなければいけない場合もある。

もちろんインターネットの場合、視聴方法に関してもスマホやPC・タブレットに至るまでデバイスの種類はさまざま。外出先や車内で移動中であっても、ネット環境さえ整っていればオンデマンドで見ることも可能となる。

チャンネル数や視聴方法の種類だけ比較しても、DAZNのようなインターネット放送はテレビ放送に比べ、サービス選択の幅は圧倒的に広がるのだ。

DAZNのジェームズ・ラシュトンCEOは、世界に先駆けて日本でサービスをスタートさせた理由について次のように語っている(朝日新聞の報道より)。

「日本の人口数やインターネットの利用者数などを調べると、環境としてDAZNを利用できる人が多いのではないかということがわかった。また、スポーツに関してさまざまな種類のスポーツに興味を持っている人が多いということもわかった。その対象となる人をすべて集客することができれば、とても大きな数になると考えた 」

接続の問題や画質の品質などは大丈夫なのか

DAZNは安定した受信環境が整うアンテナによるテレビ放送ではなく、インターネット回線を使用したネット配信の環境となる。

インターネット回線を利用するのでスマホやタブレット・PCなどの各デバイスで、いつ・どこでも視聴が可能と言うが、通信環境や混雑の状況によっては画像が見づらくなったり、途中で止まってしまったりという可能性も否定できない。

実際、2月26日のガンバ大阪とヴァンフォーレ甲府の試合が視聴できなかったトラブルが報告されたが、ラシュトンCEOは謝罪したうえで、トラブルの根本的な問題は解決していると釈明した。

通学や通勤などバスや電車の中などでの視聴や、仕事の空き時間などに気になる試合の動画やダイジェストなどを気軽に時間を有効に使いながら楽しめるという部分では、スポーツファンの増加もこれまで以上に期待できると言えるだろう。

ただし、デバイスや時間帯など視聴に関する選択肢が増えたとはいえ、画質の問題や通信混雑の問題など、DAZNより以前のサービスコンテンツ視聴経験者などに印象として悪影響を与えてしまう可能性もある。

DAZNは現段階でもインターネットでの視聴というスポーツ中継の未来を提示してくれていると言えるが、今後多くの課題を改善することで、さらなるサービス機能の向上を実現することが望まれる 。

DAZNが日本で今後普及していく可能性はあるのか?

「2チャンネル」の開設者で元管理者でもある西村博之氏は、堀江貴文氏との対談でDAZNについて以下のように話している。

「視聴者はコンテンツに興味があるわけで、配信会社はどこでもいいって人が多いですからね。Jリーグが見たいのであれば、それがスカパー!なのかDAZNなのかは関係ないみたいな。んで、Jリーグ独占ってのもあるんですが、野球やバレーボールなど、いろんなスポーツを見放題できるってのがすごく日本人に合うような気がします」(HORIEMON.COM 2017年2月27日ブログ記事より一部抜粋 )

さまざまなデバイスが使用でき、時間効率を工夫しながらスポーツを視聴することができるコンテンツサービスは、確かにスポーツ観戦・応援好きの日本人には合っているのかもしれない。

DAZNが今後、長期的に日本で普及していくには、通信環境や画質の問題などどれだけ視聴者やファンの視聴ストレスを軽減することができるかが最も重要な課題だろう。(藤瀬雄介、スポーツ・ヘルスケアライター)

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