日本人が海外不動産に投資することは近年では一般的になってきた。だが、その歴史はまだ浅く、本格的な日本人による海外不動産投資の流れは中国の不動産価格が上昇を始めた2000年代以降からとなる。
歴史と言ってもまだ20年にも満たない期間の中で、海外不動産投資のブームは、中国、マレーシア、フィリピン、タイ(シラチャ)、ベトナムと、目まぐるしく移り変わっている。それぞれの国にブームが訪れた原因とその後の状況を知ることで、今、そして次に投資するべき国について考えていきたい。
中国不動産の価格が上昇(2003年頃~)
日本における本格的な海外不動産投資の流れを作ったのが、中国不動産の価格上昇だ。2000年代の上昇タイミングで投資を行った投資家の成功体験が、後の東南アジア不動産投資ブームの礎となった。
社会主義の中国では、住宅は国から国民へと現物支給されていた。1998年に中国政府が現物支給を停止したことにより、住宅価格は市場メカニズムにより決定されることになった。中国において不動産価格が本格的に上昇したのは、2003年頃からだ。人口ボーナス期を迎えた高い経済成長により、資産インフレが起きたのだ。
不動産価格は2000年から比較すると約10年間の間に2倍以上に上昇した。さらには、2005年には中国通貨の人民元が固定相場制から管理変動相場制へと移行したため、海外からの投資家には為替メリットも発生したため、日本でも多くの投資家が利益を得た。「投資した不動産を2倍で売却した」「投資額が3倍になった」という話をその当時の中国不動産に投資していた多くの投資家から今も聞かされる。
中国不動産は今でこそバブルがもうすぐ崩壊するのではないか、などと言われているが、2000年代に中国不動産を購入した投資家のほとんどは利益を得た。この成功体験が、後の東南アジア投資ブームの要因となる。