日本で生命保険に加入している人は8割以上にのぼり、平均して年間20万円近い保険料を支払っているという(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」2016年資料P75-76)。家計に重くのしかかる保険料を、できるだけ安くしたいと考える方も多いのではないか。

しかし、いくら保険料が安くても保障の中身が不十分では、いざというときに頼りにならない。自分に合っていて、保障の過不足がなるべく少なく、なおかつ安い生命保険を選ぶにはどうすればいいのか、わかりやすく解説しよう。

「安いだけ」はNG!自分に合った十分な保障の選び方

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保険に加入して毎月数万円単位の保険料を払い続けていても「自分の加入している保険の内容がわからない」という方は少なくない。保険会社の営業担当者に言われるがまま、「なんとなく必要かな」と思って加入したという話もよく聞くが、本当にそれでいいのだろうか。

もちろん、本当に親身になって、顧客の家族構成やお金に対する考え方などを丁寧にヒアリングし、もしものときには社会保険でいくらまかなえるか、保険以外の選択肢はないのか、ということまで丁寧に説明できる誠実で知識豊富な営業担当者になら、ある程度任せてもいいかもしれない。

本当にその保険が必要になるような事態に陥り「助かった」ということもあるだろうが、ただ残念なことに、最近「かんぽ生命の不適切販売」がニュースにもなったように、保険会社のポジショントークで、会社側が売りたい保険をただ売りつけられているだけで、「保険に入りすぎ」「保険料を払いすぎ」という方も多い。

契約したものの、保障の中身がよくわかっていないので、本当なら保険金がもらえる状態なのに気づかず、請求せずにいる方もいる。保険も金融商品の一つなので、損をしないためには、ある程度自力で知識を身につけておくことが望ましい。

本当に必要な保険の選び方

自分に合った保険を選ぶには、まず「なぜ保険に入るのか」という目的を明確にしておくことが大切だ。「そりゃあ、万が一のときのためだろう」と思うかもしれないが、ではその「万が一」とは具体的にどういった状況を指しているのか。そのときに、いくらくらい必要で、誰にどのくらい迷惑をかける可能性があるのかまで考えておかなければ、具体的な保障内容まで検討することはできない。

目的があいまいなままだと必要な保障額もわからないし、必要な保障額がわからないとどんな保険が適しているかもわからないはずだ。

適切な保険の保障内容を検討するときの手順は、以下のようになる。

・今後の人生でどんなリスクがあるのかを考える
・その事態が起きたとき、いくらあれば対処できるのかを考える
・その状況に陥ったときに国などからもらえるお金や受けられる支援を考える
・手元の貯金はいくらあるのか、誰かから援助を受けられるかを考える
・それでもまだ足りない部分があるなら、保険で補う

こうした検討もしないまま、「とりあえず入っておいたほうがいいだろう」と考える方や、もしものときは想定したけれど、公的年金など保険以外でまかなえるお金のことをすっかり忘れていて十分すぎる保障を付けてしまい、その分高額な保険料を払い続けている方も多いのではないだろうか。

できるだけ具体的に考えてみよう

たとえば、自分が死亡したあとのことを想像して、残された家族が、いくらあれば対処できるか考えてみよう。これはその人の置かれている状況や家族構成、金銭感覚などによってひとりひとり違う。葬式や納骨、死後の物品整理などで相場の200~300万円くらいかかるとして、あとはどうだろう。

独身の方や夫婦2人でフルタイムで働く共働き家庭ならそれぐらいで済むかもしれないが、自分の収入で養っている家族がいたら、それだけでは心もとない。特に、まだ小さな子どもがいて配偶者が育児に専念しているようなケースでは、あなたの収入が途絶えたからと言ってすぐに働きに出ることは難しいかもしれないし、子どもが大きくなればどんどん教育費の負担も重くなっていく。

単純に考えて、月に25万円で生活している家庭なら、25万円×12カ月×20年(子どもが独立するまで)=6,000万円が必要になってもおかしくない。

次にもらえるお金を考える。あなたが年金保険料を支払っているのなら、残された家族は「遺族年金」を受け取れる。たとえば自営業の夫が死亡して、妻と幼い子ども2人が残された場合、受給できる遺族基礎年金は年間120万円ほどになる。

夫が会社員だと、それに加えて遺族厚生年金ももらえる。その額は生前の夫の平均収入にもよるが仮に月35万円だったとすると、遺族年金は合計で180万円ほど、1カ月あたり15万円くらいはカバーできる計算だ。

また、遺族年金以外にも、亡くなった方を埋葬したときに健康保険から支給される「埋葬料(一律5万円)」、労災で亡くなった方の葬儀費用を補てんする労災保険の「葬祭給付(31万5000円+約1カ月分の賃金相当)」といった給付制度もある。

あとは自分の貯金や資産でカバーできる分や、もしそれまでの家が賃貸で実家に帰ることになったために浮く家賃分などを考慮すると、案外少ない保障でもなんとかなりそうだと思えるかもしれない。

面倒でも一度は考えておきたい「もしものときのお金」

次に病気やケガをした場合を想定してみよう。1週間ほどの入院や手術で100万円の医療費がかかったとする。しかし、健康保険に加入していれば3割負担で、75歳以上なら1割負担で済むこともある。

さらに、健康保険には高額療養費制度があり、70歳未満で平均年収くらいの方なら、先ほどの例で自己負担額は1カ月あたり最高で9万円程度で済む(差額ベッド代や先進医療は対象外)。この金額は70歳以上や所得が低い方、過去に何度もこの制度を受けたことのある方ならもっと安くなる。大企業に勤めている方なら、その企業の健康保険組合独自のさらに手厚い保障を受けられることもある。

それでも自己負担額が大きければ、確定申告をして医療費を収入から控除すれば、税負担が軽くなる。もし、病気やケガでしばらく働けなくても会社員なら有給休暇や傷病手当金もあるし、そのほか障害年金、介護保険、介護休業給付、労災保険など利用できそうな公的な保障は数多く用意されている。

ちょっとした入院や通院でも保険金が下りる保険のほうが得だと考える方もいるだろうが、数日程度の入院や通院なら、貯金でカバーできることも多い。だから、似たような保障内容の保険に加入するよりは、その分を貯金や投資に回したほうがよいという考え方もある。

基本的には、公的な保障を受けても自力ではどうしても無理な部分を埋めるための手段が保険だ。「お金に余裕がないから保険には入らない」という方もいるが、保険は本来お金に余裕がない方こそ入っておくべきものだ。

わざわざ不幸な事態が起きることを想定し、いろいろな制度を踏まえて、いちいち計算する作業は煩わしいかもしれない。しかし、保険料をできるだけ抑えつつ大事な保障を外さないためには、それが遠回りに見えて一番の近道だ。

保険料が安い生命保険

さまざまな検討をした結果、やはり保険が必要だと思ったら、自分が必要な保障を満たすぴったりの内容で、できるだけ保険料が安い商品を探してみよう。

以下のような保険は、保険料が安くコストパフォーマンスが高いものが多いので、有力な選択肢になるだろう。それぞれ、保険料が安い理由がある。

コストを削減している「ネット保険」

ネット保険は、その名の通りインターネット経由で申し込みができる保険だ。実際の店舗に出向いたり、営業担当者と何度も会ったりすることなく、オンラインで24時間365日好きなタイミングで利用できる。店舗代や人件費が最小限で済んでいる分、保険料が比較的安めの設定になっていることが多い。

ネット保険だけを扱っている会社もあれば、通常の保険も扱いながらネット保険にも乗り出している会社もある。

デメリットとしては、自分で考えてイチから保険を選ぶので、多少の知識が必要というところだろう。いくつもの保険の保障内容などを比較して自己流にカスタマイズするのが苦にならない人ならいいが、保険料は安くしたいが自分で調べたり考えたり選んだりするのは面倒だ、という方には向いていない。

手軽に加入できる「共済保険」

イチから選ぶのは面倒だが、できるだけ安いものがいいということであれば「共済」という手もある。都道府県民共済やこくみん共済などでは、「死亡したとき」「病気やケガのとき」「重い障害が残ったとき」など主要な保障がまとめてワンセットになった商品を扱っている。

共済は、民間の保険会社と違い「非営利」で事業を行っているため、保険料が安い。いろいろな保障を1つにまとめた商品でも月2,000円ほどで加入できる。保険会社の保険の場合は、加入した年齢によって保険料が異なるが、共済では18歳~59歳までは同じ保険料で同じ内容で加入できる。

ただ、安い保険料で幅広く保障してくれるので、保障してくれる金額が少なめな点は注意したい。また、60歳~64歳は保険料が同じでも保障内容が下がり、65歳~85歳まで5年おきに保障内容がガクッと下がり、85歳以上の方は加入できない共済が多い。

これは、独身や共働きの会社員で、「たとえ万が一のことがあっても養うべき家族がいない」という方、もしくは「配偶者の稼ぎがあるからなんとかなるし、老後は退職金や年金などもあるし大丈夫だろう」という方にとっては、保険料や補償額が手ごろな水準に思えるかもしれない。

ただ、こうしたケースにあてはまらない方、たとえば子どもがいて配偶者の収入だけで養っていくのは難しい場合や、自営業で退職金がなく、年金も少ないという場合には、共済だけでは万一のときの家計への打撃を防ぎきれない可能性がある。

基本的な保障は共済でまかないつつ、子どもが独立するまでなど、必要な時期に必要な分だけ追加の保険に入っておくというのも一つの考え方なので、自分や家族の状況を考慮して判断するとよいだろう。共済もネット保険同様オンラインで手軽に申し込めることが多い。

貯蓄性はないが保険料は安い「掛け捨て型」

共済の保障を補う保険としても役に立つのが「掛け捨て型」の保険だ。保険には「掛け捨て型」と「貯蓄型」の2種類があり、同じ保障金額なら掛け捨て型のほうが圧倒的に保険料は安い。保障額は同じでも、貯蓄型なら保険料が月1万円のところ、掛け捨て型なら月1,000円以下で済むということもある。

これはなぜかと言うと、貯蓄型は解約したときや満期まで加入したときにお金が戻ってくるが、掛け捨て型にはそれがないからだ。貯蓄型の場合、満期まで加入すると、それまで払った保険料よりも大きい金額が「満期保険金」として受け取れる。

保険料をなるべく抑えるということであれば掛け捨て型がいいということになるが、貯蓄型、掛け捨て型、どちらにもメリット・デメリットがあるため、どちらが損でどちらが得かは保険に加入する方の事情次第というところがある。以下の表をチェックして自分に合ったほうを選ぼう。もちろん、両方を組み合わせてもよい。

  掛け捨て型 貯蓄型
メリット ・保険料が安い(子どもを養うために保障額を大きくしておく必要がある場合でも、貯蓄型ほどコストがかさまずに済む)。
・解約返戻金の金額を気にしなくてよいので「必要なときに必要なだけ」加入するなど柔軟に使いやすい。
・お金が貯まる(半強制的に積み立てていくので、貯金が苦手な人でも貯めやすい)。
デメリット ・満期まで加入し続けても解約返戻金がない、もしくはごくわずか。
・加入期間が「〇年間」「〇歳まで」と区切られている保険が多いので、一生涯の保障を求める方には向かない。 
・保険料が高い(長ければ数十年間にわたってお金の使い道が制限されてしまう)。
・途中で解約すると、今まで支払った保険料より解約返戻金のほうが少なくなり「元本割れ」状態となる。
・長期間加入する前提なので「必要なときに必要なだけ」という用途には向かない。

保険料をさらに安くするには

不要な特約を外す

当然だが、保障を少なくすれば保険料は安くなる。安さを求めて保障内容を抑えすぎるのはよくないが、「内容がよくわからない特約を付けている」という方は結構多いのではないか。

特約は不要であれば外すことができるし、多すぎる保障金額を減らすことで、保険料は安くなる。今一度、自分の加入している保険の保険証券や加入しようとしている保険の見積書を確認してみよう。

保険会社のコールセンターに問い合わせれば、契約内容を確認することができるし、一つ一つの特約についてどういうものか説明してもらうこともできる。よくわからないものにお金を払い続けているのはもったいないので、この機会に疑問を解消しておこう。

年齢が若いときに保険に加入する

共済は例外だが、通常の保険では加入時の年齢は1歳でも若いほうが保険料は安い。「保険のことはいつか考えよう」と放置していると、誕生日が来て保険料が上がってしまう。あせって契約する必要はないが、どうせ“いつか”考えるのであればできるだけ早めに考え始めたほうがいいだろう。

中には、生まれてきた子どもや孫のためにまだ保険料が安いうちにその子自身の保険をかけておいて、その子が大人になったら保険契約者をその子の名義に変えて、保険を「プレゼント」するという方もいる。

延長保険

加入している貯蓄型の保険の支払いが厳しいようなら、延長保険にするという手もある。延長保険にすると、保険料の支払いが必要なくなる。その代わり、当初設定していたよりも保険期間が短くなり、特約も消滅してしまう。メインの保険金額は変えないまま、負担を減らしたいときに使われる方法だ。

払済(はらいずみ)保険

払済保険も、延長保険と同じように、加入している貯蓄型保険の保険料負担をなくしたいときに利用される。こちらは、保障期間は当初設定したときのままだが、メインの保険金額が少なくなる。

保険を見直すときに気を付けたいこと

保険を見直すべきタイミング

保険の見直しは、保険料を安くしたいときでも、自分の保険の入り方を考え直したいときでも、いつでもできる。しかし、ぜひ保険を見直したほうがよいタイミングというのもある。それが、「ライフスタイルが大きく変わったとき」だ。生活が変わると、必要な保障額も変わっていることが多い。

・結婚した
結婚すると、独身の頃と違って何事も自分一人の問題ではなくなり、相手が困らないように配慮することになるだろう。まずは、もしものときに迅速に請求できるよう、お互いに相手が入っている保険とその保険証券の保管場所を確認しておくことが大切だ。

共働きでお互いに自立できる稼ぎのある方なら、独身時代と大きく変えなくても問題はないかもしれないが、これから子どもが欲しいと考えている場合、その時期だけでも女性に手厚い医療保険をプラスしておくと、帝王切開が必要になったときや流産をしてしまったときなどもしっかりと保障され安心できる。

結婚を機にどちらかが仕事を減らして家事の比重を増やす場合、どちらかが倒れたときに家計が立ち行かなくなるリスクが高まる。2人とも保険の保障を手厚くしておいたほうがよいだろう。

・子どもが生まれた
子どもが一人前に成長するまでの間、生活費は増えるし教育費もかかる。もし片方の親だけで育てていくような事態になっても、親が働けなくなっても子どもが困らないくらいの準備はしておきたい。確実に将来の学費を貯められるよう学資保険を検討する方も多い。

ここで問題になるのが、子どもにかける保険だ。両親の保障は手厚くしておくべきだが、子どもにも保険をかける必要があるかどうかは、人によって判断が分かれる。

子どものときに何か重篤な病気を発症すると、将来保険に入れなくなってしまうこともあるので、子どものうちに加入しておくというのは一つの考え方。一方で、自治体によって差があるが、子どものうちは医療費補助などの支援が手厚いので、保険は不要だという考え方もある。

・マイホームを買った
マイホームを買うとき、たいていの場合「団体信用生命保険(団信)」に加入する。住宅ローンの返済者が亡くなったらその後の返済は不要になるという保険だが、これもれっきとした生命保険なので、その分、それまでに入っていた死亡保険の保障額を下げて保険料を安くするという手もある。

・子どもが独立した
子どもが独立すると、学費や食費などの費用が減るため、必要な保障額も下がる。子どもが成長するまでの保険としては、「終身保険(貯蓄型)」や「定期保険(掛け捨て型)」だけでなく、「収入保障保険」というものもある。

「収入保障保険」は基本的に、保険金を一時金ではなく「毎月10万円」などあらかじめ設定した金額で分割して受け取っていく。もし、加入してすぐに死亡すると、それ以降長期間にわたって年金方式で受取人に保険金が支払われる。死亡時期によって、トータルで受け取る保険額が変わるのが特徴で、契約期間が残り少なくなるほど、受け取れる保険金額が下がっていくしくみになっている。

終身保険や定期保険のように一定の保障をずっと続けるわけではないので、保険料が安い。万が一の事故や病気で収入が途絶えても、毎月の収入を一定額確保できるので、子どもがいる家庭の保険として人気が高い。

・仕事をリタイアした
仕事をリタイアしたあと、人によっては退職金やそれまで契約していた生命保険の満期保険金が入り、貯蓄が増える。年金ももらえるようになり、医療費の自己負担も減るので、それまでより保障額を少なくしても特に困らないという状況の方なら、支出を抑えるためにも不要な保険は解約してもよいだろう。

ただ、この世代の方すべてが潤沢に資産を持っているわけではないし、病気やケガで体調を崩すことも増えてくる。現役時代と同じ保障が必要なのか、全く必要なくなるのか、そのあたりは自分の資産や収入額、ライフスタイルによって判断しよう。

見直しのことを「相談する人」も重要

保険を見直すと言っても、自分の資産や収入を元に今後いくら必要になるか、どのような保障が必要になるかを、自分一人ですべて考えるのはなかなか難しい。誰か相談できる人はいないか、と考える人もいるだろう。

もちろん、家族との相談はもちろん必要だが、あまり保険に関する知識がない知人や親族、特定の保険を売りたいだけの保険の営業担当者などに相談してしまうと、余計に混乱してしまったり、自分の意向とは違う方向に話が進んでしまったりすることがあるので注意してほしい。

基本的には、誰から話を聞いても、鵜呑みにしないことが大切。厳しいようだが、自分のライフプランは、自分で責任を持ち、しっかり考えて決断しよう。

別の保険に乗り換える際の注意点

見直しの結果、別の保険に変えたほうがいいという結論に至ったとき、気を付けておきたいことがある。

・解約返戻金の有無をチェック
加入中の保険に解約返戻金があるか、つまり貯蓄型の保険かどうかを確認しよう。保険料が高いからと言って満期前に解約してしまうと、元本割れになってしまう。また、バブル期あたりの景気のよい時期に加入した保険なら、たとえ保険料が高くても、いまどきの保険ではありえないような高い返戻率(払った保険料に対する解約返戻金の割合)を約束されていることも多いので、余計に解約するのはもったいない。

・保険に加入していない期間を作らないこと
今の保険を解約してから新しい保険が有効になるまで、間を空けないようにするのが鉄則だ。間が空いてしまうとその期間は「無保険」となり、全く保障がない状態になってしまう。たまたまそのタイミングで大きな病気が発覚してしまったら、今まで保険料を払い続けてきた保険からの保険金は出ないうえに、新しい保険にも加入できず、全く保険金を受け取れない状況になる可能性がある。

・「告知」を正しくする
告知とは、自身の持病や通院歴などを保険会社に申告することだが、これが漏れなく間違いなくできていないと、のちのちトラブルに発展することがある。

特に共済保険は手軽に申込書が手に入り、気軽に記入して申し込むことができるが、この告知を記入する欄が小さいこともある。告知欄を見落として無記入のままでいると、何か病気になって保険金を請求しようとしても「別の病気で通院歴があったことを記載していなかったから、今回の保険金は出せない」と断られるケースもある。

共済やネット保険は、基本的にすべて自分で手続きすることになるので、説明文などをしっかり読んで細心の注意を払おう。あとから「自分の思っていた内容と違う」ということがないように、自分の責任で契約を完結させるという自覚を持ってほしい。

保険料が安く保障も手厚いおすすめの生命保険

保険を選ぶ際の注意点について述べてきたが、これらを踏まえて具体的にどのような保険があるのかを見ていこう。今回は保険料の安さをポイントに、保険の種類ごとに3つずつ選んでみた。ただ、ここで紹介したものが、あなた自身に合っているとは限らない。あくまでも保険選びの参考の一つとしてほしい。

死亡保険(定期保険/掛け捨て型)3選

・メディケア生命「メディフィット定期」
あまりCMなどをしていないので知名度が低いが、大手の住友生命の子会社だ。保障内容はシンプルだが、その分、保険料が業界トップクラスに安い。

・アクサダイレクト「定期保険2」
保険料が手ごろながら、電話で健康相談ができるサービスやセカンドオピニオンサービスなども付いている。少しだけ備えたい人もしっかり備えたい人も納得できる保障内容となっている。

・チューリッヒ生命「定期保険プレミアムDX」
定期保険には珍しく非喫煙割引と健康体割引がある。タバコを吸わない健康な男性の保険料が特に安いので、条件にあてはまるのなら検討してみたい。

収入保障保険 3選

・損保ジャパン日本興亜ひまわり生命「リンククロス じぶんと家族のお守り」
ネット保険ではないが保険料が安い。非喫煙割引と健康体割引があるが、もし加入した時点であてはまっていなくても、後日禁煙に成功したり健康診断結果が改善したりした場合に祝金として差額分が戻ってくる「健康☆チャレンジ!制度」というものがある。そのほか、メンタル疾患にも手厚い保障がある点も特徴的だ。

・ネオファースト生命「ネオdeしゅうほ」
この種類の保険ではトップクラスに安く、特にタバコを吸わない健康な方向け。ネオファースト生命は第一生命グループの会社なので知名度は低くても比較的安定感がある。

・オリックス生命「Keep」
他社の保険では保険料が高くなりがちな喫煙者や標準体(健康優良体ではない方)の方にやさしい保険。他の保険の割引条件にあてはまらない方にとっては最安クラス。

医療保険 3選

・オリックス生命「医療保険新CURE」
シンプルな保障で保険料が安い。がんに対する厚い保障をプラスすることもできる。コストパフォーマンスが高い保険としてプロの間でも評価が高い。

・メットライフ生命「Flexi(フレキシィ) S」
女性特約、三大疾病特約、介護や認知症の一時金、死亡保障、健康祝い金など数多くの特約の中から必要なものを必要なだけオプションとして追加できる柔軟性が、便利で使いやすい。

・ライフネット生命「新じぶんへの保険」
ライフネット生命はネット保険の草分け的な会社で、知名度も高く加入を検討する人も多い。保障が手厚い「おすすめコース」と保険料を抑えた「エコノミーコース」から希望に合わせて選択できる。

見積もりを取って比較してみよう

保険料の設定方法は各社の方針によって微妙に違うので、女性の保険料を低く設定している保険もあれば、20代の保険料が安い会社、逆に50代の保険料が安い会社もある。タバコを吸うか、健康かどうかなども含め、いろいろな要素で保険料は決まっている。

自分の条件だと、どの保険が一番安くなるのか、一度見積もりを取って確認してみよう。ネット保険はスマホでも簡単に見積もりできる。簡単なシミュレーションなら1分もかからないような会社もあるし、一括で数社に見積もりを依頼できるサイトもあるので、試してみよう。

保険商品は同じように見えても実は細かい設定が異なっている。たとえば、複数の保険会社の資料で「三大疾病なら、その後の保険料は免除」と書いてあっても、その三大疾病の定義が違うので「脳血管疾患」で免除条件にあてはまる会社もあれば、脳血管疾患の中のさらに細分化された病名である「脳梗塞」でないと保険金がおりないという会社もある。

その違いは保険料にも影響してくる。あらゆる保険で一つ一つの細かい項目をすべてチェックするのは難しいかもしれないが、あとから「こんなはずでは」と後悔しないよう、そういうこともあるということも、しっかり覚えておこう。

生命保険選びは安さだけではなく保障も重要!

保障が多すぎず、少なすぎもしない、保険のちょうどいいラインは、人それぞれ。保険料の安さや評判に目を奪われてなんとなく選んでしまうと、万が一のときに十分な保障が得られないということにもなりかねない。

少し手間はかかっても、自分や家族のお金の状況をきちんと把握し、自分たちに必要な保障はどんなもので、いくらぐらいの金額が必要なのかを考えれば、いざというときに本当に役に立つ、お得な保険を選べるはずだ。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)

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