テロなどの犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案が衆院本会議で審議に入った。海外では爆破テロが相次ぐ中、2020年の東京五輪を控えて国内でも対策強化が待ったなしの状況にある。朝鮮半島の情勢緊迫化で石川製作所(6208)をはじめとする防衛関連銘柄に向かう物色の波は、セキュリティー関連株にも押し寄せる。
政府は今年7月に、テロやサイバー攻撃対策のための情報集約や分析を行う「セキュリティ情報センター」を設置する。15年は外務省が「国際テロ情報収集ユニット」を新設したほか、昨年には警視庁でもサイバーセキュリティー対策本部を立ち上げた。組織犯罪処罰法改正案の成立によって、今後は海外政府とも連携した対策が進むことが予想される。
調査会社の富士経済では、テロ対策などを含めた国内のセキュリティー関連市場が19年には15年比で23.7%増の5570億円に拡大すると予想。画像解析やAI(人工知能)を利用した監視カメラのほか、顔認証などのバイオメトリクス(生体認証)技術が大きく伸びるとみている。特に18年に向けては、首都圏再開発に合わせた需要が見込まれる。
セキュリティー対策関連では、ALSOK <2331> が主力の警備事業を伸ばしている。日立製作所 <6501> 子会社の警備会社を買収したほか、今年4月には東武鉄道 <9001> 傘下の警備輸送事業を継承。事業拡大に向けてM&A(企業の合併・買収)を積極化している。
人の感情を可視化する画像解析やドローン(小型無人飛行機)など最新技術の導入にも意欲的。株価は上値抵抗線として意識される26週移動平均線を上抜いており、強調展開が期待される。
エアコンや自動車向けなどの電子部品を手掛けるタムラ製作所 <6768> も足元でセキュリティー関連機器の売上が伸びている。業績面でも、主力の電子部品が好調となり、2月の受注高が前年同月比12.1%増、前月比17.0%増と大幅に伸びた。株価は昨年2月を底に上昇に転じており、15年5月の高値565円を目指す動き。これを上回ると一段高も期待される。
また、セキュリティー対策として防犯カメラのニーズが高まる中、兼松サステック <7961> やあいホールディングス <3076> なども注目される。このほか、東陽テクニカ <8151> は港湾警備システムを手掛けるが、昨年にはサイバーセキュリティーにも進出するなど事業強化に着手している。
穴株としては、ホームセキュリティーカメラのテクノホライゾン・ホールディングス <6629> のほかに、画像処理でザインエレクトロニクス <6769> も面白そうだ。
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