2016年に初の米ドル建て国債発行で175億ドル(約1.9兆円)を調達したサウジアラビアが、今度は95億ドル(約1.3兆円)相当のイスラム債券を発行した。

ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子が引率する「ビジョン2030」の一環で、来年には国営石油会社、サウジアラムコの株式公開(IPO)も予定している。

昨年は初の海外国債発行で2兆円調達

サウジアラビア,石油,財政再建
(写真=Thinkstock/Getty Images)

サウジアラビアは原油安で悪化した財政再建対策の一環として、昨年10月に国際金融資本市場で175億ドルの国債を発行した。

5年債と10年債が各55億ドル、30年債が65億ドルという、新興国の債券発行史上最大規模となった。

米国債の利回りは、5年債が135bp(ベーシスポイント。1.35%のこと)、10年債が165bp、30年債が210bp。ブルームバーグが事情に詳しい関係者から得た情報によると、投資家からの買い注文は670億ドル(約7兆2768億円)に達したという。

続いて1兆円のイスラム債券を発行

それからわずか半年で発行されることとなったイスラム債券は、5年債(100bp)と10年債(140bp)が半々の割合だ。

「スクーク」とも呼ばれるイスラム債は通常の債券とは異なり、利子の受け払いを禁ずる「シャリア(イスラム法)」の規定範囲内で発行される有価証券だ。収益配当を得られるという点では通常の債券と同じである。

前回の米ドル建て国債発行同様投資家からの需要は高く、330億ドル(約3兆5841億円)を上回る入札があった とブルームバーグ紙は報じている。米格付け会社、ムーディーズによる仮格付けは最高から2番目の「A1」、フィッチ・レーティングスは7番目の「A+」 との評価だ。

英GMSA インベストメンツのトレーダー、アンジェロ・ロゼット氏は、「最も大規模で流動性の高いスクーク」と形容し、欧州でのイースター(復活祭、2017年は4月16日)休暇明けにはさらに需要が伸びると予測している。

9兆円の財政赤字、経済成長率は1.4%に低下

二度にわたる大型起債はサウジアラビアの財政再建計画の一環だ。2008年のリーマンショック以降、一旦復興を果たしたかのように見えた原油価格だが、再び経済が失速し始めた2014年には下落基調に転じた。欧米がイランの経済政策を解除した2016年には底打ち感がさらに強まり、「米国のシェール革命(低コストな採掘技術)」が、それに追い打ちをかけることとなった。

その結果、財源の75%を石油関連事業に依存してきたサウジアラビアは、深刻な財政難に直面。2015年には3670億リヤル(10兆6281億円)という記録的な数字に達していた財政赤字は、翌年政府の予想を下回る2970億リヤル(約8兆6010億円)まで縮小 されたものの、かつて平均4%を維持していた経済成長率は1.4%にまで落ちこんだ。

一国として生き残りの選択をせまられたサウジアラビアは、産業革命などで石油に依存した経済からの脱出を図る一方で、2017年、国営石油会社、サウジアラムコのIPOを発表した。

サウジアラムコIPOは実現するのか?

サウジアラビア政府はこうした措置を実施することで、2017年は赤字を1980億リヤル (約5兆 7340億円)にまで縮小しようと試みている。しかし貯蓄基金の切り崩しはいまも続いており、外貨準備金は過去1年で5930億ドル(約64兆4057億円)から5140億ドル(約55兆8255億円)に減った。

実質上の時期国王といわれるムハンマド・ビン・サルマン副皇太子は経済の多様化を実現すべく、今回の海外起債を含めた経済改革構想「ビジョン2030」 を打ちだした。2030年までに石油依存国からの脱出を目指すというコンセプトだ。

2018年には注目のサウジアラムコのIPOも予定されている。評価額は史上最大規模の2兆ドル (約217兆2200億円)と予想されているが、この場合、公開株は5%以下にとどまり実権はアラムコの手中に残されるとの見方が強い。(アレン琴子、英国在住フリーランスライター)

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