日本人の多くが生命保険に加入しているが生命保険の種類を完全に理解して加入している方は少ない。しかし各生命保険のメリットやデメリットを理解していないと余計な手数料を支払うことになってしまう。今回は生命保険の種類や特徴、生命保険に加入すべき理由を網羅していき賢く生命保険を使う術を身につけていく。
生命保険とは?
生命保険とは保険料を生命保険会社に支払うことによって万が一の死亡事故や病気、入院をした場合に保険金をもらうことができるシステムだ。多くの人は「万が一」が起きた場合に家族や周りの人、自分を助けるために生命保険に加入する方が多い。
生命保険の中にも種類は多種多様であり、保険料が貯蓄のようなタイプもあれば掛け捨てのタイプも存在する。また保険料を払う期間や保障の期間も様々。だからこそ自分にあった生命保険を選択しないと無駄に保険料を支払うことになってしまうので注意が必要だ。
生命保険は全部で4種類
生命保険の種類は「亡くなった時に保険金がおりる」「満了しているときに保険金がおりる」といった基本的なものを含めて4種類だ。
以下の表に簡単な特徴を記した。
死亡保険 | 被保険者が、亡くなるもしくは高度障害状態に陥った場合に保険金を受け取ることができる。 |
生存保険 | 保険期間を過ぎても生存していれば、保険金がもらえる。 |
生死混合保険 | 死亡保険と生存保険がまじった保険。 |
医療保険 | ケガや病気、入院、手術した場合に保険金をもらうことができる |
死亡保険は自身が死亡した場合や高度障害になった場合に支払われる保険で「定期保険」や「終身保険」、「定期保険特約付終身保険」、「収入保障保険」の4種類となる。
一方、生存保険の内容は被保険者が一定期間の保険期間を満了すると保険金が支払われるもので以下の2つだ。
・「個人年金保険」
・「学資保険」
生死混合保険の内容は死亡保険と生存保険の二つを合わせたの保険となっており、高度障害や死亡の際に保険金が支払われ、保険期間満了の時も満額おりる仕組みだ。生死混合保険の中でもオーソドックスなのが「養老保険」だ。
医療保険は死亡ではなくケガや病気、入院、手術を行った場合に保険金がおりる。
・「終身医療保険」
・「定期医療保険」
・「貯蓄型医療保険」
・「ガン保険」
上記4つがオーソドックスなものだ。
死亡保険の種類と特徴
死亡保険の種類は大別すると4種類。以下の表に簡単な特徴を記した。
定期保険 | 一定期間の間に自分に万が一があったときに支払われる保険 |
終身保険 | 自分が死ぬまでの間ずっとが保証期間。貯蓄性あり。 |
定期保険特約付終身保険 | 定期保険と終身保険を合わせたタイプ。 |
収入保障保険 | 保険金を分割してもらうタイプ。 |
死亡保険は「一定期間」か「終身」によって大別される。それでは各死亡保険について詳しくみていこう。
定期保険
その名の通り、一定期間のみ保障される死亡保険だ。10年や20年、30年といった形で、「自分があと何年で死ぬか」に対して保険をかけていき、その期間が終了したら死亡保険を更新するか、新たな保険へ乗り換えることとなる。
使用する例としては、
・一定期間危険な仕事に従事することになった
・余命宣告をうけた
・万が一があった時の学費
といった具合に「自分に何かあった場合に保険金が欲しい方」が利用する傾向にある。掛け捨て保険のため保険料が安いのも特徴だ。
終身保険
年齢や年数といった期間ではなく被保険者が亡くなるまで保障されるのが特徴だ。死亡したら必ず保険料が支払われる仕組みのため、定期保険よりも高く設定されており一部積み立てという形をとる。注意点としては、短期で解約をしてしまうと受け取れる保険金が少なくなってしまうため、自分には本当に終身保険が必要なのかはっきりさせてから申し込むようにした方がよいということが挙げられる。
定期保険特約付終身保険
「定期保険」と「終身保険」を組み合わせたものを「定期保険特約付終身保険」と呼ぶ。終身保険の死亡するまでの保障期間がベースとなり定期保険で一定期間保障を厚くするという形だ。デメリットとしては「一定期間の方をなくしたい」や「終身の方をなくしたい」といった細かい対応をすることができないため、保険の見直しをしようと考えたら解約するしか手がない。
収入保障保険
定期保険では一気にもらっていた保険金を、一定期間分割して支払う形とした保険のこと。定期保険は加入してから日が浅かったとしても受け取れる金額は同じだが、収入保障保険では加入してから満了の期間でいつ「万が一が起きたか」で受け取れる金額が変わってしまう。また受け取れる金額が一定期間・一定額ずつ支払いとなるため、葬儀や入学金といったまとまってお金が必要な時の力にはなりにくい。
死亡保険はこんな人におすすめ
死亡保険の特徴について解説してきたが大まかな部分について理解しただろうか。
以下の表は死亡保険がどのような人におすすめか解説したものである。
定期保険 | 自分に万が一のことがあった場合に家族へ手厚い保険金が欲しい人におすすめ |
終身保険 | 自分が死ぬまでの期間、いつでも保障が欲しい人におすすめ |
定期保険特約付終身保険 | 複数の保険に入るには面倒くさいと考えている方におすすめ |
収入保障保険 | 毎月一定額が支給されるため収入のベースアップに使用したいと考えている方におすすめ |
死亡保険は基本的に被保険者が亡くなった際に保険金がおりる仕組みなので「自分に万が一のことあった時に保障が欲しい」という方におすすめだ。
また選定の基準としては、
・「一定期間」もしくは「終身」
・「一括で受け取る」もしくは「分割で受け取る」
・一定期間と終身両方だが保険の自由度がない
この3基準となってくるのでどのタイプを選択するのかの基準にしよう。
生存保険の種類と特徴
生存保険の種類は以下の2種類となる。
・個人年金保険
・学資保険
まずは「生存保険」の種類や特徴についてみていこう
個人年金保険 | 「保険」となっているが年金と同じように受け取る保険タイプ |
学資保険 | 満期になった場合に親が生存していた時にもらえる保険タイプ |
被保険者が保険期間を満了した際に受け取れるのが生存保険だ。
死亡保険とは違うのだが被保険者が保険期間中に亡くなったとしても自身が支払った保険料に対応する保険金が支払われる様になっている。
個人年金保険
学資保険
子供が自立もしくは、学費が高くなる時期に満期を設定して一定期間に保険をかけるのが学資保険だ。親が生存している場合は満期になった保険金である祝金が、満期になる前に親が亡くなってしまった場合は保険金がおりる仕組みだ。別の種類貯蓄機能をつけた学資保険も登場しており自信が決めた年齢になると学資金が支払われるケースもある。子供の学費のために資金を作っておきたいと考えてしようする人が多いのだが、一度保険に入ってしまうと変更が厳しいため子供が進路変更した際に対応できないデメリットがある。
生存保険はこんな人におすすめ
生存保険の特徴について解説してきたが大まかな部分について理解しただろうか。
以下の表は生存保険がどのような人におすすめか解説したものである。
個人年金保険 | 公的資金に限らず自分の蓄えを残したい人におすすめ |
学資保険 | 教育のための資金を作っておきたいかたにおすすめ |
生存保険はどちらかというと自分に万一があった場合というよりかは貯蓄・運用することで目的のために蓄えておきたい人におすすめだ。
生死混合保険の種類と特徴
生死混合保険の代表にあたるのは「養老保険」だ。
老後の資金的余裕をつくることを目的とした保険が個人年金保険となり、保険金の受取も年金に近い。
保険金受け取り期間によって種類が異なり、以下の2種類になる。
・一定期間決めているものを「確定年金」
・自分が死ぬまで受け取れるものを「終身年金」
また運用をするかどうかで「定額型年金保険」と「変額年金保険」に分かれる。
定額型年金保険 | 定額型年金保険の場合は自身の払い込む期間までに自分が死亡した場合は死亡給付金がおり、満期を迎えると年金として保険金を受け取ることが可能 |
変額年金保険 | 被保険者が支払った保険料が運用され運用の成績よって死亡給付金や年金の給付額が変動する。 |
個人年金保険では国民年金や厚生年金、共済年金のさらに第三段階として使用する方が多く自分で老後を備えたいと考えている方におすすめだ。養老保険を簡単に説明すると死亡保険と生存保険が組み合わされた保険といえる。
養老保険
養老保険は保険料払込期間の中で被保険者が死亡した時と期間満了になった際に保険金が支払われる保険だ。生存している場合でも死亡した場合でも保険が受け取れる仕組みと高い貯蓄性がメリットとなっているが利率が低いのがデメリットとなる。
養老保険はこんな人におすすめ
自分に万が一があった時も何もなく満期を迎えた時も保険金が欲しいという方におすすめだ。しかし貯蓄したいという方には利率が低いという面からおすすめできず個人年金保険の方がおすすめとなる。
医療保険の種類と特徴
最後に紹介するのが「医療保険」だ。医療保険の代表的なものは以下の4つ。
・終身医療保険
・定期医療保険
・貯蓄型医療保険
・ガン保険
上記4つの特徴を簡単にまとめたのが以下の表だ。
終身医療保険 | 被保険者が亡くなるまでに入院や通院、手術となってしまった場合に保険金がおりる保険タイプ |
定期医療保険 | 一定期間に入院や通院、手術となってしまった場合に保険金がおりる保険タイプ |
貯蓄型医療保険 | 保障と貯蓄の二つの特徴をもつ保険タイプ |
ガン保険 | 被保険者がガンになった場合に保険金がおりる保険タイプ |
医療保険というだけあって被保険者がなんらかの医療を受ける場合に使用する保険だ。
終身医療保険
被保険者が死亡するまで医療に関する保障を受けることができる保険となる。定期医療保険よりも掛け金が高い傾向にあるため最初は定期医療保険に入っておき後から終身医療保険に入る方が賢明だ。長期間の保障に対応しているのが終身医療保険のメリットだが長期間の間に医療が進歩したことによって保障内容が物足りなくなる場合も考えられる。
定期医療保険
一定期間、医療に関する保障を受けることができる保険となる。しかし、一定期間を過ぎてしまうと効力を失ってしまうため注意が必要。大体が自動更新されるが、自動更新されないものもあるので最初に確認がいる。定期医療保険は他の保険と比べて掛け金が少ないため若いうちに利用する方が多く、年を重ねていくと保障が心もとないと感じる方もいるため終身医療保険に切り替える方が多い。
貯蓄型医療保険
終身や一定期間のどちらかで貯蓄と保険料支払いを行いながら保障を行うのが貯蓄型医療保険だ。
ガン保険
ガン保険はその名通り被保険者がガンになった場合に保障を受けられる保険だ。一定期間もしくは終身といった区分もあるため自身の状況によってタイプを選択しよう。
医療保険はこんな人におすすめ
医療保険の特徴について解説してきたが大まかな部分について理解しただろうか。以下の表は医療保険がどのような人におすすめか解説したものである。
終身医療保険 | 一生、医療に関する保障を受けたい方におすすめ |
定期医療保険 | 一定期間、医療に関する保障を受けたい方におすすめ |
貯蓄型医療保険 | 貯蓄と医療保障どちらも受けたいかたにおすすめ |
ガン保険 | 通常の医療に関しては大丈夫だがガンに対しては保険に入りたいという方におすすめ |
被保険者が死亡したといった形ではなく医療を目的としているため自分がする病気に対しての保険に入るのも一つの手だ。
生命保険は絶対に加入しておくべき3つの理由
生命保険の特徴や種類をみてきたが自分にあった生命保険は見つかっただろうか。そもそも「生命保険に入る必要性があるのだろうか」と考えている方もいるかもしれない。そんな方のために生命保険には入っておいた方が良い理由を3つ解説していく。
万が一に備えることができる
巷では生命保険に預けるのであれば自分で運用した方が良いといった風潮もあるが自身で運用を行うことによって数千万円も貯めることができるだろうか。莫大な遺産を引き継いだのなら話は違うが一般家庭で数千万円の利益を挙げるのは非常に難しいといえる。そのような中で「万が一」に対処しようと考えたら保険をかけておくしかないという訳だ。
病気やケガなどに備えることができる
病気やケガをした際に思わぬ出費がでてしまった。このような状況の時に役立つのが生命保険であり収入の補填や医療にお金を使うことができる。またガン保険な各病気やケガに特化した生命保険であれば更なる保障を受けることも可能だ。
将来に備えることができる
個人年金保険など自身の老後や将来に備えることができる保険もある。自身に万が一があった場合の保障と老後の積み立て感覚でできるため生命保険を使った運用や貯蓄といったケースだ。生命保険料控除も合わせて考えると節税しながら投資をすることができる。
生命保険と共済保険の違い
生命保険とは違い、加入している人がお金を出し合って万が一の時にお金を給付する「共済」という仕組みもある。生命保険と似ている部分が多いのだが、住んでいる場所や職業によっては加入できない場合もあるため生命保険の方が加入しやすい。また生命保険ほど保障額が大きくない半面、掛け金が少ないというメリットがあるので自分にあった方を選択しよう。
生命保険は万が一に備えるリスク対策
今回は生命保険の種類や特徴、生命保険に加入すべき理由を解説してきた。公的な保障だけでも十分といえなくもないが、自身に万が一があった時の保障額は少し心もとない。どんな生命保険に入ればよいというわけでもなく自分の置かれている状況や収入に合わせた生命保険を選択しないと損失をだしてしまう可能性もある。そのため自分にあった生命保険を使用することで最適な保障を受けられるようにするのが最善だ。