集中力を高めるために

残念な営業マンは、今日もがんばるぞと気合を入れる
できる営業マンは、夜か朝に集中する
一流の営業マンは、ゴールデンタイムをつくる

(本記事は、高野孝之氏の著書『プロフェッショナルが実践している営業の哲学』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています)

一流営業マンの時間の使い方 ゴールデンタイムは約2%

営業の哲学,富裕層
(写真=PIXTA)

すべての人にとって時間365日は平等です。であるならば、まず工夫すべきは時間の使い方にあります。突然ですが、サッカーのトッププレイヤーが90分間で、ボールを触っている時間は、およそ何分か、ご存知でしょうか?

たった2分です。90分の2。プレー時間の約2%です。

2016年8月のリオデジャネイロオリンピック重量挙げで、銅メダルに輝いた三宅選手も、前回のロンドンオリンピックのインタビューの中で、次のようにコメントしています。「1年、365日のうち、ピークはわずか7日しかありません。このオリンピックに自分のピークが来るよう、4年間、調整をしてきました」

これも、365分の7ですので、約2%です。

サッカーの2分間、重量挙げの7日間があるように、実は営業の仕事にも次のようなゴールデンタイムがあります。

・午前8時から10時まで(日)
・月曜日(週)
・第1週(月)

つまり、1日、1週間、1ヶ月のスタートのタイミングです。ここで自分のペースがつかめれば、その日、その週、その月を自分のものにすることができます。ですから自分のゴールデンタイムは自分でつくりだすことができるのです。

より大きな成果をあげるためには、「何を」すべきかも大事ですが、いつすべきかも重要なのです。

優秀な営業マンの多くは、特に朝(午前中)を有効に使っています。なぜなら1日のうちで1番、集中して仕事ができるのが朝だからです。

なぜ、午前中に集中できるのでしょうか? それは、午前中はクライアントからの電話が少なく、自主的な仕事に集中できる環境が整っているからです。

そればかりではありません。人は朝、自然に目覚め、夜になると自然と眠くなる「体内時計」を、脳、血液、心臓等の臓器、そして皮膚にいたるまで、遺伝子レベルでもっているといわれています。これにより、午前中は集中して仕事ができるのです。

そこで業績向上に直結する、「お客様への提案書や見積書作成」「お客様開拓のためのアポ入れ」「戦略の立案や見直し」といった業務は、集中できる朝にするのがおすすめです。

できる営業マンの多くは、午前中に提案書を書き、お客様のアポイントを取得し、見積書を作成して、午後にそのお客様を訪問します。

営業マンが自ら、ゴールデンタイムをつくりだすことができることをご理解いただけたと思います。でも、ときにはゴールデンタイムだけでは解決できないこともあるでしょう。そんなとき、「3B(Bus,Bath,Bed)」の場を使うのがおすすめです。電車に乗っているときや歩いているとき、あるいはお風呂のバスタブでゆっくりしているときや寝起きに、なぜかいいアイデアや解決策がひらめいたこともあるのではないでしょうか。

GEの元CEOのジャック・ウェルチは、シャワーを浴びているときに「ひらめく」と言っています。

電車やバス、歩きは脳に適度な刺激を与えることで神経回路がつながり、アイデアが出ることが脳科学で証明されています(洗髪やシャワーも、直接脳を刺激するので効果的と言われています)。

営業マンは移動の機会が多いもの。この移動の時間は、お客様への提案や新しい営業方法などがひらめくチャンスです。

そこでこうしたシチュエーションにあるときは、常にメモを携帯するか、スマホのメモ帳に、アイデアを書きとめるようにしてください。そしてよいアイデアは、さっそく実行するのです。こうした直感によるアイデアは、思いもよらぬ結果を生み、あなたに力をくれるはずです。

こうしてゴールデンタイムと「3B」をうまく使えば、時間をあなたの時間にできるのです。まずは明日から試してください。その効果にきっとあなたは驚くはずです。

『プロフェッショナルが実践している営業の哲学』クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2016/11/14)画像をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします
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人脈を活かして仕事するのが一流の証

仕事をやり遂げるために

残念な営業マンは、孤軍奮闘する
できる営業マンは、社内の人の力を借りる
一流の営業マンは、社外の人の力も借りる

営業の仕事を映画づくりにたとえると、「脚本家」「監督」「俳優」の3役を、ひとりでこなすようなものです。売るための脚本をつくり、自ら監督をして、俳優として演じることで、映画(=営業)を完成させる。営業とはそんなクリエイティブな仕事です。

しかし実はできる営業マンほど、「脚本家」の部分で、社内の人の力を借りることがよくあります。それぞれの局面で自分以外の人間に効果的に役割を演じてもらうことで、商談をより有利にすすめ、成約に持ち込むためです。

優秀な営業マンは、すべてを自分で行おうとしません。「ここに営業かけるならあの人の手を借りるとうまくいく」ということをよく知っているからです。

それはその商品の開発者であったり、その市場をよく理解しているマーケティングのスペシャリストであったりとさまざまですが、こうした社内の手をタイミングよく借りることで、自分が動く以上に軽々と成約できるのです。

中でも商品の開発者は、あなたの商談成約に貢献したいと思っています。ですから依頼が適切であれば、仕事の優先度を上げて協力してくれるはずです。より大きな目標を達成するには、その商品を営業するとき、武器となる人がどこにいて、どのような局面で力を貸してくれるかを常に頭の中に入れておき、ぜひ適宜力を借りるようにしてください。ひとりではできないことでも、人の力を借りることで、大きな成果を手にできるのです。「社内」のみならず、社外の人の力を借りることもおすすめです。

これは、あなたがすでに獲得したお客様の手を借りるということです。お客様が意思決定を行うとき、多くの場合、何が決め手になるでしょうか。実は、第三者の意見が決定に大きな影響力をもつことが少なくありません。ここで言う第三者とは、たとえばお客様の知人、友人、取引先などさまざまですが、中でもあなたが実際に提案している商品・サービスをすでに利用しているお客様の声が、決定に大きく影響します。

これを実現させるためには、契約をいただく前に、「予定どおりの効果が出たら、事例として紹介させてほしい」と事前にお願い(ちなみに私はこれで断られたことはありません)しておくことです。

ありがたいことに、満足したお客様は、その事実を自分の言葉で平均8人に語るといいます。その意味でもお客様の言葉は目標達成の力になります。

高野 孝之
スマートライン株式会社 代表取締役社長兼CEO

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