(写真=Thinkstock/Getty Images)
(写真=Thinkstock/Getty Images)

保険は生命保険と損害保険に大別されるが、実際は第一分野から第三分野まで3つの分野に分かれている。いわゆる生命保険と呼ばれているものは第一分野と第三分野だ。

第一分野にカテゴライズされるのは、人の生命を対象として保険金や給付金を受け取ることができる「終身保険」「定期保険」「個人年金保険」「学資保険」である。学資保険や個人年金保険は生死に関わりなく支払われるが、人の一生に対するリスクを保障してくれると考えればいいだろう。

一方、第三分野は「医療保険」「がん保険」「介護保険」「所得保障保険」「傷害保険」などとなる。こちらは生保会社、損保会社のいずれもが扱っている保険だ。ちなみに、第二分野は損保会社が扱う損害保険。「自動車保険」「火災保険」「地震保険」などがそうで、海外旅行に行く際によく加入する「旅行保険」もここに含まれる。

それでは、生命保険の種類と特徴を簡単に説明していこう。自分のリスクがどこにあるのかを見つける参考にしていただきたい。

終身保険は相続税対策に有効

保障が一生涯にわたって続く保険。死亡したとき、あるいは高度障害状態になったときに保険金を受け取れる。誰にでも死は訪れるので、加入していれば必ず保険金がもらえる。

貯蓄性があることが特徴のひとつだが、現在は予定利率がかなり低く設定されているために貯蓄メリットは期待できない。また、超長期の固定金利なので、将来のインフレには弱い。最近は低解約返戻金型が増えており、払い込み満了前に解約すると損になることも。ただし、相続税対策としては非常に有効な方法。

定期保険は掛け捨てタイプの代表格

10年や20年のように一定期間に起きた死亡を保障する。掛け捨てタイプの代表格と言えるだろう。保障期間があらかじめ決まっているので、保険料は割安。子どもが社会人になるまでは大きな保障がほしいなど、はっきりした目的がある場合に向いている。

ちなみに、定期保険の中でも保障が長期間にわたるものは、貯蓄性を備えていることがある。

子育て世代に合理的な収入保障保険

こちらも一定期間の死亡に対する保障。ただし、定期保険とは少々異なる部分もある。まず、保険金は毎月、または毎年といったように分割して支払われる。また、保障は加入時が最も高く、年数を経るにしたがって下がっていく。子どもが小さいうちは将来に必要な金額は大きく、成長するにつれて少なくなることを考慮したもの。

たとえば、小学1年生はこの先十数年分の教育費が必要になるが、大学3年生ならあと1年分あれば十分といった具合だ。保険料は定期保険より割安で、子育て世代には合理的な保険だと言える。

特約の種類も豊富な医療保険

病気やケガに備えた保険で、基本的に入院と手術に対応する。あらかじめ決められた入院日額を入院した日数分受け取れるが、検査入院のように治療目的でないものは対象外。しかも、入院している間中支払いが続くわけではなく、60日や90日など入院の限度日数も決まっている。一方、手術をした場合は手術に応じた手術給付金が支払われる。

保障期間が更新タイプ、終身タイプ。保険料の支払い方法が短期払い、終身払いなどさまざま。三大疾病免除特約や通院特約など、特約の種類が豊富なのも特徴だ。

もしもの病気に備えたがん保険

がんに特化した保険。基本は「がん診断給付金」「入院給付金」「手術給付金」の3つから成り立っている。がん診断給付金は大きな特徴で、がんと診断されれば100万円単位の給付金が出る。治療費でも生活費でも、使い道は自由だ。最近のがん治療は入院日数が短くなっているし、手術をしないケースも増えてきた。がんになったとき、このがん診断給付金は役に立つお金になる。

ただし、上皮内がんは給付の対象にならなかったり、満額が支給されないこともある。支払いの基準は事前に調べておく必要がある。

老後の生活に備えた個人年金保険

お金を積み立てていき、あらかじめ決められた年齢に達したら年金という形で受け取れる。公的年金だけでは老後の生活が心配だという人のための保険。積立預金と似ているが、こちらは死亡保障がついている。受け取り期間や被保険者の生存の有無によって、以下の3タイプがある。

「確定年金」…10年など年金の受け取り期間を設定したもの。期間内に被保険者が死亡した場合、残りの期間は遺族が年金を受け取れる。

「有期年金」…受け取り期間を設定するが、被保険者が死亡すると年金は打ち切りになる。ただ、「保証期間付有期年金」にしておけば、死亡したとしても残りの期間は遺族に年金が支払われる。

「終身年金」…生涯にわたって年金が受け取れる。こちらも「保証期間付終身年金」であれば、残りの保証期間内は遺族が年金を受け取れる。

個人年金保険も超長期の固定金利なのでインフレには弱く、低金利の現在は運用のメリットはない。そのせいか最近は利率変動型や外貨建てが増えているものの、外貨建ては為替リスクがある。

学資保険の元本割れに要注意

親の死亡に備えつつ、教育資金を貯めるもの。貯蓄性の部分を重視するため、戻り率がいい保険の人気が高い。分割よりも一括で受け取るタイプのほうが、戻り率はよくなる。簡単には引き出せないので、貯蓄が苦手な人には向いているかもしれない。

一方、死亡保障が手厚くなっていると、払い込んだ保険料より少ない金額しか戻ってこないという元本割れが起きることも。どちらを重視するかで選ぶ商品は変わってくる。

介護保険はまだ発展途上

要支援や要介護状態になると、公的介護保険制度で自己負担が1割になる。しかし、それでは足りない場合も多く、その不足分を補うもの。保障タイプ、保険金の受け取り方、支払い要件などがそれぞれ違っていて、選ぶのが難しい。介護保険はまだ発展途上という感じで、まずは貯蓄で備えることが肝心だろう。

生命保険を検討する際の4つの注意点

それぞれの特徴をざっと説明してきたが、最後に生命保険を検討する際の4つの注意点について付け加えておきたい。

(1)リスク細分型
定期保険や収入保障保険では、健康状態によって保険料が変わる保険が増えてきた。これをリスク細分型という。喫煙や非喫煙、BMI値、血圧値といった一定の基準をクリアすると、保険料が割安になるしくみになっている。非喫煙者優良体は保険料が約半分になるケースもあり、自動車のゴールド免許で割引が適用される商品もある。一度、調べてみる価値はあるだろう。

(2)主契約と特約
保険は主契約と特約で構成される。主契約はベースとなる契約で、終身保険、定期保険、医療保険、がん保険などがそれに当たる。一方、特約はいわばオプションで、単独で加入することはできない。主契約は一つだが、特約はいくつでもプラスが可能である。特約の内容は、医療特約、三大疾病特約、女性疾病入院特約、通院特約、災害特約、障害特約とバラエティ豊かだ。とはいえ、つければつけるだけ保険料が上がっていく。注意したいのは、主契約が払込満了になると特約は終わりになることが多い。定期保険付終身保険であれば、一生涯保障が続くのは終身保険のみである。

(3)アカウント型保険
正式名称は「利率変動型積立終身保険」。終身保険と名づけられているものの終身保険ではなく、終身保険を買う権利がついているだけだ。主契約はアカウントという積立部分。毎月の保険料から積立ができると謳っているが、大半が特約の部分に回ってしまいほとんど積み立てられないのが実態だ。仕組みがかなり複雑で、うっかり手を出さないほうが無難。

(4)配当あり・無配当
配当とは利益が出たときに分配することで、「有配当」と「利差配当」がある。有配当は、予定死亡率、予定利率、予定事業率の運用が予定よりも良かったときに出る。利差配当は予定利率だけが基準になる。逆ザヤが続いていた間は何年も配当がなかったが、2013年からやっと配当が出るようになった。

このように生命保険は多種多様な範囲にわたってリスクをカバーしている。しかし、あれもこれもと保険を頼るのは間違い。安心感は増すかもしれないが、その分無駄なコストも大きくなる。保険とは、自分が本当にリスクを感じている部分にのみかけるものなのだ。

長尾義弘(ながお・よしひろ)
NEO企画代表。ファイナンシャル・プランナー、AFP。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生み出す。著書に『お金のツボ』(モバイルメディアリサーチ)『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)『怖い保険と年金の話』(青春出版社)『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』『お金に困らなくなる黄金の法則』(河出書房新社)、『保険ぎらいは本当は正しい』(SBクリエイティブ)。監修には別冊宝島の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』など多数。

【編集部のオススメ記事】
2017年も勝率9割、株価好調の中でもパフォーマンス突出の「IPO投資」(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
株・債券・不動産など 効率よく情報収集できる資産運用の総合イベント、1月末に初開催(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)