生命保険の見直しにより新たな保険契約を結ぶにあたり、当たり前のように保険料を月払にするむきもあるが支払い方法もさまざまだ。生命保険をせっかく切り替えるなら、保険料の支払いや請求手続きなどにもぜひ目を向けておきたい。

加入する生命保険を絞り込んだら、保険料の支払い方法も吟味しよう

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(写真=PIXTA)

同じ保険商品で保障額が同じでも、保険料を支払う期間や支払い方式など保険料の払い方が変わると、支払う保険料の総額にも差が生じる。商品パンフレットやHPに掲載していないことも多いのだが、保険によっては、一時払、一定期間分の保険料の前払い(前納)など、さまざまな支払い方法が選べることも。保険料をクレジットカード払いできる保険商品も増えてきた。加入する保険が定まったら、支払う方式の吟味も忘れてはいけないだろう。

また、同じ月払契約であっても、個別に契約して口座振替する場合と、給与引落しで支払う団体月払とではわずかだが保険料月額が変わる。一般的にまとめて支払うほど、団体で契約するほど保険料は下がるため、ボーナス活用で年払にするなど家計と相談しつつもなるべく得する方式を選びたい。

既契約の解約返戻金の有無と金額もあらかじめ確認しておく

生命保険を見直した結果、加入中の保険を解約することになったら、あらかじめ解約返戻金の有無、解約返戻金がある場合はおおよその金額を確認しておこう。

加入保険の解約は、当然、新しい生命保険の契約成立後に行う手順となる。しかし、あらかじめまとまった金額の解約返戻金があるとわかっていれば、新規に保険加入する際、手元資金から解約返戻金プラスαの資金を前納することで、たとえば学資保険の保険料支払い期間を短くして中学入学までに支払い完了することが可能になるかもしれない(前納できるかどうかは生命保険各社で異なるため問合せが必要である)。臨時収入のような感覚になりがちだが、どうせなら解約返戻金を次の契約に上手に生かすことを考えてはどうか。

保険金の請求など出口イメージもしっかり持っておこう

生命保険加入でひと安心…するにはまだ早い。よく見られる光景として、加入後に届く保険証券や約款など冊子類を引き出しの奥に保管したまま時間が経過する…こんなパターンが見受けられる(それどころか、保険証券をどこにしまったか思い浮かばない人もいるかもしれない!)。しかし、生命保険は、保険金の支払い対象となる事象が起きたら必ず契約者側から請求する必要があるのだ。請求手続きについても確認をしておこう。

どんな場合にどのような請求手続きが必要なのか、手続きに必要な書類は何か、被保険者本人だけでなく、その家族が請求できるか等の出口をイメージして備えておくことは、請求漏れ防止にもつながる。こうした確認は、見直し直後の保障内容がよくわかっている時期に忘れず行うことをオススメしたい。

たとえば、皆さんは「指定代理請求制度」をご存じだろうか?
医療に関する保険給付金は元来、被保険者本人が請求して受け取るものである。しかし、病気入院でそのまま意識が戻らず、家族が被保険者に代わり入院給付金や手術給付金などを請求したいケースも起こりうる。そんなときに家族を指定代理請求人として指定しておかなければ手続きが取れず、せっかくの備えが生かしきれないことになりかねない。

現在の保険加入ではあらかじめ申込書などで指定代理請求人を指定する項目が用意されている場合が多い。しかし、契約時期が古い、定期付き終身保険の特約などで医療保障を準備している人は、契約当時そうした特約を付加していないことも考えられる。配偶者などを指定代理人にしているか、一度確認されたい。

保険料のような固定費を抑えることは家計改善の王道だ。無駄な保険料をなくすためにも、今後も家族構成や職業の変化、貯蓄の積み上げ状況などに応じて定期的に保障内容が適正かどうかチェックするようにしたい。生命保険は一度見直したら終わりというものではないのだ。

海老原政子 ファイナンシャルプランナー
国内生保の生命保険募集人として勤務。ライフプラン全体から生活者視点・女性目線を活かしたアドバイスが好評。コラム執筆や家計相談、個人・企業向けマネープランセミナーを行う。エムプランニング代表。(AFP、住宅ローンアドバイザー)

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