先週(4/10~4/14)の東京為替市場では、地政学リスクの高まりからリスク回避通貨である円は2週続伸した。週末14日の17時のドル円銀行間インターレートは週間で1円68銭(1.5%)円高の108円94銭で終えた。14日には海外で一時昨年11月17日以来の円高となる108円55銭(海外市場を含む)をつけた。

10日の東京為替市場は円が大幅続落。東京17時では対ドルで111円33銭と先週末比71銭の円安となった。米3月の雇用統計後、NY為替市場では一旦110円14銭まで進んだ円が急反落して111円台になった。週明けの東京市場も海外での円高反転の地合を引き継ぎ、ドル円は111円22銭で始まり一時は111円59銭まで円安が進んだ。

11日の東京為替市場は円が反騰。東京時間17時には110円56銭と前日比77銭の円高となった。米国が原子力空母を朝鮮半島に派遣しており、15日には朝鮮半島周辺の海上に到着すると伝わり、リスクヘッジ通貨の円が再び買われた。

12日の東京為替市場は円が大幅続騰。東京時間の17時のドル円は109円68銭と前日比88銭の円高となった。地政学リスクを懸念した有事の円高が止まらない。米トランプ大統領が「北朝鮮が面倒を起こそうとしている」とツイッターしたことで、海外でドル円は何度もサポートされてきた3月27日の安値である110円12銭をついに割り込み、110円割れでロスカットオーダーを巻き込みながら一時109円61銭までの円高が進んだ。東京時間でもさらに円高が進み109円50銭台で始まり一時109円35銭まで円高が進んだ。

13日の東京為替市場で円は3日続騰。東京17時では109円03銭と前日比65銭の円高となった。 トランプ大統領がWSJのインタビューで、久しぶりにドル高をけん制したと報じられ、通貨安誘導への警戒感から、ドル円は一時108円73銭台まで売られた。

ティラーソン米国務長官がロシアでラブロフ外相と会談し、シリア問題について根本的な打開策は出なかった。円高による企業収益の悪化懸念と地政学リスクから日経平均株価は一時240円を超える下げとなり、株を見ながら円高が進んだ局面もありそうだ。

14日の東京為替市場で円は4日続騰。東京時間17時では108円94銭と前日比9銭の円高だった。 米軍がアフガニスタンのイスラム国(IS)の拠点を空爆したと伝えられた。翌日に北朝鮮で金日成生誕105周年を控え、過去イベント時にミサイルを発射実績があるとの懸念で、地政学リスクによる円高が進行した。ただ、欧米ではイースターの連休を控えていることもあって、模様眺め気分は強く、1円68銭の円高が進行した週にしては一日のレンジは108円85銭?109円23銭と比較的狭いレンジでの商いだった。

「4/17~4/21」の為替展望

週間為替見通し
(写真=PIXTA)

14日の海外市場は、イースターで欧米の主要株式市場は休場。NYでは為替のみが取引された。ドル円は一時108円55銭と昨年11月17日以来5カ月ぶりの円高を付けた。東京時間からは40銭ほど円高だった。

今週のメインシナリオは、107円77銭?110円16銭のレンジを想定している。懸念された15日の北朝鮮の金日成生誕105周年では何も起きなかった。14日の東京株式市場で株が地政学リスクで続落となった割には、ドル円は109円周辺で落ち着いた商いだった。

14日のNY為替市場でも円高が進行したわりには、CMEの日経平均先物は下げに反応せず小幅高だった。地政学リスクに対する市場の耐性はついてきているように見える。中国が米国との会話で方針を転換し始めたため、アジアの地政学リスクは改善に向かうのではとの指摘も増えてきている。

想定レンジのサポート107円77銭は昨年11月15日の安値。レジスタンス110円16銭は日足の一目均衡表の転換点。現在108円78銭に200日移動平均線があり、金曜日のドル円はそこを中心とした商いになっている。地政学リスクは一気に解消することは難しいため、当面は200日移動平均の攻防戦となる可能性が高いと見る。

もし、サポートの107円77銭がブレークされた場合は昨年6月から12月の上げ幅のフィボナッチの61.8%押しである106円52銭が次のターゲット、レジスタンスの110円16銭がブレークされた場合は21日移動平均の110円86銭がめどとなろう。

今週のイベントは、17日に信託大会で黒田日銀総裁の挨拶、18日から日米経済会話初会合、19日に米ベージュブック、23日にフランス第1回大統領選挙がある。再来週25日の朝鮮人民軍創設記念日にも注目が集まりそうだ。

今週の経済指標は、日本では20日に1月の貿易統計、20日にロイター短観、21日は日経製造業PMI速報値がある。海外では、17日に米NY連銀製造業景況指数、中国の1?3月のGDP、20日に米フィラデルフィア連銀製造業景況指数が注目されよう。(ZUU online 編集部)

【編集部のオススメ記事】
「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)