「生命保険文化センター」という名前を聞いたことはあるだろうか。おそらく金融機関関係者でなければ、この機関の名前も、何をしているのかも知らない方が大半だろう。しかし実は、一般消費者にもメリットがある活動をしている。その生命保険文化センターの役割について詳しく解説しよう。

生命保険文化センターってどんな機関?

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(画像=PIXTA)

正式名称は「公益財団法人 生命保険文化センター」といい、生命保険業界と一般消費者をつなぐ役割をしている機関だ。1976年に設立され、評議員や理事には大学教授や大手生命保険会社の役員らが名を連ねている。

各種調査を実施して消費者の意見や考え方を把握し、それを生命保険業界に伝える一方、生命保険業界が消費者に知ってほしいことを、保険会社に代わって発信している。生命保険文化センターが公表する情報は、信頼性が高く、金融機関やFP(ファイナンシャルプランナー)らのほか、政府の資料にも利用されている。

また、あまり知られていないが、一般消費者向けの無料保険相談やライフプランシミュレーションなどのサービスも提供している。

生命保険文化センターが行う3つのこと

生命保険文化センターの活動は、消費者向けの「啓発・情報提供活動」、生命保険に関する分野の学者向けの「学術振興事業」、政府や企業にも利用される「調査・研究活動」の3つに大別される。

消費者啓発・情報提供活動

一般消費者が生命保険に関する情報を得られるようにするための活動で、次のような種類がある。

<一般消費者と直接会うもの>
・消費者対象の生命保険学習会の開催
・無料保険相談への対応

<消費者を代表する団体等と会うもの>
・消費生活相談員等への情報提供(勉強会の実施等)
・消費者団体等との連携・交流

<学生の金融教育に関するもの>
・学校教育用副教材の提供
・学生・生徒対象の生命保険実学講座
・中学生作文コンクール

<各媒体を通して情報を発信するもの>
・出版活動(小冊子による情報提供)
・ホームページによる情報提供

学術振興事業

生命保険をアカデミックな観点から支えるための活動だ。過去、現在、未来の保険についての研究や海外の保険文化の分析などを行う研究者らに対して次のようなサポートをしている。

・学識者や専門家等をメンバーとする生命保険に関する研究会の運営
・若手研究者の育成のための研究費助成
・助成金を受けた研究の成果論文の表彰
・学者・研究者・専門家向け学術書籍の発行やホームページへの掲載

調査・研究活動

3年ごとに「生命保険に関する全国実態調査」「生活保障に関する調査」というアンケートを行い、一般家庭の生活保障に対する意識や生命保険の加入状況等を調査している。直近では2018年に「生命保険に関する全国実態調査」が実施されており、この結果は生命保険文化センターのホームページに掲載されているほか、政府の金融広報中央委員会の資料にも掲載されている。

生命保険文化センターの情報発信

生命保険文化センターのホームページでは、各活動の詳細を知ることができる。その内容は次の8つのカテゴリーに分かれている。

1.生命保険を知る・学ぶ

生命保険や保険法、年金や社会保障など保険への加入を考えるうえで知っておきたい基本情報が載っている。字が細かく、専門用語だらけで読みにくい約款(保険加入時に渡されるルールブックのようなもの)を読むときの解説書としても利用できる。

2.ひと目でわかる生活設計情報

人生の転機(ライフイベント)があったとき、お金が大きく動く。ここでは、結婚、教育、住宅取得、病気、介護、老後、相続などのライフイベントごとに必要なお金や理由、対処する際の考え方などを学ぶことができる。

生命保険文化センターでは、「自分の人生を自分らしく生きるため」として生活設計(ライフプラン)を立てることを推奨している。それによって将来のお金の出入りを見通し、事前に経済的な準備をしておこうというわけだ。そのためこのコーナーでは、一見すると保険とは直接関係がなさそうな情報についても数多く掲載されている。

3.出版物

一般消費者向け、教育関係者向け、学生向け、研究者向けなど、保険とお金に関わるあらゆる対象者ごと、テーマごとに情報をまとめた冊子を出版している。ホームページ上で閲覧できるものもあれば、無料で請求できるもの、有料で購入するものなどさまざまだ。冊子は生命保険文化センターのページ内からインターネットで申し込むことができ、FAXや郵送での申し込みもできる。

4.講師派遣

出版物と同じように、あらゆる対象者に向けて、無料のセミナーを開催したり講師を派遣したりもしている。内容もさまざまで、自治体が開催する生涯学習講座、中学生・高校生・大学生等のための金融教育、消費生活相談員の勉強会など、すべて無償で全国どこでも講師を派遣する。

5.生命保険相談

生命保険文化センターでは無料で生命保険相談を行っている。2018年度は一般消費者から1,000件を超える相談が寄せられた。ちなみに最も多かった相談は「生命保険にまつわる税金について」で、その次は「保険金受取やクーリングオフなど各種手続きについて」だった。

ホームページには各保険会社の対応窓口の電話番号一覧や、保険会社とトラブルになったときに問題解決を図ってくれる「生命保険協会の生命保険相談所」についての情報なども掲載されている。

6.学校教育活動

学生がお金に興味を持ち、正しい知識を身に付け役立てることができるよう、教育にも力を入れている。講座の開催や金融教育の授業に使える教材の提供など、これまでの実績と現在行っている講座や教材の内容が掲載されている。

また、中学生が生命保険について考えるきっかけとなるよう、毎年「中学生作文コンクール」を主催していて、応募要項や過去の受賞作品などが紹介されている。

7.調査活動・学術振興事業

生命保険文化センターが過去に行ったアンケートの結果や、費用助成を行った研究者・専門家の一覧を確認できる。また、Web上で使える英和・和英辞典などで生命保険に関する英単語の意味を調べたり、英訳したりできる。

8.生命保険文化センターの概要

センターの活動のあらましや組織図、事業計画など基本情報が掲載されている。

生命保険文化センターのおすすめの利用方法は?

保険について調べる

生命保険文化センターのホームページ内の「知っておきたい生命保険の基礎知識」「生命保険Q&A」「用語辞典」で、生命保険への加入や見直しを考える際に役に立つ情報を手軽に入手することができる。

生命保険に直接関係することだけでなく、年金、医療、介護、そのほかの社会保障や税金など生命保険の周辺の知識についても詳しく記載されている。

特定の保険会社や営業担当者からの一方的な説明を聞くだけでなく、保険やお金の基本的なルールを自分である程度学んでおくことはとても重要だ。その知識は、保障の漏れやダブりの多い残念な保険加入を避け、知識不足による損失を防ぎ、いざというとき自分や家族を守ってくれる砦となる。

生命保険の相談やライフプラン表の作成をする

ただ生命保険の知識を知るだけでなく、聞いてみる、試してみる、考えてみるなど実践的なこともできる。たとえば「e-ライフプランニング」というツールでは、自分の家計の損益計算書や貸借対照表のようなものや、資産額の経年変化が見通せるライフプラン表が自作できる。わからないことや不安なことが出てきたら無料相談サービスを利用すればよい。

そのほか、結婚や出産、仕事や健康など生活設計に関わる内容について、ほかの人はどう考えているのか、平均はいくらくらいなのかなどを調査した結果を閲覧でき、親しい人にも聞きにくいお金に関する実情を知ることができる。ここで得られる情報は大学受験の「現代社会」「政治経済」で入試問題として出題されることもあり、あなどれない。

教職員の場合

もしあなたが教職員、学校関係者の場合、また違った利用方法ができる。昨今「日本人のマネーリテラシー向上のためには、学校現場での金融教育が必要だ」といわれるようになってきたが、「教員にそこまで求めるのは酷だ」という意見もある。

生命保険文化センターでは金融教育に取り組む現場をサポートするため、中学生や高校生に保険のしくみやライフプランの重要性を教えるための教材を無償提供している。教師用の手引書や実際の授業の事例集、学生の消費生活と生活設計に関する調査結果なども見ることができる。社会科、家庭科の教員など教える側を対象にしたセミナー開催や講師派遣も、すべて無料だ。

人事担当者の場合

講師派遣事業は、学校だけでなく官公庁、企業、労働組合などが実施する講習会も対象となる。もしあなたが企業の人事担当者なら、従業員の福利厚生や制度理解のための研修の講師を、このセンターに依頼して無料で派遣してもらうことができる。新入社員向けや定年退職者向けなど、講習会の趣旨に合わせてカスタマイズされた内容で、社会保険や退職金、年金などについて学べる。

生命保険文化センターへの問い合わせ

一般消費者が生命保険文化センターに連絡するとしたら、無料相談がほとんどだろう。相談受付は平日の日中だけだが、直接センターに出向いても電話でもどちらでも対応してもらえ、生命保険、生活設計、年金保険などお金のことを幅広く質問できる。

保険会社が集まって資金を出している組織なので、保険ありきの回答になる可能性もなくはないが「直接的に利益が絡む保険会社の営業担当者やファイナンシャルプランナーに聞くのは不安だし、周りに詳しい人もいない」という場合には、こういった窓口に相談してみるといいだろう。

生命保険センターは「生命保険制度の健全な発展のための諸事業を通じて、国民生活の安定向上、国民の利益の増進に寄与すること」を目的としている。知る人ぞ知る存在ではあるが、こういった壮大な目的を達成するために、業界関係者のみならず一般の人が「保険について知りたい」「お金のことを学びたい」と思ったときにも役に立つ情報を発信しているので、まずは一度ホームページをのぞいてみてはどうだろうか。

最後に生命保険文化センターへの問い合わせ先とアクセス方法を紹介する。

・問い合わせ先
相談・来訪予約の電話番号:03-5220-8520(直接センターに出向くときは日時の予約が必要)
相談受付時間:月曜日~金曜日(祝日、年末年始を除く) 9:30~16:00

相談以外の電話番号:03-5220-8510
FAX:03-5220-9090

・アクセス
〒100-0005 東京都千代田区丸の内3-4-1新国際ビル3階

JR「有楽町駅」国際フォーラム口より徒歩2分
東京メトロ「有楽町駅」・都営三田線「日比谷駅」D3出口より新国際ビルに連絡

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)