長年訪れてみたかった場所に足を運んだり、季節に合わせて景観を楽しめるスポットを選んだりと、各地が賑わう中、一味違った楽しみ方が期待できるのが、年に数回しか公開されない旧財閥や華族の邸宅や庭園を訪れることだ。

歴史に名を残した名家が築き上げた遺産は、非日常を体感するにはぴったりな空間だろう。限られたときにしか公開されない邸宅や庭園を紹介しよう。

優雅な気持ちにさせてくれる庭園の数々

旧財閥・邸宅
(画像=Webサイトより)

◯旧安田邸さつきのお庭
―ー安田財閥の創設者・安田善次郎の邸宅

安田財閥の創設者・安田善次郎の邸宅とその庭で、新緑に包まれた庭園はさつきが花咲き、彩りを見せる日本庭園だ。

金融業で財を成した安田氏は、安田銀行を開業したほか、日本銀行の理事も務めた人物で、東京大学の安田講堂は、安田善次郎の寄付によるものだ。その旧邸宅の庭が5月28日に公開される。19日までに大磯観光協会までに申し込みが必要(参加費500円)で、定員100人となるが、応募者多数の場合は抽選となる。

◯殿ヶ谷戸庭園
―ー三菱財閥、岩崎家の別邸

国指定の名勝にもなっている殿ヶ谷戸庭園は、満鉄副総裁だった江口定條の別荘として整備された後、1929年に三菱財閥の岩崎家の別邸となった。回遊式林泉庭園は、武蔵野の自然の地形を生かし、段丘の崖にできた谷を巧みに利用して、崖上の緑が映える芝生地と崖下の湧水池がコントラストを成し、さらに樹林で趣の異なる雰囲気に包まれる造園手法が施されている。

庭園自体は年間を通して一般公開されているが、5月18日-21日までは通常非公開の岩崎家時代の貴重な蔵が特別公開となり、展示会を開催する予定だ。

◯旧三井家下鴨別邸
―ー鴨川や東山といった京都の名所の眺望を楽しめる

京都の下鴨神社の南に位置する三井家の別邸は、1925年に現在の旧邸が建築された。主屋は庭園と一体となった開放的な作りで、庭にはひょうたん型の池に石橋が架けられ、苔地の緑が広がる。主屋の3階部分には望楼が設けられ、鴨川や東山といった京都の名所の眺望を楽しめる。

5月15日の京都三大祭の1つである「葵祭」に合わせ、別邸前の特別席で葵祭行列巡行と、通常は非公開の別邸2階の座敷での京料理を楽しむことができるプランを企画。残念ながら既に32人の定員に達した為、申込み受付は終了している。

旧華族の邸宅も見逃せない

◯旧島津公爵邸
―ー現在は清泉女子大学の本館

大正時代に旧島津公爵邸としてイギリス人建築家・コンドルにより設計されたイタリア・ルネサンス様式の洋館は1915年に竣工され、1917年には島津家は、新築披露のために約2000人を招いた園遊会を開催した。

現在は清泉女子大学の本館となっており、春(4-6月)と秋(10-12月)に一般を対象に邸内見学ツアーを実施。天井のステンドグラスは当時のまま現存し、歴史を語り継いでいる。曲線を描く2階の円弧上のベランダからは、南側の庭園を眺めることができる。

◯和敬塾本館
ーー旧細川侯爵邸、昭和初期の代表的な華族邸宅

1936年に細川家の第16代細川護立侯が建てた旧細川侯爵邸は、昭和初期の代表的な華族邸宅で、地上3階、地下1階で、イギリスのチューダー様式を基調にして、サラセン風のデザインなどが取り入れられている。

国内外の大学生や大学院生、留学生などが共同生活を送る和敬塾の本館として、寮生の教養講座、外部有識者を招いたシンポジウムの場として現在は利用されている。一般公開は不定期に実施しており、2017年度は月に1、2度、原則木曜日に実施する予定。入館料は1,000円(消費税抜)となる。

見学ツアーで関連消費もアップ?

豪華絢爛な建物や、異国情緒溢れる館を目の前にすると、非日常に飛び込んだかのようなコト消費を満喫できるだろう。目の前の光景を焼き付けるため、カメラに手を伸ばす来訪者も多い。

スマートフォンでの自撮りにとどまらず、あらゆる角度から邸宅や庭園にフォーカスを当てるべく、プロ顔負けのデジタルカメラを持ち込む見学者もいる。さらに、インスタグラムなどのSNSの広まりで、自ら撮った写真をアップして、広めることが簡単になり、クオリティの高い写真を求める傾向が強まっている。

こうした背景から、一眼レフや高級コンパクトデジタルカメラの需要が伸び、量販店では高級モデルを中心に、拡販を促進するために値下げする動きも出ている。

旧財閥などの邸宅や庭園の見学そのものは、入場料などはリーズナブルな価格でコト消費として楽しむことができるが、期間限定で訪れた高揚感を記録するためのカメラなどデジタル機器を揃えるなど、モノ消費も後押しする。

モノ消費からコト消費へのトレンド転換が叫ばれて久しいが、コト消費を楽しむためのモノ消費もセットにして、レジャーを楽しむ潮流も動き出しいている。(ZUU online 編集部)

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