禁煙の波が押し寄せる。厚生労働省が一部を除く飲食店での屋内喫煙を原則禁止にする法案の提出を目指すほか、2020年の五輪開催を控える東京都でも、小池百合子知事が受動喫煙防止に前向きな姿勢。根強い反対論もあり情勢は流動的だが、愛煙家や施設管理者の意識改革の必要性はこれまで以上に高まる。恩恵を受けそうな銘柄を探った。

受動喫煙関連銘柄
(写真=PIXTA)

受動喫煙をめぐる日本の規制はほかの先進国と比較して緩く、健康増進法では罰則のない努力義務にとどまる。WHO(世界保健機関)によれば、日本の受動喫煙対策は「最低レベル」。外国人観光客の増加や五輪開催へ向けた環境整備の中で、国際標準に近づけるべきだという方向に世論は傾きつつある。

厚労省による改正案については、与党内で慎重な意見も多く、今国会でどの程度審議が進むかは不透明だ。ただ、中・長期的により厳しい規制が適用される可能性は高い。東京では7月の都議選で小池知事が実質率いる地域政党「都民ファーストの会」の躍進も予想され、議論の活発化につながりそうだ。

愛煙家の選択肢の一つが、火を使わないいわゆる「電子たばこ」。たばことの区別に関してはグレーゾーンだが、健康リスクが低いとされることもあって選ぶ人が増えている。特に、フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)が昨年4月に日本全国での販売を開始した加熱式たばこ「iQOS(アイコス)」は驚異的なスピードで普及している。

たばこ葉を使用し、味わいが紙巻きたばこに近いアイコスは、これまでに300万台超が出荷された。PMIは品薄状態にあるアイコスの増産体制を整える。遅れを取ったJT <2914> も今年6月以降に東京で、来年には全国で「蒸気たばこ」の販売に乗り出し巻き返しを図る。

電子たばこは温度を調整するセンサーをはじめ部品点数が多く、生産面で関係してくるメーカーもありそうだ。業界関係者からはサプライチェーンに関係する企業の一つとしてJUKI <6440> の名前も挙がっている(JUKI側はコメントを控えた)。輸入販売を手掛けるトランザクション <7818> の業績も好調だ。

一方、規制の方向性によっては施設側が徹底した分煙対応を迫られ、関連設備に特需が発生する可能性もある。関連銘柄は三菱電機 <6503> のほか、日鉄鉱業 <1515> 、イトーキ <7972> 、くろがね工作所 <7997> 、ユニマットリタイアメント・コミュニティ <9707> など。

また、直近IPO(新規上場)銘柄では、自動ドアのフルテック <6546> に注目したい。同社はエアカーテンや換気システムなどの分煙設備に強く、人気化のきっかけになりそうだ。(3月31日株式新聞掲載記事)

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