オーナー企業向け商品ラインナップ豊富
節税といえば、法人が利益圧縮のために生命保険に加入する方法が知られている。これは会社の規模に応じて、あるいはオーナー企業の経営規模にも応じた合法的な節税商品が存在する。
また、個人の節税としては代表的なものは相続税の圧縮から、生命保険料控除といったものまで、節税効果があるものが実在しているが、こうした生命保険商品は、非課税枠や控除額だけに目をとらわれず、保険料の払い方に注意が必要となる。
法人が節税に利用する保険商品は、月払い
会社経営には、様々な生命保険商品が利用される。経営者の退職金を積み立てる場合は、生命保険商品が人気となっている。理由は保険料の50%など、一定割合が損金扱いされるためである。法人とすれば納税するよりも、会社経費として是認されて、なおかつ積立金が確保できる方が有利となる。
個人が相続税の納税対策のために、保険をどう利用するか
会社員でも、公務員でも、経営者でも生命保険加入の大きな理由は死亡保険金となる。保険金は個人が自助努力でによる負担で受取るものであり、これに税負担は本来発生しない。
だが、受取る側からすると、思いがけない大金が手に入るケースも少なくない。そのため、税務当局は非課税限度額を、500万円×法定相続人数に設定している。仮に、相続人が3人の場合には、1500万円が非課税限度額、それ以上は相続税負担が必要となる。そのため、生命保険金が1500万円に収まるような保険を効率よく加入するべきである。
相続税負担を気にして、保険料を払いすぎていないか?
ここで、注意をしたいのは相続税を払うことで子ども世代が救われるから、といって生命保険に間違った加入をしていないか?という点である。例えば、終身保険は80代、90代で死亡しても保険金が支払われるロングライフ商品といえる。そのため、将来配偶者や子どもが受取れる保険金額が決定していることから、早めに保険料(掛け金)を払いきってしまおう、という人が少なくない。
月払いで終身保険を支払う場合、保険料の支払いが延々と続くことを考えれば、一時払いの方が安くすむ、と考えるがちだが、終身保険は保険金と掛け金の割合が少なくとも10:6、商品によっては10:8程度になっている。つまり、コストとリターンの関係で言えば、それほど有利な金融商品ではない、ということも知っておくべきである。
一時払い終身保険は、デメリットがある
保険外交員に勧められて、保険金1000万円の終身保険に加入したとしよう。70歳男性の場合、一括払いは約918万円(2014年10月現在)ほどかかる。ここで、考えたいのは918万円で1000万円の保険金を得ること、非課税枠を享受できるメリットに目を奪われないことだ。918万円もの現金を一括で失う、ということも考えるべきである。
なぜ一括払いを保険外交員が勧めて来たのかを考えてみよう。現在の生活を考えて、それで918万円を保険に注ぎ込ませる余裕があれば問題はないだろうが、これだけの金額を手元から失うことへの不安感はどうだろうか。保険貧乏という言葉があるが、相続対策貧乏では、本末転倒になってしまう。
自分のライフプランと次の世代を守るライフプランニングを
法人も個人も、生命保険を使って節税することは合法だが、問題なのは社内留保の必要があるのに、保険を過大に利用するケースと同時に、個人でもタンス預金や銀行預金が殆ど無く、生命保険に一時払いしてしまうパターンである。
節税は税負担を圧縮することであり、現在の生活水準を圧縮することではない。特に相続税対策は10年、20年、30年後の改正相続税を見越して計算できるものではないため、まずは自分のライフプランをしっかり維持することが重要となる。そして、その次に次世代を守るライフプランニングを考えるべきである。