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NISAも盛りあがってきましたが、2020年の東京オリンピックの開催が決定しそちらも盛り上がっていますね。今回はNISAに関連して、オリンピックの開催決定と投資信託の影響を考えてみたいと思います。

東京オリンピック決定で景気は良くなる!?

昨年の話ですが、2020年、東京でオリンピックが開催されることが決定しました。オリンピックが開催されることは、私は一人の日本人として喜ばしいと感じるとともに景気の回復を予想してしまいます。例えば、建設などの業界では受注の拡大、雇用機会の増大などで景気が良くなる可能性は十分にあるのではないでしょか。

私の予想は全く個人的なものですが、オリンピック開催が投資に与える影響はあるのでしょうか。また、特に投資信託にはどのような影響が出ると予想できるのでしょうか。

オリンピックと景気や投資の関係

この問題を考えるにあたって最も参考になると思われるのは、直近開催されるオリンピックと投資の影響です。つまり、2016年に開催されるブラジル・リオデジャネイロのオリンピックです。

投資信託の商品には、海外の株式や国債へ投資する商品もあり、ブラジルの株を購入するファンド(資金の運用会社)もあります。そして、ある調査によればブラジル関係に投資している方は50代以上方が多いということです。50代以上の方がブラジルに投資している事の理由としては、様々な推論が試みられていますが、一つとして過去の実績があるからではないかと言われています。
即ち、昭和30年代の東京オリンピックの好景気、北京オリンピック開催前の中国株の急騰などを意識的、無意識的に覚えているためと分析されています(なお、中国株は、オリンピック終了後は3分の1程度に下がりました)。このような過去の傾向から考えれば、経験的な判断として、東京オリンピックを見据えた投資信託商品を購入することも1つの投資方法ということも可能と言えるかもしれません。

さらに、NISAの導入により、100万円までの投資から生じた利益は非課税となりますので、NISAと組み合わせて東京オリンピック関連の投資信託商品を購入すれば、望外の利益が生じる可能性もあり得ます。なお、NISA用の口座は、2013年の10月から作ることができるようになりました。

ヒューリスティック理論

過去の経験からオリンピックが行われると、景気や投資の状況は良くなるようです。しかし、経験からというだけでは、理屈がありません。理屈がないのに経験だけで行動することは予測が立たず、危険性があります。

ではなぜ、オリンピックが開催されることで景気や投資の状況が良くなるのでしょうか。
ひとつの考え方として、行動経済学におけるヒューリスティック理論という考え方があります。このヒューリスティック理論とは、「人は、判断ができないものごとに対しては直感的に分かるものを選ぶ」という理論です。つまり、8年も先のオリンピックの時点での景気や投資の状況など誰にもわかりません。また、そもそも、かつての昭和30年代のオリンピック・北京でのオリンピックなどの際には、なおさら景気がどのように変化するかなどはわからなかったと思われます。
しかし、なんとなくオリンピックという大イベントが開催されることで景気や投資の状況が良くなるのではないかという直感は、多くの人が働くのではないかと思われます。そして、その直感は、実際に投資をするという行動を促し、北京オリンピックの際における中国株の高騰に結びついたと考えることができます。このように考え、説明するのがヒューリスティック理論です。

このヒューリスティック理論は、景気や投資の状況を先読みするひとつの考え方として投資判断に導入することができると言えます。つまり、経済という生き物も人間の判断の総体に過ぎないものである以上、個々人が直感的に正しいと思うことは、ある程度共通して正しいと判断される傾向があるということができます。
このように考えると2020年の東京オリンピックの開催で景気や投資の状況が良くなるということは、多くの人がなんとなく、直感的に思うことではないかと思われますので、今のうちにNISA用の口座を作り、NISAによる非課税のメリットを享受しながら高い利益を得ることも可能と見越すことも出来るかもしれません。

未来は誰も予測することはできない

しかし、このような直感的判断で経済が動くということは、逆に考えれば、将来の経済の動向は誰も正しくは予想できないということになります。直感は、例えば、山道で「左に行くのはなんとなく危険だ」というような、外部の状況と非論理的な決定により発生するものです。これは投資の本質を示しているということができると言えます。

つまり、ヒューリスティック理論に従った場合、「投資の先行きは誰にもわからない」ということになります。投資に関しては様々な情報が出ていますが、この当たり前の点を理解して
情報に接することで投資に関する情報に振り回されることがなくなるということになるのではないかと思います。

東京オリンピックと投資信託

やや、話がずれてしまったので、東京オリンピック開催と投資信託の関係に戻りますと、確かに一時的に投資信託においても東京オリンピック関連のファンドは優勢になるかもしれません。しかし、そもそも投資信託は短期的な利益ではなく、長期的な利益を見込むものです。
東京オリンピックのみを見据えた場合、2020年までは値上がりをしても、その後は凋落する可能性もあります。これでは、常に経済関連の新聞や情報誌にかじりついていなくてはならず、投資判断をファンドに任せて自らは投資に惑わされないという投資信託のメリットを享受できないこととなります。

多数の金融商品から長期的な利益と安定感を持つ投資信託を選んだ以上、いかに大きなイベントとして東京オリンピックが開催されるとしても、それには左右されずに、安定した商品を選ぶことが重要ではないかと思います。

東京オリンピックの開催とNISAの導入から、投資信託でも、東京オリンピックに関連する商品を販売する金融機関などがNISA口座の開設をすすめてくることが多くなるかもしれません。確かにNISAは魅力的な制度です。しかし、NISAと東京オリンピックと投資信託を組み合わせることは、少なくとも長期的安定利益を目指す投資信託とは相容れないものであると私は思います。

NISAのメリット、東京オリンピックの景気上昇の予測、投資信託の性質、これらを統合して理論的に考えて安定的な資金運用を考えることが重要と思います。

photo credit: t-mizo via photopin cc