「走るホテル」ともいえるJR東日本の豪華寝台列車「トランスイート四季島」が5月から、JR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」が6月から運行を始める。これで2013年から運行中しているJR九州の「ななつ星in九州」と合わせ、JRグループで3つの豪華寝台列車が日本列島を駆け巡ることになった。

長距離を走る寝台列車はかつて、全国を結んでいたが、高速バスに押されて次々に姿を消した。豪華観光列車としての復活は、新たな顧客として国内外の富裕層を開拓するとともに、人口減少にあえぐ沿線の活性化も狙っている。

瑞風は6月から山陰、山陽エリアを周遊

鉄道,寝台列車,地域活性化,地方創生
試験走行で岡山県新見市のJR新見駅に2016年11月、立ち寄った瑞風。まだ黒いラッピングに覆われている(岡山県新見市、大手國榮さん提供)

瑞風は10両編成で、定員約30人。6月17日からJR京都駅、大阪駅と山口県の下関駅を結び、途中の山陰、山陽エリアで沿線の立ち寄り観光を実施する。1泊2日と2泊3日のコースが設定され、決まった経路を走らない周遊型の運行スタイルを取る。

外観は深みのある緑色で、先代のトワイライトエクスプレスを思わせる懐かしいイメージ。キャッチフレーズは「美しい日本をホテルが走る」。著名なデザイナーが設計に加わった内装は、山口県産のシイなど沿線の木材をふんだんに使ったほか、島根県産の石州和紙を照明器具に採り入れるなど、文字通り高級ホテルのようだ。

両端に展望スペースがあり、走行中は最後尾の外側にあるデッキで沿線の風景を楽しめる。食堂車は沿線の食材を使い、最高級の料理を用意するほか、茶の湯を楽しめるラウンジを設ける。京都伝統の茶道具も車内で展示する。

6両はデラックスな個室寝台となる。このうち、1両は「ザ・スイート」でバストイレ付きの1室のみ、残り5両も1両当たり3室だけ。プライベートを守りながら、ぜいたくな旅を満喫できる。

6〜9月に走る列車には、2000件を超す申し込みがあった。平均倍率は5.5倍。旅行代金は1人当たり27万円から125万円とかなり高いが、既に完売しているという。JR西日本は「運行エリアにはまだ知られていない観光資源がある。瑞風での旅を通じて地域の良さを再発見してほしい」とPRしている。

四季島は5月から北関東、東北、北海道方面へ