小学生の「将来なりたい職業ランキング」が発表され、男子児童はスポーツ選手・監督、女子児童は保育士など上位は定番が並んだ。トップ10ではないものの15位以内にYouTuberが入るなど、時代を感じさせる結果となった。

日本FP協会が毎年調査している。今回のデータは2016年の集計結果で、対象は男子1692点、女子1914点の計3606点。まずは、男女別にランキングを見ていこう。

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男子に人気の職業はスポーツ関係が多め

なりたい職業
(写真=PIXTA)

男子児童の「将来なりたい職業ランキング」を10位から1位まで紹介する。(カッコ内は前年順位)

10位(10位) テニス選手・コーチ
8位(17位) 水泳選手・コーチ
8位(6位) 警察官・警察関連
7位(12位) 教師
6位(7位) バスケットボール選手・コーチ
5位(15位) 建築士
4位(4位) ゲーム制作関連
3位(1位) 医師
2位(3位) 野球選手・監督など
1位(2位) サッカー選手・監督など

1位は「サッカー選手・監督など」、2位は「野球選手・監督など」と、スポーツに関わる職業が上位を占めた。スポーツ選手といえば昔から男子に人気の職業だが、6位に「バスケットボール」、8位に「水泳」、10位に「テニス」もランクイン。トップ10のうち5つがスポーツ関係となった。人気選手の活躍や東京オリンピックへの期待などから、スポーツ人気が過熱していると考えられる。

「医師」は前年の1位から順位を落として3位ではあったが、人気は不動。4位には「ゲーム制作関連」。2010年以来ずっと6位以内をキープしている。

5位は建築士。2011年、13年、14年にもトップ10入りしていたが、2015年は15位と後退。今回再び5位に浮上した。新国立競技場のデザインなどで、有名建築家の話題が多く取り上げられた影響か。

男子の14位にはYouTuber(ユーチューバー)

男子児童の「なりたい職業」10位以下についてみると、職人系の職業では11位に「大工」、13位に「料理人・シェフなど」。技術系では12位に「ロボット関連」、17位に「科学者・研究者」が入った。

時代を反映しているのが14位の「ユーチューバー」。世界のトップともなると広告収入だけで年収10億を超えると言われているから、人気を集めるのも当然か。夢のある仕事だとは思うが、“職業”と呼ぶにはまだ多少の違和感があるかもしれない。

一方で、15位「薬剤師」、16位「会社員・事務員」と堅実な職業も票を集めている。トップ10にも3位「医師」、7位「教師」、8位「警察官・警察関連」が入っているように、安定した職業には人気がある。

女子に人気が高いのは身近な職業

女子児童の「将来なりたい職業ランキング」を10位から1位まで紹介する。(カッコ内は前年順位)

10位(15位) 幼稚園教諭
9位(7位) 美容師
8位(12位) ファッション関連(ファッションデザイナーなど)
7位(4位) 教師
6位(6位) 獣医
5位(3位) 薬剤師
4位(7位) 看護師
3位(2位) パティシエール
2位(1位) 医師
1位(5位) 保育士

1位の「保育士」は、毎年上位に入る人気の職業。前年は5位だったが、2009年から2014年まで2位以内を続けており、今回は返り咲き。2位の「医師」は2013年から15年まで1位を守っていたが、今回は「保育士」に抜かれた。3位の「パティシエール」は、2007年以降毎年3位以内に入っている人気職業だ。

圏外からトップ10に入ってきたのは、8位「ファッション関連(ファッションデザイナーなど)」と、10位「幼稚園教諭」。どちらも前年は10位圏外だが、過去10年間では何度もトップ10入りしている。

女子児童に人気の職業を見ると、「保育士」「看護師」「教師」など、日常的に接する機会の多い身近な職業がいくつもランクインしている。また、「パティシエール」や「ファッション関連」といった、ドラマや漫画、雑誌などによく登場する職業も票を集めた。普段の生活のなかで実際に接したり、見聞きしたりする職業に対しては、憧れの気持ちが生まれやすいのかもしれない。

華やかな世界への憧れも

女子児童の10位以下はどうなっているだろうか。11位に「漫画家」、16位に「声優」が入っており、コミック雑誌やアニメの影響が大きいようだ。また、13位「アナウンサー」、15位「ダンサー・コーチ」、17位「テーマパークのキャストなど」と、華やかな世界への憧れも見える。

「アナウンサー」は前年9位だったが、少し順位を下げ13位となった。また、同じく前年9位だった「ピアニスト・先生」は、今回31位にまで後退している。

10年後にはどうなっている?

ここまで男女別に見てきたが、男女共に人気が高いのは「医師」「教師」「薬剤師」などの職業だ。とくに「医師」は、発表された過去10年間の調査で毎年トップ10に入っている。

安定した人気職業以外の入れ替わりを見ると、時代の変化を感じることができる。男子児童では「ユーチューバー」「ロボット関連」、女子児童では「ダンサー・コーチ」「テーマパークのキャストなど」がトップ20に入っているが、20~30年前には存在していないか、上位には入ってこないと思われる職業だ。

「ユーチューバー」のような新しい職業が、定番をおさえてトップになる日が来ないとも言い切れない。世の中の流れはどんどん速くなっている。10年後にはどのようなランキングを見ることができるだろうか。(渡邊祐子、フリーライター)