先週の東京株式市場は堅調な展開となった。日経平均株価も大型連休のはざまで上昇し、1万9000円台半ばまで水準を切り上げた。

FOMC(米連邦公開市場委員会)の声明では、6月以降の追加利上げが示唆された。為替市場では米国経済の先行きに対する楽観的な見方が広がり、円安が進んだ。日本株は海外情勢に左右されやすい状況が続いているが、日経平均株価で2万円を視野に入れた展開となるか注目される。

高PBR銘柄は、サービス・小売業が目立つ

それでは、今回は東証1部の「PBR(株価純資産倍率)上位10社」の顔ぶれをみてみよう。

(1)アプラスフィナンシャル <8589> (連)2.53 (連)43.48
(2)ペプチドリーム <4587> (単)184.40 (単)31.29
(3)スタートトゥデイ <3092> (連)94.39 (連)26.39
(4)MonotaRO <3064> (連)144.11 (連)25.26
(5)日本M&Aセンター <2127> (連)202.21 (連)19.34
(6)エボラブルアジア <6191> (連)146.49 (連)18.65
(7)LITALICO <6187> (単)96.56 (単)16.94
(8)オプティム <3694> (単)169.21 (単)16.55
(9)TOKYO BASE <3415> (単)198.87 (単)16.42
(10)エムスリー <2413> (連)206.43 (連)14.03
※銘柄名、証券コード、1株当たり純資産(BPS、円)、PBR(倍)の順。(連)は連結、(単)は単独。データはヤフーファイナンスに基づく。

PBRは株価が1株当たり純資産(BPS)の何倍まで買われているかを示す指標である。ペプチドリーム、スタートトゥデイ、MonotaROはランキングの常連だ。また、業種別でみるとサービス業が4銘柄と多く、次いで小売業が3銘柄となっている。

アプラスフィナンシャル、業績回復で期待含み

今回は上記ランキングからアプラスフィナンシャル、エボラブルアジア、TOKYO BASEの3社を取りあげたい。

アプラスフィナンシャルは新生銀行系のクレジットカード・信販準大手。クレジットカード事業のアプラス、消費者金融事業のアプラスパーソナルローン、債権管理回収事業のアルファ債権回収などを傘下に持つ。

一般の事業会社の売上高にあたる「営業収益」は増加し続けている。クレジットカード事業など各事業が好調に伸びているためで、2017年3月期の営業利益は前期比約77%増の100億円を予想する。ただ、過払い利息返還の負担が続き、過去に資本増強のために発行した優先株が残っていることもあり、無配が続いている。財務体質は改善の途上といえる。

今年1月末公表の2016年4~12月期決算短信によると、BPSは2016年3月がマイナス2円33銭、2016年12月がプラス2円53銭と改善している。株価は大発会の終値(122円)に比べると低い水準にあるが、PBRでみれば現在でも成長期待を反映した株価といえるだろう。

エボラブルアジア、東証マザーズから同1部に移行

エボラブルアジアは「旅キャピタル」を前身とする旅行サービス会社。航空券の予約サイト「空旅」などのオンライン旅行事業を主力としているが、同時にITオフショア開発事業、訪日旅行事業、投資事業も手掛けている。2017年3月末で東証マザーズ市場から同1部に移行した。

エイチ・アイ・エスと業務提携し、同社直販サイトで航空券を提供したり、民泊サービスへの参入を表明したりするなど、株式市場に提供する新規材料に事欠かない。期待含みの買いに株価が押し上げられているようだ。

TOKYO BASE、新業態開発や老舗ブランド買収に意欲

TOKYO BASEは衣料品や雑貨の販売を主な事業とする小売会社。

セレクトショップ「STUDIOUS」および独自ブランド「UNITEDTOKYO」の2業態を展開し、インターネット通販にも積極的に乗り出している。百貨店での販売の依存度が高いアパレル企業の業績が低迷する中で、TOKYO BASEは好調を維持している。2017年2月期の営業利益は前期比95.5%増の12億9000万円。2018年2月期には、17億5700万円に拡大すると予想している。

5月26日開催の株主総会向け招集通知では、既存2業態に加えて、これまで取り組んでいないカジュアル市場の新業態の開発や、老舗企業のブランド等の買収に乗り出す方針を示している。(ZUU online 編集部)