あなたは生命保険に加入しているだろうか。日本の生命保険の加入率は男性80.6%、女性81.3%と非常に高い数値を誇っている。しかし生命保険に加入する際にしっかり分析して加入している方はすくない。ほとんどの日本人が加入している生命保険についてあなたは詳しくご存じだろうか。

多くの人は「成人したから」や「友達や親に勧められたから」、「営業マンに勧められたから」といった形で深く考えないまま生命保険に加入している場合が多い。しかし、生命保険の中には手数料が高かったり、掛け金を払いすぎていたりと無駄が多いのも事実だ。今回は生命保険の種類や知らないと損する特徴や注意点を解説する。

生命保険の種類は大きく4つ

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(画像=Rawpixel.com / Shutterstock.com)

生命保険の種類は大きく分けて以下の4つだ。

・死亡保険
・医療保険・疾病保険
・介護保険
・死亡保障付きの生存保険

まずは上記の生命保険の特徴を簡単に理解しておこう。

死亡保険 被保険者が亡くなる、もしくは高度障害状態に陥った場合に保険金を受け取ることができる
医療保険・疾病保険 保険の対象となる病気やケガをした場合に保険金を受け取ることができる
介護保険 介護が必要となった時に保険金受け取ることができる
死亡保障付きの生存保険 保険期間中に死亡もしくは生命保険満了時点で生存していても保険金を受け取ることができる

上記の4つが生命保険を大別した形となる。また上記4つの生命保険は任意加入が可能な生命保険となる。それでは生命保険の各種類について詳しく解説する。

死亡保険

一番最初に解説するのは「死亡保険」だ。死亡保険というと聞いたことがある方が多いが、更に詳しくとなると知らない方も多いのではないだろうか。死亡保険の中でも4つの種類がある。

・定期死亡保険(定期保険)
・終身死亡保険(終身保険)
・定期保険特約付終身死亡保険(定期付き終身)
・収入保障保険

上記の4つを簡単にまとめた表が以下になる。

定期死亡保険(定期保険) 死亡保険の中でも保証期間が10年、20年といった形で決まっている死亡保険
終身死亡保険(終身保険) 年数や年齢ではなく、被保険者が死亡した場合に保険金が下りる仕組みの死亡保険
定期保険特約付終身死亡保険(定期付き終身) 定期死亡保険(定期保険)と終身死亡保険(終身保険)を組み合わせたもの
収入保障保険 定期保険特約付終身死亡保険(定期付き終身)の亜種。被保険者が保険金を受け取れる状態になった際、一気に保険金を受け取るのでなく一定期間一定額ずつ保険金を受け取る仕組み。

一口に死亡保険といっても死亡しなくても貰える死亡保険もあり、その種類は様々だ。死亡保険は基本的に「掛け捨て」の保険となっており、被保険者に万が一があった場合に保険金がおりるものが多くなってている。中には死亡保険だったとしても貯蓄性があるタイプもあるため、一口に死亡保険といえども様々な種類を勉強する必要がある。それでは4種類について詳しくみていこう。

▲定期死亡保険(定期保険)
定期死亡保険(定期保険)はその名の通り一定期間のみ保障される死亡保険だ。死亡保険を契約する際に、10年や20年、30年といった形で「自分があと何年で死ぬか」に対して保険をかける。一定期間が終了したら、死亡保険を更新するか新たな保険へ乗り換えることとなる。

定期死亡保険(定期保険)を使用する例としては、

・一定期間危険な仕事に従事することになった
・余命宣告をうけた
・寿命が近い
・子供が学校に通っているため万一の場合

といった場合に利用される。手厚い保障が特徴の定期死亡保険(定期保険)はメリットが大きいと考えるかもしれないが、ほったらかしにしてしまうと自動更新されてしまう。そのため保険料が上がってしまう危険性もあるので定期的に確認をしておこう。

▲終身死亡保険(終身保険)
終身死亡保険(終身保険)は定期死亡保険(定期保険)の様に一定期間の保障ではなく死亡するまでの期間ずっと効く保険だ。年齢や年数が決まっている保険ではないため、「とりあえず入っておこう」という方が多いタイプ。契約する人としては、相続に向けた老人や新社会人が多い。

人はいつ死ぬか分からないためいつでも保障してくれる終身死亡保険(終身保険)は重宝するが、短期解約してしまうと保険金が少なくなるというペナルティを受けてしまう。ペナルティを受けないためにも始めに終身死亡保険(終身保険)で大丈夫かしっかり考えよう。

▲定期保険特約付終身死亡保険(定期付き終身)
定期保険特約付終身死亡保険(定期付き終身)は、定期死亡保険(定期保険)と終身死亡保険(終身保険)を組み合わせて作成された保険だ。死亡するまでの期間を保障したものが一段階、一定期間を自身で設定することで一定期間は更に厚い保険をかけることが可能だ。

使用される場面としては、まずは死ぬまでの保障をした後で、後に一定期間は更に保障してもらいたいという場合になる。定期保険特約付終身死亡保険(定期付き終身)は複数の保険に入るのは手間だが、保障範囲を広げたい方にぴったりだ。しかし一方はやめて一方は継続するということが出来ないので注意が必要だ。

▲収入保障保険
収入保障保険は定期保険特約付終身死亡保険(定期付き終身)の保険金受け取り方法が一時金としてではなく、一定期間分割でもらう保険だ。また受け取れる保険金にも差が生じ、定期死亡保険(定期保険)の場合はいつでも一定額もらえるのに対して、収入保障保険では「いつ死亡したか」で受け取れる金額に差が生じ、満了で死亡した場合が一番保険金が高い。

保険金を収入の様に受け取りたい方にはおすすめの保険となるが、まとまった金額を確保することが難しいため「葬儀代や学費に使用したい」という方には向かない。従ってまとまった資金は保持しているものの保険を掛けたい方にぴったりの保険だ。

医療・疾病保険

二番目に解説するのは「医療・疾病保険」だ。死亡保険と同様に医療・疾病保険にも4つ種類がある。

・定期医療保険
・終身医療保険
・ガン保険
・所得補償保険・就業不能保険

上記の4種類を簡単にまとめたのが以下の表だ。

定期医療保険 一定期間内で病気やケガで入院や通院、手術が発生した場合に保険金受け取れる
終身医療保険 亡くなるまでの一生でケガで入院や通院、手術が発生した場合に保険金を受け取れる
ガン保険 ガンになった場合に保険金を受け取れる
所得補償保険・
就業不能保険
病気やケガで働くことが困難になった場合に、本来就業でもらうはずだった所得をカバーしてくれる保険

特定の病気やケガをした場合に保険金を受け取ることができるのが医療・疾病保険となり、保険金を受け取る条件は各保険によって異なる。医療保険の特徴としては病気やケガ全般に侵された場合に保険金がおりるタイプか特定の病気やケガになった場合に保険金がおりる仕組みとなっているかといった部分である。

自分がどの病気に備えなければいけないのかといった部分を理解するためにも様々な医療保険タイプを勉強するのは大切だ。それでは4つについて詳しくみていこう。

▲定期医療保険
定期医療保険の解説の前に「医療保険」について確認をしておこう。医療保険とはケガしたことで入院、通院、手術が必要になった場合にあらかじめ決められた保険金が下りるタイプの保険である。日数分や手術一回いくらといった形でもらえるのが特徴だ。定期医療保険は定期死亡保険(定期保険)と同様に一定期間内で保障されるというタイプの保険となる。

しかし、一定期間を過ぎてしまうと効力を失ってしまうため注意が必要だ。大体が自動更新されるが自動更新されないものもあるので最初に確認しよう。定期医療保険は他の保険と比べて掛け金が少ないため若いうちに利用する方が多い。一方、年を重ねていくと保障が心もとないと感じる方もいるため終身医療保険に切り替える方がお得だ。

▲終身医療保険
定期医療保険とは異なり、一生の間保障が続くのが終身医療保険だ。人生100年時代と呼ばれる現代にぴったりの保険となり、終身医療保険に入っておけば大体はカバー出来る。しかし定期医療保険よりも掛け金が高い傾向にあるため最初は定期医療保険に入っておき後から終身医療保険に入る方が賢明だ。長期間の保障に対応しているのが終身医療保険のメリットだが長期間の間に医療が進歩したことによって保障内容が物足りなくなる場合も考えられる。

▲ガン保険
テレビCMでよく宣伝されるガン保険。他の保険を知らなくてもガン保険だけは知っているという方がいるのではないだろうか。ガン保険はガンと診断された場合や、ガンで入院した場合、ガンで手術した場合に保険金がおりる仕組みとなっていて、更にガン保険の中でもたくさんの種類がある。

ガン保険の大まかな分類としては、定期医療保険や終身医療保険の様に「一定期間」か「終身」の違いとなっている。ガン保険がおすすめな方の特徴としては、通常の病気やケガはそこまでの心配していないが、万一のガンは心配という方だ。上記の方に「ガン保険」はぴったりだ。しかしガン保険はその名の通りガンに対してしか効力を発揮ため他の病気にかかってしまった時に役に立は立たないのが欠点だ。

▲所得補償保険・就業不能保
所得補償保険・就業不能保は病気やケガをして、働けなくなった場合の療養する期間に保険金がおりる形だ。自分が働いていた分がカバーされる保険となっているので、働けなくなったとしても収入が保障されるというものだ。収入保障保険に近い内容となっており、違いとしては「死んだときに発生するか」、「病気やケガのときに発生するか」となっている。

働けない場合ずっと保障されるため、退院した後も保険金がもらえるのが大きなメリットだ。しかし働ける人しか所得補償保険・就業不能保に入ることができないため主婦や老人、学生は入りにくい保険となっている。

介護保険

三番目に解説するのは「介護保険」だ。介護保険は一種類のみである。介護保険はその名の通り介護が必要になった際に保険金がもらえる形で一括で給付されるものもあれば、持続的に給付されるものもある。要支援1・要支援2・要介護1から5の各段階でもらえる金額が決まっている介護保険もしくは、独自の基準がきまっている介護保険がある。

死亡保障込みの生存保険

最後は「死亡保障込みの生存保険」だ。死亡保障込みの生存保険には3つの種類が存在しており、以下になる。

・学資保険・こども保険
・個人年金保険
・養老保険

上記の3種類を簡単にまとめたのが以下の表だ。

学資保険・こども保険 保険が満期になった際に保険金がおりる保険。親が生存している場合は祝金として給付される。個人年金保険 年金形式で支払われる保険。「確定年金」と「終身年金」に分類される。養老保険 満期にならずになくなってしまった場合は満額がもらえる保険。

▲学資保険・こども保険
子供が自立もしくは、学費が高くなる時期に満期を設定して一定期間に保険をかけるのが学資保険・こども保険だ。大学の費用に充てる方が多く、18歳に満期を迎える場合が多い。親が生存している場合は満期になった保険金である祝金が、満期になる前に親が亡くなってしまった場合は保険金がおりる仕組みだ。

別の種類貯蓄機能をつけた学資保険・こども保険も登場しており自信が決めた年齢になると学資金が支払われるケースもある。子供の学費のために資金を作っておきたいと考えてしようする人が多いのだが、一度保険に入ってしまうと変更が厳しいため子供が進路変更した際に対応できないデメリットがある。

▲個人年金保険
年金と同じように老後の資金的余裕をつくることを目的とした保険が個人年金保険だ。保険金受け取り期間を一定期間決めているものを「確定年金」といい、自分が死ぬまで受け取れるものを「終身年金」という。定額型年金保険の場合は自身の払い込む期間までに自分が死亡した場合は死亡給付金がおり、満期を迎えると年金として保険金を受け取ることが可能だ。

変額年金保険の場合は自分が支払った保険料が運用される。仕組みとしては定額型年金保険と一緒なのだが運用の成績よって死亡給付金や年金の給付額が変動する仕組みだ。定額型年金では国民年金や厚生年金、共済年金のさらに第三段階として年金を追加することが可能だ。

しかし運用はしないため物価が上昇してしまった場合は相対的に受け取れる金額が少なくなってしまう。一方変額年金は運用されるためどちらかというと投資信託と同じような「金融商品」に近い。メリットとしては節税しながら運用、年金としてもらうことができるのだが満期支払いの際にリーマンショック級の大暴落がきてしまうと支払い額が大幅に減ってしまう可能性がある。

▲養老保険
養老保険は一定期間保険料を支払い、満期になると保険金である満期金が支払われる。満期になる前に亡くなってしまった場合は満期金と同じ金額を受け取れる仕組みだ。給付金額が決まっているため満期になった際のプランがたてやすいというメリットがあるが、保険料が他の保険よりも高いため大きな金額を受け取りにくいのが特徴だ。

生命保険に加入するメリット・デメリット

生命保険の特徴や種類を解説してきたが今度は生命保険に加入するメリットやデメリットについて解説していこう。ほとんどの方は「生命保険は入らなければいけない」と考えている方が多くとりあえず生命保険に入ってしまっている方が多い。しかし生命保険も金融商品の一種であるため、メリットとデメリットをしっかり確認してメリットがデメリットを上回るのであれば加入するというのが理想だ。

生命保険に加入するメリット

生命保険に加入するメリットとして挙げられるのは「自分にもしものことがあった場合にお金を残せる」というものだろう。

・働き盛りの自分が死んでしまったら家族の生活が立ち行かない
・子供の学費が払えなくなったらかわいそうだ
・葬式代ぐらいは残してあげたい

といった自分以外のために残しておきたい方に生命保険は有効だ。また「節税」できるメリットもあるため、生命保険を利用することで控除をうまく活用するといった使い方もある。

生命保険に加入するデメリット

家族やまわりの方のためにお金を残せるのであればそれだけでいいのでは?と考えてしまうが、生命保険にもデメリットは存在する。「宵越しのお金は持たない」、「貯蓄がまったくない」といった方なら支払った保険料に対して大きな保険金を受け取る可能性がでてくるが、自分で投資をしたほうが資金が増えたというケースもある。

保険会社はもちろん保険会社の人件費や紹介手数料といったところで我々が支払った元金がずいぶん減ったところで運用が開始される。従って最初から不利な状態で投資しているのと同じ形なのだ。また運用型の生命保険でなくとも、保険の種類をしっかり選択しないと損失を大きくしてしまう可能性もある。

たとえば一定期間でなく終身を選択した方がよい場合に一定期間を選択してしまうなど、自分の健康状態や年齢、仕事といった様々な要因を考えて生命保険を選択しなければならない。安易に「紹介されたから」という理由で生命保険に入ってはいけない理由が分かると思う。

生命保険に加入する際の注意点

生命保険の種類やメリット、デメリットを解説してきたがここでは「生命保険に加入する際の注意点」について解説する。生命保険を営業いてくる人は生命保険のメリットがデメリットを上回るよう巧に解説してくる。しかし本当にそうなのか?と考えられる生命保険の知識の土台をつくっていこう。

生命保険料の相場は?

一般的に生命保険にいくらかける方が多いのだろうか。世帯的では平均38.2万円。個人別にみていくと男性が年間22.8万円。女性が年間17.4万円。となっている。世代別にみていくと20代一番低く1.95万円。ここから60代まで段々上昇していき60代で3.24万円となっていく。

この金額を高いと思うか安い思うのかは人それぞれだが、例えば都内で一人暮らし月給が25万円だとすると少ない手残りから1.95万円引かれることとなる。このように考えると年間で20万円以上も差し引かれるのはきつい考えられるだろう。また、生命保険控除は年間4万円しか適用されないため、4万円を超えた保険料は節税にすらならない点にも着目したい。

生命保険以外の保障も視野に入れる

生命保険が自身や家庭の家計に大きな影響がでることが分かったが、ここで考えなければいけないのが、「日本に生命保険以外には保障はないのか?」といった疑問である。

日本には公的な保障として、

・遺族年金
・傷病手当金
・高額医療費

この3点の保障がある。遺族年金は働いている夫が亡くなってしまった場合に月2.6万円から6.9万円もらえる仕組みだ。子供の人数によってさらにもらえる金額が増えていくため、夫がなくなったからといって収入がゼロになるわけではない。傷病手当は病気やケガになり働けなくなった場合に給料の三分の二が1年間支払われる仕組みだ。

この保障形態をとった生命保険が上記の生命保険の紹介にあったが生命保険にはいらずとも最初から保障は受けられるのだ。最後に高額医療費だが、こちらは病院や調剤薬局に支払う金額が1か月内で一定額以上になぅった場合に適用される。会社員の場合は9万円がラインとなっており9万円以上の医療費を際限なく差払う必要性はないのだ。

以上のように日本は公的保障がしっかりしているため、「生命保険に入らなければいざというときに対応できない」というわけではないことが分かるだろう。また県民共済といった地域主導の保険もあり月額数千円と非常に安い値段で「もしも」に備える事も可能だ。国民年金にも万が一に備えた保障がついているため日本は「万が一」に手厚い国であることが伺える。

正しい知識をもとに生命保険を選ぶことが大切

今回は生命保険の種類や知らないと損する特徴、注意点を解説してきた。様々な生命保険の種類があったが、実際に生命保険の仕組みを理解して加入している方は非常に少ない。最後に紹介した公的保障を知らない方が多く、何も保障を受けていないと考えている人が多いのだ。

様々な生命保険は万が一があった場合に掛け捨てや貯蓄、運用といった形で様々な形で保険料を集金する。そして万が一になった時に保険金が支払われる仕組みとなっているが公的保証はどうだろうか。

国民年金は老後の貯蓄をしながら運用、自分に万が一があった場合には障がい者年金という形で保証がなされるため日本人は国民年金さえしはらっていれば最低限万が一があった場合に資金を残すことが出来るのだ。また社会保険や国民健康保険といった保証も忘れてはならない。

こちらは生命保険とは毛色がちがうものとなっているが自分や家族に万が一があった場合に「医療費を全額負担しなくてよい」といったものになるため保証は手厚い。これがアメリカになると、医療費が高額なってしまい庶民には医療が縁遠い存在となるため外国と比べても日本の公的保証は手厚いことがわかるだろう。

上述したが日本には公的保障が手厚いため無闇に生命保険に加入する必要はないといえる。しかし「公的保証よりももっと大きい金額を家族に残したい」や「節税を行うことで家族に資産を多く残したい」、「特定の病気に備えるために保険をかけたい」といった特定の目的があるのであれば生命保険は力になるだろう。

まずは公的保証でまかえないのかを考えて、その次に自分の目的が何なのか理解した上で保険保険を選択することが大切だ。生命保険に勧誘されたらまず公的保障でなんとかなるか考えて生命保険に入る必要があるなら更に各生命保険のメリットデメリットをみて加入していこう。