生命保険のプロに相談したら、たちどころに適した保険が見つかるとは限らない。保険の専門家であっても、あなたの家のことを熟知するプロではないからだ。生命保険の見直しを専門家に相談する場合、こちらの希望や目的をきちんと伝えたうえで保険商品の提案をしてもらうことが重要だ。そのためには何をどのように伝え、どんな質問をすべきか。相談をスムーズに進めるため、相談の場で確認しておくべき事項を学んでいこう。

保険の売り込みが心配!まずは「加入中の保険の内容を知りたい」で様子を見る

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(写真=PIXTA)

はじめから「生命保険の見直しをしたい」と言うのではなく、「いま加入している保険の内容を知りたい」と相談を切り出してみよう。

はじめに加入保険の確認が目的であると伝えることで、言外に“不要な保険は買わない”姿勢を伝えることができるので、強引な保険勧誘へのけん制にもつながる。また、相談相手の保険証券を読み取る力や保険知識レベル、説明能力の優劣がわかるので話を進めてよいかどうかの判断材料となるだろう。また、会話のやりとりを通じて、その人となりや生命保険に対する考え方をうかがい知ることもできるだろう。

だだ、ヒアリングもそこそこに新しい保険の売り込みをかけてくる担当にあたる可能性も否定できない。売り込みに不安があれば、あらかじめ「相談担当者の変更ができるか」、「契約しなくても相談を受け付けてくれるか」確認しておいてもいいだろう。

新しい保険を提案されたら「どうしてこの保険がおすすめか」必ず確認!

既契約の保障内容を一緒に確認していく中で、別の生命保険を提案されることもままあるだろう。そんな時はどのように反応すればよいだろうか?

新しい保険商品を提案されたときは「あなたはどうして、この保険を勧めるのか」と質問してみよう。こう問いかけたうえで、相談相手から返ってくる“おすすめの理由”をチェックするのだ。たとえば、これまであなたが伝えた意向がきちんと反映されているか。加入中の保険とどう違うのか。どうしてその保障があなたに必要なのか、といったことを。

なかには、商品知識が豊富で立て板に水のような商品説明をされ、惑わされるケースがあるかもしれない。単に保険切り替えが目的の勧誘なのかが気になり出したら、さらに「今の保険を活かしたかたちで見直しはできないのでしょうか?」とたずねてみてはどうか。

この質問をうけても勧誘の姿勢を変えないようであれば、いったん持ち帰って検討する。他の相談窓口にセカンドオピニオンを聴きに行くなどの方法をとるのもよいだろう。一方、保障の減額や払済保険への切り替えなど現在の保険を活かした提案をしてきた相手や、加入中の保険にはない特長とその保障が必要な理由を示し納得がいったなら、提案内容をじっくり聞いてみる価値があると思われる。

奥の手として聞く。保険のプロが「入っている保険」「あなたなら加入するか」

禁じ手に近いかもしれないが「あなたはどんな保険に入っています?」「今提案いただいた保険をあなたなら入りますか?」と聞いてみるのも一手だ。

最初に断っておくが、保険相談の相手が加入しているから“いい保険”、相手が「加入しない」と答えたから“悪い保険”ということではない。家計リスクは人により異なるからだ。ただ、この質問を投げかけることで、プロが生命保険を選ぶ視点を明らかにしてもらえるし、ひいては我が家にとってのリスクを考えるきっかけにもなるからだ。
どれくらい自己開示してくれるかを確認することで、これからも生命保険の相談相手として長く付き合っていけそうかの判断材料にもなるだろう。

逆に「毎月平均して、皆どれくらい保険料を支払っているか?」こうした質問にはあまり意味がない。必要な保障額も保険のタイプも家庭によってさまざまだからだ。私見ではあるが、保険料を前面に出したトークに終始する相手なら、相談者としてふさわしいか再考してもいいのではないだろうか。

海老原政子 ファイナンシャルプランナー
国内生保の生命保険募集人として勤務。ライフプラン全体から生活者視点・女性目線を活かしたアドバイスが好評。コラム執筆や家計相談、個人・企業向けマネープランセミナーを行う。エムプランニング代表。(AFP、住宅ローンアドバイザー)

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